オズビック鳥

  • 河出書房新社 (2022年11月24日発売)
3.52
  • (11)
  • (17)
  • (31)
  • (2)
  • (2)
本棚登録 : 234
感想 : 33
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • 本 ・本 (40ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309256894

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「うろんな客」と1、2位を争うほど、この作品も好きになった。後書きに柴田元幸さんも「この作品、かなり好きである」と書いていて嬉しい。
    鳥好きということもあり、謎の鳥「オズビック鳥」がとても愛おしい。
    帯でYOASOBIのAyaseさんが「僕にとってはメロディのような、音楽そのもののような」、「この鳥は、飼い慣らせない創作の苦しみの化身だったのでしょうか」と書いていてなるほど、と思ったけれど、自分としてはシンプルに友情か、親子感の関係を表していると思った方がしっくりくる。

  • オズビック鳥(そのまんま表紙の鳥)とおじいさん、ふたりの過ごした時間のお話。

    一緒におでかけしたり、遊んでいたのに喧嘩になったり、そこから自然と仲直りしてたり。
    読み終えて安心して読めた絵本でした。

    普通にどこにでもある関係性を鳥と人間に落としこむことで絵本としていい感じになっている、読みやすい1冊でした。

  • ゴーリーには珍しく不幸ではないお話

  • ん?何かが違うぞ、と思ったら、表紙に色がついているのだった。もっとも、あとがきによるとゴーリー氏が着色したわけではなく、氏の死後に出版されたヴァージョンらしい。

    彼自身はほんとは絵本に着色したかったらしいのだが、予算がなかったのだという。だったとしても、彼の絵本の世界観にはモノクロがよく似合う。

    もうひとつ、エドワード・ゴーリーの絵本にはあまり鳥が登場しないという指摘があった。これは気がつかなかったな。たしかに、彼の絵本にはブラックホールみたいなところがあって、登場人物たちはけっしてその重力場から逃れることができない。

    本書にはオズビック鳥という鳥が突如、人間エムブラス・フィンブリーの山高帽に着地し、1人と1羽はともに暮らすことになる。

    一見すると本書は友情物語だ。最後の1ページを除いては。
    オズビック鳥とエムブラスは仲が良い。いっしょに楽器を演奏したり、お茶を飲んだり、カヌーに乗ったり。

    けれどもエムブラスが先に亡くなってしまう。オズビック鳥は彼の枕元に控えている。

    何だこれは、もしかして感動させようとしているのか、とむしろ不安になるほどだった。ゴーリー氏らしくない。
    でもまさか。

    「されどいずれは心も変わる
    数ヶ月経て ある日飛び去る」

    しかしゴーリー氏にしては歯切れが悪い。オズビック鳥がエムブラスの肉をついばみ始めてもおかしくないのに。
    上の引用の"数ヶ月"というところに、うっかり心動かされてしまった。だって、数ヶ月はエムブラスの墓のそばにいたのだから。ゴーリー氏自身にとっても、不本意な反応だったかもしれない。

  • 表紙の鳥がオズビック鳥。ある男の人の山高帽に止り、そのまま男性と共に暮らす。男がフルートを吹けば鳥はリュートを、お茶を飲めばお茶を、沈む夕日は一緒におがみ、トランプをすればトランプをつつく、その後一週間口もきかないが、そのあと仲直り。・・それで男の死をみとり、墓石に止る。 鳥がめずらしく少し愛らしい。

    1970発表
    2022.11.30初版 図書館

  • アメリカの絵本作家エドワ-ド・ゴーリ-(1925-2000)が、怪鳥<オズビック・バ-ド>と老人<エムブラス・フィングビ->の奇妙な生活をモノクロ-ムの線画で描いた、不吉な予感と不条理な幻想世界。〝永きにわたる暮らしののち、哀れエムブラスは息をひきとる。。。ただ鳥のみが止まる墓。。。されど、いずれは心も変わる。数カ月を経て、ある日飛び去る・・・〟

  • S図書館
    表紙カバーはゴーリーの死後に出版社が色をつけたそうだ
    オズビック鳥は黄緑色

    《感想》
    負の雰囲気がないという珍しい作品
    クスッと笑えるコミカルな話と絵だった
    オズビック鳥は、フラミンゴのように異様に長い足を持つオウムの種類かな?

    《内容》
    エムブラスフィングビー(人の名前)と暮らす意図
    リュートを弾く、お茶をいっしょに飲む、喧嘩もするし、いっしょに詣で、カヌーで仰向け
    エムブラスの死後数ヶ月後に飛び立つ

  • 毎年一冊出るゴーリー 本の翻訳。今年はこれ。

    共に同じ時間を過ごし、やがて進む道を分たれ、それでも残されたものは生きていく。ゴーリー ならではの人付き合い感がわかる一冊。

  • その後まるまる一週間
    おたがいまったく口利かん


    珍しく平和な一作。
    韻を踏んだ文章が良い。
    編めりと過ぎにけり、好き。
    色のついた表紙がゴーリーには珍しく華やか。

  • この絵本の作者ゴーリーといえば、残酷だったり冷酷だったりナンセンスだったりする独特の世界観とモノクロの絵で熱狂的なファンがいる不思議な絵本作家です。でも、この『オズビック鳥』はゴーリーにしてはとても優しくおだやか。ある日やってきたオズビック鳥と選ばれたエムブラス氏が過ごす時間を描いたお話。淡々としながらなぜか心に響きます。

全33件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1925年シカゴ生まれ。独特の韻を踏んだ文章とモノクローム線画でユニークな作品を数多く発表。おもな邦訳に『うろんな客』『ギャシュリークラムのちびっ子たち』など。2000年没。

「2023年 『どんどん変に…』 で使われていた紹介文から引用しています。」

エドワード・ゴーリーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×