優雅に叱責する自転車

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (68ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309264356

作品紹介・あらすじ

それは火曜日より後で、水曜日より前のこと。一台の自転車が通りかかりエンブリーとユーバートは、旅に出た。みょうちくりんな冒険のあと帰ってきたふたりが見たものは…。

感想・レビュー・書評

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  • epiplecticという形容詞、私もはじめて知った。
    訳者の柴田元幸氏はこれを「優雅に叱責する」という日本語にしている。「自転車」の前にこのすばらしい形容詞が付いたタイトルに、まず惹かれた。

    「火曜日の翌日で 水曜日の前日のこと」で始まる韻文のテキスト。シュールでまったくの偶然性と気まぐれに全面的に行程を委ねたような展開。

    「エンブリーとユーバートが クローケーの槌でおたがいを叩き合っていると」

    誰も乗っていない自転車がやってきて、2人はそれに乗って奇妙なサイクリングに出かける、という設定だけはたしか。

    これだけ脈絡がなくてもそこに一貫性を見出そうとする志向がはたらく。でもそれも無駄に終わる。まだ夢のほうがだんぜん一貫性がある。悪夢にすらなりきらない。

    一貫性がなさすぎて、こんな短い話なのにすぐに忘れてしまい、何度も読み返すはめになる。

    ドス黒いマザーグースみたいだ。いや、そもそもマザーグースもじゅうぶんドス黒いけれども、エドワード・ゴーリーの世界はいっそう黒い。
    あるいは超過激な「トムとジェリー」みたいでもある。

  •  なんだか変なものを拾ったと思っていたら、どこかの買い物サイトからこっちも届きました。
     ますます、わけわかんないのですが、やっぱりスゴイ!
     こっちも、ブログでどうぞ。
     https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202206170000/

  • 「火曜日の翌日で 水曜日の前日のこと。」

    もう、この書き出しほど引き込まれる文章ない…
    すっっっごい好み!!やばい。
    ストーリーの流れは意味わからんけど、そこがいい。
    結末もめっちゃ好き。

    1〜2分で読める薄い絵本なのに
    この奇妙でちょっと不気味な世界観が出せるのすごい。


    映画『レモニースニケットの世にも不幸せな物語』
    が大好きで、どことなくその雰囲気がある。
    エンディング曲を流しながらこの本読むと
    さらにどっぷり浸れそう…

  • 火曜より後で、水曜日より前のこと。一台の自転車とともに、エンブリーとユーバートは旅に出た。自転車にかわるがわる跨り、道中さまざまな景色と生き物に出会い、自分たちの家へ帰ってみると…。

    規則正しく美しいレタリングに魅せられつつ、例のごとく色彩はモノクロですが内容はゴーゴリのわりに「陽」だと感じました。奇妙で摩訶不思議な世界に迷い込んだような独特の舞台。そんな世界観を壊さない柴田元幸さんの訳は多くを語らず、でも的確で心地よかったです。
    クルクルと変わる場面に次は何が待っているのだろうと心躍りながら、ラストは色々と読み手の想像が膨らみます。もしかして彼らはとうの昔に…?
    不思議で少し物悲しくもあるけれど、読み手に引っ掛かりを残していく。癖になる大人向け絵本。

  • 題名からして摩訶不思議な、それでも自転車が主役のお話。柔軟な目で、心でもって読む。

  • エドワード・ゴーリーといえば、
    「ギャシュリークラムのちびっ子たち」
    と、
    「うろんな客」
    と、
    今日紹介する「優雅に叱責する自転車」の3つを抑えましょうって感じです。

    1番最初に、
    「火曜日の翌日で 水曜日の前日のこと」について考えてから読み始めましょう。
    何度も言ってますが、
    文章をじっくり読むターンと、
    画をじっくり鑑賞するターンにわけて、
    1回目2回目と読んでください。
    その後、
    文章と絵を同時に楽しみながら4回目です!
    この、
    「優雅に叱責する自転車」は特別な4回目の読み方があるのです!

    1章から22章でなる、
    「優雅に叱責する自転車」なんですが、
    ちゃんと描かれているのは、
    第1章
    第2章
    第4章
    第7章
    第11章
    第12章
    第15章
    第19章
    第22章のみなんです!

    冒頭でもお話ししたように、
    「火曜日の翌日で 水曜日の前日のこと」について考えましたか?
    そうなんで、
    描かれていない「章」について、
    自分で考えて想像して読み進めていくのがこの「優雅に叱責する自転車」の流儀なんです。

    ちなみに、
    僕は占い師ですよ!
    しかも、
    メインで使ってる占術はタロットカードなんです!
    タロットカードは大アルカナと小アルカナに分かれてて、
    大アルカナは全部で22枚あるのです!
    エドワード・ゴーリーさんは、
    占いカードも出されています!
    知っていましたか?
    つまり、
    占い師に造詣があったんだと思います!
    ゆえに、
    考えてみましたよ!
    第1章は魔術師
    第2章は女教皇
    第4章は皇帝
    第7章は戦車
    第11章は正義か力
    第12章は吊るされた男
    第15章は悪魔
    第19章は太陽
    第22章は愚者
    の、
    カードと対応しております!
    つまり、
    そういうことなんです!

    第1章は、
    エンブリーとユーバートがクロケットでバトってる!
    で、
    なぜか自転車が登場!

    第2章
    ユーバートが座席に乗り、
    エンブリーはハンドルに乗る。

    第4章
    木にぶつかりそうになって、
    鳥がつぶやく。

    第7章
    カブ畑を通り抜ける

    第11章
    稲妻に打たれる
    2度も!
    エンブリーの14足の黄色い靴がなくなり、
    ユーバートのまだらのチョッキもなくなる。

    第12章
    ワニとエンカウント!
    このワニ好き!
    でも、
    一蹴されて息絶えちゃう弱さなんです。。。

    第15章
    納屋に入っちゃう。
    真っ暗。
    で、
    出るのよ。

    第19章
    果実を喰う

    第22章
    173年前のオベリスクなう!
    で、
    自転車が壊れて終わり。


    柴田元幸さんの解説的な。
    epiplecticこれまた、
    ゴーリーさんの造語かと思いきやわけのわからん存在する難しい言葉なんだ!
    それを、
    優雅に叱責すると訳すセンス!
    それは凄い!

    ゴーリーさん自転車に愛着があったようですね。
    そう、
    そして、
    自転車なのにチェーンもブレーキもないの!
    動力が不明!
    最早魔法!?
    全体的に明るい雰囲気の作品は珍しいのかな?
    ぜひぜひ、
    「ギャシュリークラムのちびっ子たち」
    と、
    「うろんな客」
    と、
    「優雅に叱責する自転車」
    を、
    読み比べていただきたい!
    どれも好みじゃないのであればゴーリーは無理かな?

  • すでに自転車の乗り方がやばい。二人乗りを超えてる。自転車に乗ったきょうだいは行く先々で紙一重な危険(?)に遭遇します。ラストで衝撃の事実。なにがどうしてそうなった!?答えはプロローグかしら。「火曜日の翌日で 水曜日の前日のこと」深く考えないで、素直に驚いて笑いました。順調にゴーリーにハマっています。

  • 絵がかわいい!
    深読みできそうな物語の展開に引き込まれる!

  • セリフの訳しかたのセンス良いなあ。
    「あれやこれやにご用心」

  • これは、やばい。
    「意味分かんない」が褒め言葉になる。
    作者だけじゃなくて、訳者もたたえるべき。
    タイトルが、何よりステキ。

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著者プロフィール

1925年シカゴ生まれ。独特の韻を踏んだ文章とモノクローム線画でユニークな作品を数多く発表。おもな邦訳に『うろんな客』『ギャシュリークラムのちびっ子たち』など。2000年没。

「2023年 『どんどん変に…』 で使われていた紹介文から引用しています。」

エドワード・ゴーリーの作品

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