おぞましい二人

制作 : 柴田元幸 
  • 河出書房新社
3.67
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本棚登録 : 1159
レビュー : 165
  • Amazon.co.jp ・本 (68ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309268002

作品紹介・あらすじ

1965年に明るみに出た「ムーアズ殺人事件」。イギリスで二人の男女が4年にわたり5人の子供を残虐に殺して荒野(ムーア)に埋めていた事実が明らかとなった。「もう何年も本の中で子供たちを殺してきた」と自ら言うエドワード・ゴーリーが、この現実に起きた悲惨な事件によって心底動揺させられ、描いたのが本書である。

感想・レビュー・書評

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  • 表紙絵の下の方に転がってるハムのような包みは何でしょ?よ~く見てみると脇のほうから手がはみ出てます。現実に起きた悲惨な事件に衝撃を受けたゴーリーが描いたストーリー。だからといって犯人を糾弾するでもなく、子供たちに注意を促すでもなく、ただ事実を淡々と…。大人向けですね。

  • 前回読んだ『不幸な子供』は、ストーリーとして現実に起こり得ないわけではないものの、どことなくファンタジーっぽさもあった。が、この本は今にも起こりそうな、それゆえの救いの無さを覚える。

    ストーリーは、ただ事実を淡々と述べているだけに見えてつまらないようにも思う。でも、自分の人生なんて他人の目にはその程度にしか映らないんだろう。そう思うと、本の内容以外にも恐さを覚える。

    思いやりとか哀れみとか、そういったいわゆる人間らしい感情はまったく読み取れない。時折、make loveのような記述もあるが、それも本能的なもの以外に何か動機があったかと言われると…?最初に描写されているのは彼らの子供時代だが、そこから最後まで徹底的に冷酷なお話。

  • 静かに、淡々とした空気がほかの作品と一線がちがう。本来こちらが現実のサイコパス・シリアルキラーの姿かもしれない。
    もしかしたら、二人にとって殺人は自分たちが愛し合った、人間らしさを感じた証を残したい思いからきたものかと思う。

  • 史実を基に描かれたという
    シリアルキラー(連続殺人鬼)の夫婦を題材にした
    大人向けの絵本。

    出版にあたってはかなり賛否両論あったらしいですが、
    大人向けといは言えど、絵本として普通に書棚に置かれてて
    誰でも(子供でも)手に取れる状況は
    平静なのか
    異常なのか
    自分にはよくわからない。
    (出版物全般に言えるけれど、
    それでも絵本ならばより手に取りやすいし
    目につく機会も多いはず)
    倫理的な(言いかえれば道徳的な)想いが自然と発生してくる物語なのかもしれない。
    そういう意味では存在する価値の高い本。

    心に傷を負った(もしくは欠損したと言ってもいい)
    憐れな男女の虐げられた子供時代と
    屈折した大人の日々、そして子供を殺し続ける生活を
    非難するわけでも、正すわけでもなく
    ただ薄ら寒く客観的に綿密な線画と簡略な文章で綴られている。

    個人的にはイラストが思ったほど胸に迫ってこなかった。
    それに尽きる。

  • 1965年の「ムーアズ殺人事件」を題材にした絵本。理解し難い事件、それを冷静に見つめようとする作者。しかし、読後の後味は悪い。

  • こういう本質を持って生まれた場合、後天的な環境でよい方へ変わる事は出来るのかな。

    • kuroayameさん
      レビューを拝見させていただき、「よい方へ変わることができるのかな?」とあり、もっと内容を知りたくなっちゃいました♪。早速読んでみたい本登録し...
      レビューを拝見させていただき、「よい方へ変わることができるのかな?」とあり、もっと内容を知りたくなっちゃいました♪。早速読んでみたい本登録したいと思います★。
      2012/10/24
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「後天的な環境でよい方へ」
      変わると思いたい。。。
      「後天的な環境でよい方へ」
      変わると思いたい。。。
      2012/10/30
  • 何年も前から、本屋でちらちらと読みながらも、
    でも購入する勇気が出なかったエドワード・ゴーリー。

    けれどついに購入することにしました。
    家でゆっくり読むと、なんだか感じる物が違いました。


    当時まだこころが幼かった私は、
    ゴーリーの世界観に惹かれながらも、
    これ(残虐性をはらんでいる内容)に惹かれる自分に罪悪感のような
    なんとも言えない感覚を抱いており、買うことはできずにいました。

    けれど、ゴーリーに惹かれる自分は、
    単に「面白半分に」残虐性や人の死というものに
    興味を持っているというわけではないんだなと思いました。

    私にも少なからずや(いや、時としては大きすぎるほどの)
    残虐性であったり一般的に異常と言われるような精神状態になっており、
    そちらの世界に誘われそうになり、常に死と近しいところに居るわけで、
    決して遠い世界ではないわけです。
    ずっと目を逸らして生きていくことなんてできない。

    ゴーリーはそのようなことを、絵本という形で、
    私たちに見せてくれているような気がしたのです。

    恐らく、平和に平凡に生きていれば、あまり見たくもないような、
    見てはいけないと思ってしまうような世界観。

    それでもゴーリーは、(特にこの作品においては)
    「理解するために」絵本という形に遺したわけで、
    その世界を私たちに見せてくれているのだろうと思うのです。

    今の私はそんな世界を、「理解したい」と思っている。
    幼き日に、不謹慎かも知れないと思って妙な罪悪感を感じていたものの、
    実際は、面白半分に覗きたいだけではなかったんだと気づきました。

    だからこそ、幼くして意味はあまり理解できなかったとしても、
    なぜかどこか惹かれてしまう、そんな絵本に仕上がっているのでしょう。
    何年も経って再び手に取った今、
    ようやくそんなゴーリーの世界に触れることが出来た気がします。

    やはりわたしはゴーリーの作品が好きなんだと、再確認できた本でした。

    他の作品ももっと読んでいこうと思っています。

  • さすがに児童書のところには置いてなかったタイトル通りおぞましい話。何が悍ましいって悪意が凪いだ水面のように並々と静かに澱んでいることです。朝食の献立もぞっとしたけど壁の染みを舐めて過ごした余生にも背筋から寒くなる。

  •  エドワード・ゴーリーの絵本。
     絵本とは言っても、子供向けではない。
     4年間に5人の子供を殺したカップルの話である。
    「ムーアズ殺人事件」という実際にイギリスで起きた事件を元にしている。
     センセーショナルな事件だったためか、ロック・アーティストも当事件を取り上げていたりする。
     例えばザ・スミスやセックス・ピストルズはこの事件を歌にしているし、ソニック・ユースの「GOO」のアルバム・ジャケットの絵は、殺人カップルの女性の方の妹夫婦を撮影した写真を元にしている(あのSEALDsが、そのジャケットを模倣したTシャツを着ていた、なんてのがネットで検索していたら出てきた)。
     エドワード・ゴーリーはこの事件にショックを受け、「書かずにいられなかった」という動機で書いたとのことだが、実際には原稿を前にして何度も躊躇したりしたらしい。
     絵本であるから、絵と短い文章から成り立っているのだが、残酷な絵や文章は載ってはいない。
     絵はそれらしい雰囲気を醸し出してはいるが、エドワード・ゴーリーのそれであり、文章は余計な贅肉が一切排除された、まさに要点だけを抽出して構成されている。
     エドワード・ゴーリーは殺された子供たちに対する哀悼や無念さ、殺人カップルに対する非難や擁護、といったようないかなる感情も書き表してはいない。
     作品中の感情がどこにも向いていない分、読み手は余計に救いのなさを感じてしまう。
     あまり想像力を豊かしにて読んでしまうと、トラウマになるかも知れない。

  • ゴーリーのファンタジー感やユーモアがある他の「黒い本」とは明らかに趣が違う。

    次々と子供を誘拐して殺した「精神異常」のハロルドとモナ。

    「愛し合おうとして長時間懸命に頑張っても、成果はなかった」

    序盤のこのページが薄ら寒い。
    2人の抱える人生における欠落。

    その欠落を埋めるように行われるその後の行為(=誘拐殺人)は世にもおぞましい。

    でも読まなきゃ良かった、と思わないのは、この本の毒で埋めなきゃならない欠落が私の中にもあるからかもしれない。

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著者プロフィール

1925年シカゴ生まれ。独特の韻を踏んだ文章とモノクローム線画でユニークな作品を数多く発表。邦訳書に『ギャシュリークラムのちびっ子たち』『うろんな客』などがある。2000年没。

「2018年 『音叉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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