不幸な子供

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (64ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309264974

感想・レビュー・書評

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  • アルコール依存症、薬物依存症と同じぐらい依存性が高いゴーリー依存症!
    煙草を吸う人がニコチンを求めるのと同じ感覚
    私は煙草は吸いませんし、お酒も飲みませんし、もちろん薬物もですw
    けど、ゴーリーは食してます…

    本作もやってくれてます!
    ゴーリーのトレードマークの微細な線画で背景を書き込み、一人の少女の不幸を悪趣味すれすれまでに描いた作品
    (悪趣味すれすれでなしにコレは完全にアウトだな!)


    あるところに女の子がいました
    両親は優しくてお金持ち
    ホーテンスと名付けたお人形がお気に入り

    ある日、軍隊大佐の父がアフリカ行きを命ぜられる
    その後、原住民に父が殺された報せが届く
    母はやつれ衰え亡くなる
    叔父はレンガに脳天を砕かれ亡くなる

    女の子は寄宿学校に入れられる
    先生からは罰せられる
    ホーテンスは八つ裂きにされる
    学校から逃げ出す

    逃げ出したら気を失い倒れる
    男にペンダントを奪われる
    別の男に連れ去られる
    飲んだくれのごろつきに売りとばされら

    (まだまだいろいろな不幸が続くが省略)

    しかーし、そんな女の子に希望の光が!!!!

    実は生きていた父が帰国
    父は娘を探して車で街をまわる
    (ゴーリーもたまにはいいところがあるじゃん)

    (って、思ってたら、やっぱりゴーリーだ…)

    ごろつきから逃げるために女の子は表に飛び出す

    そしてたちまち車に轢かれる
    (みなさんもうお分かりですよね)

    父と女の子の感動のそして最悪の再会です!
    (さすがゴーリーやってくれるよ…)

    ちなみに女の子のあまりの変わりように、父はそれが自分の娘とわかりませんでした…


    さぁ、みなさんもゴーリーを食し、ゴーリー依存症になりましょう!
    ⚠自分の子供にこの絵本は決して見せてはいけません!

    • 1Q84O1さん
      マリモさん、こんばんは♪
      ゴーリー絵本凄いですよ!
      普通に残酷過ぎます!
      不幸、絶望、死、負のイメージのオンパレードです!
      ここまでやるとあ...
      マリモさん、こんばんは♪
      ゴーリー絵本凄いですよ!
      普通に残酷過ぎます!
      不幸、絶望、死、負のイメージのオンパレードです!
      ここまでやるとある意味爽快かもw
      ぜひ、検索を再開してくださいね♪
      2023/04/12
    • ゆーき本さん
      ゴーリーさん ここまでバッサリやってくれると
      清々しさまで感じられ 怖さは薄れていきますね
      (*ˊᵕˋ*)ニコ
      (いやなにがニコなんだ)
      ゴーリーさん ここまでバッサリやってくれると
      清々しさまで感じられ 怖さは薄れていきますね
      (*ˊᵕˋ*)ニコ
      (いやなにがニコなんだ)
      2023/04/12
    • 1Q84O1さん
      ニコってw
      ゆーき本さんダークな心をお持ちでw
      ( ̄ー ̄)ニヤリ
      ニコってw
      ゆーき本さんダークな心をお持ちでw
      ( ̄ー ̄)ニヤリ
      2023/04/12
  • 新年から本書というのも何だけれど(笑)『不幸な子供』。
    またまたゴーリーおなじみ、子どもがたいへんな目に合わされ、しかし報われることはなく、読後しんとしてしまう物語。

    今回の犠牲者は、シャーロット・ソフィアという女の子。
    彼女は裕福な家に生まれたが、大佐である父がアフリカ行きを命ぜられ、現地で死に、母がやつれて後を追うようにして死に、ただ1人血の繋がった叔父さまは、頭上から落ちてきたレンガに脳天を砕かれて死ぬ。

    天涯孤独の身となったシャーロットは寄宿学校に入れられ、先生たちからいじめられる。大事にしていた人形ホーテンスは他の生徒たちに八つ裂きにされる。

    このへんまでは、訳者の書くとおりバーネットの『小公女』っぽいのだが、さらに運命の神はこれでもかと彼女を苦しめる。ちなみにこの物語は、レオンス・ペレ監督の『パリの子供』というフランス映画をモデルにしているらしい。

    学校から逃げ出した彼女は気を失っ舗道で倒れる。そこへ1人の男がやってきて両親の写真の入ったロケットを奪っていき、別の方向からやってきた男は彼女を拉致。

    シャーロットは”卑しい場所”に連れていかれ、飲んだくれのごろつきに売り飛ばされ、内職をさせられ、ろくに食べ物も与えられず。ごろつきはじきに幻覚を見はじめ、一方彼女の目は悪くなる一方。

    そこへ希望の光が。死んだと思われていたお父さまが帰国。毎日娘を探して馬車で走り回る。
    一方その頃ごろつきはとうとう発狂、シャーロットはほとんど見えなくなった目で逃げ出し、とたんに車に轢かれる。それは娘を探すお父さまの車だったのだが時すでに遅し。
    しかしお父さまは娘のあまりの変わりように娘とも認識できなかった。

    ーーそしてこれも例によって、人間の脳というのは都合がよいもので、自分の父親の車に轢かれてトドメをさされただけまだましだったのではないかという意味不明な光を見出そうとする。

    それと、本書の各ぺージには、ユーモラスでさえある黒いトカゲのような、悪魔のような怪物が隠れているのだが、そいつを(ウォーリーを探せ的に)探してもう一度ページをめくり直す間、こんなにも不幸な少女の物語が一挙に背景にしりぞいてしまったことに気がついて、まったくもって認識のいい加減さというものは!と驚きつつ呆れ果ててしまうのであった。

    まだ聴いていないが、本書にちなんだ『不幸な子供』というタイトルのアルバムが発売されているらしい。マイケル・マントラー作曲、カーラ・ブレイ(ピアノ、シンセetc)、ジャック・デジョネット(!ドラムス)、ロバート・ワイアット(ヴォーカル)。だそうだ。『うろんな客』の曲もある。

  • タイトル通り、主人公の少女はどんどん不幸になり続け結末を迎える。
    何も救いがない物語。

    本来、不幸の積み重ねは最後にどんでん返しで良いことが起こることでオチが付くはず。ただし、ゴーリーはオチを付けない。

    世の中には圧倒的にオチが付かないことが多い。因果応報ではないことが多い。
    だからこそ、ゴーリーは、安易な演出にノーを突きつけたかったのかもしれない。

    この絵本で、大人は少女と比べ、とても巨大に描かれている。ただし、少女にとって全く頼りにならない、むしろ脅威にしかならない。
    表情もうつろで何を考えているかわからないし感情も読み取れない。
    子どもは本当に社会的に弱い存在なのだから、大人がサポートしないと、最初に弱い子どもから犠牲になっていく。
    こんな当たり前のことが、周りの大人の無神経さで守られず、悲劇が起こる。

    大人は非情で鈍感な存在に見える。
    そして、逆に子どもは、儚く、弱いことが際立て感じられた。

    また、絵の隅にはいつものように、変な形のクリーチャー達が。社会の重力から解放されたクリーチャー達は、ふわふわと漂っている。
    この主人公の少女が社会から自由でいられたら、こんな風にふわふわと漂っていられたのではないか。
    と思った。

  • 最後のページの後、お父さまがシャーロットをどうしただろう、と考えたら吐き気がした。すごい絵本だな、、

  • 今さらの初ゴーリー。
    いたいけな少女シャーロット・ソフィアの身に降りかかる不幸の連続。あまりにも救いがなくて、暗黒過ぎて、なんとも言えない後味の悪さ…。
    まずなんといってもエドワード・ゴーリー独特の不穏なイラスト。黒い。暗い。細かい。ハッピー感ゼロ。あたたかいお日さまの光はどこ?
    そしてストーリーテリング。シャーロット・ソフィアの心の内はまったく語られておらず、とにかく(不幸過ぎる)事象のみが淡々と伝えられている。シャーロット・ソフィアの幼さと、大人たちの無慈悲と悪。子供という小さくて無力な存在と、次々に襲いかかる残酷な悲劇との対比が、これでもかというほど強調されている。
    見事なまでの「絶望のメカニズム」。

    柴田元幸さんによる日本語訳と原語とが対訳になっているのがとても良い。
    柴田さんによる「あとがき」も。
    子どもの頃、「小公女」が大好きだった私には、本当に痛いお話です。どんなに困難な状況でも、希望を持ち続け、良心の声に従って善行を積んでいれば、いつかきっと光に満たされる。そう思って(刷り込まれて?)いたのに〜…。

  • エドワード・ゴーリーの『うろんな客』『ギャシュリークラムのちびっ子たち』を読んで、趣深い絵とそれとは対照的な(?)唐突さに惹かれてしまった。で、今回この本を買ってもらった。

    今回は英語の原文を読みつつ、対訳を読んでみた。絵本だけど知らない言葉がちょいちょいある。先日映画に字幕をつけてみるイベントがあったので挑戦してみたけど、直訳は変だし意訳で作者が言ってもいないことを付け加えてもダメだし、翻訳って難しい。例えば、There was once…とあっても、“昔”なんて訳出はしないみたい。そういう判断ってどうやってしてるんだろう。

    先ほど唐突とも書いたが、この本について言えばそう衝撃的な展開でもなかった(慣れたのかもしれない)。あの場面で彼がこうしていたら、彼女がこうなっていたら、結末はいくらでも変わったかもしれない。でも現実では、どの選択肢がどういう結果を引き起こすかなんてことはわからないし、どのような選択肢があるのかさえわからない場合もある。この絵本のように、たまたま起きた出来事が積み重なって、最悪とも思える不幸に陥ってしまうなんてことはいくらでもありえるだろう。

    なので、この本から得た教訓は特にないのだが、イラストを見ていると不思議な気分になってくる。絵本って、やっぱりメインはイラストですわ、と思った作品。

  •  シャーロットソフィアは裕福な家庭の子供であった。シャーロットはお人形ホーテンスと共に楽しく遊んで過ごしていたが、幸せな日々は続かなかった。
     あるとき軍隊に属していた父が、アメリカに行くことを命じられ、数ヶ月に原住民に殺されたと訃報が届く。それを受けた母はやつれ衰え、息を引き取る。短期間で両親を失ったシャーロットは一族の叔父に引き取られる。しかし叔父にも不幸が訪れる。街を歩いている最中に落ちてきたレンガに頭を砕かれてしまったのだ。
     身寄りを全て失い、弁護士に引き取られたシャーロットは寄宿舎へ入舎する。寄宿舎では先生から意味もなく罰せられ、友人にはホーテンスを八つ裂きにされる。うんざりしたシャーロットは寄宿舎を飛び出した。その先で限界を迎え気を失い、通りがかりの人が拾い、浮浪者に売り飛ばしてしまう。浮浪者の元で内職をし、残飯と雀の涙ほどの水で生活していた。そのような生活をしていくうちに目が見えなくなったシャーロットは表へ飛び出す。
     そして飛び出した先で車に轢かれて亡くなった。
    その車に乗っていたのはアメリカから帰ってきた父であった。父は我が娘を探している最中に娘を轢き殺し、変わり果てた娘に気がつくことなく、その場を去る。
     「善は報われ、悪は罰せられる。」という社会的通説を裏切る展開となった物語。善であれ悪であれ不幸な人間は不幸なままであるといったメッセージだろうか。
     「善は報われる」という考え方は社会的通説である。誰しも「善だとしても報われないことがある」とは思いたくないし、それを言ってはいけないような風潮があり、タブー視されていることは間違いない。しかし現実は無慈悲で残酷なものであると著者は伝えたかったのではないだろうかと思った。
    「不幸な子供が幸福で終わる物語」という人間の理想を取っ払って「不幸な子供が不幸なまま終わる物語」を絵本として書いたことは何かしらメッセージがあるのだろう。

  • 金持ちだったけど不幸になってそのまま亡くなる話。最初金持ちだったのがましなのかどうなのか。

  • 次々と不幸が襲い、全く救いのない話だった。
    最後も悲しい。

  •  絵本でここまでするか。と、素直に突っ込みたくなった作品。

     後味の悪い話はどちらかというと好きな方なので、おすすめされた時は半分期待で、半分はどうせ絵本でしょ、という感じだった。

     しかし実際に読んでみると鳥肌が立った。

     不気味な絵に、なんの教訓も与える気がないだろう!と思わずにはいられないラスト。それでも自分の心に引っかかる感覚が妙味で、もう一度―――さらにはほかの作品も、読んでみたいと思った。

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著者プロフィール

1925年シカゴ生まれ。独特の韻を踏んだ文章とモノクローム線画でユニークな作品を数多く発表。おもな邦訳に『うろんな客』『ギャシュリークラムのちびっ子たち』など。2000年没。

「2023年 『どんどん変に…』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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