おぞましい二人

  • 河出書房新社
3.68
  • (162)
  • (191)
  • (293)
  • (26)
  • (11)
本棚登録 : 1894
感想 : 227
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (68ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309268002

作品紹介・あらすじ

1965年に明るみに出た「ムーアズ殺人事件」。イギリスで二人の男女が4年にわたり5人の子供を残虐に殺して荒野(ムーア)に埋めていた事実が明らかとなった。「もう何年も本の中で子供たちを殺してきた」と自ら言うエドワード・ゴーリーが、この現実に起きた悲惨な事件によって心底動揺させられ、描いたのが本書である。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ダメ!

    絶対にダメ!

    これは子どもに見せちゃダメな絵本!

    心に闇を持った大人が楽しむ絵本です……


    1965年に明るみに出た「ムーアズ殺人事件」
    この実話を元にした、子供を誘拐しては殺してしまう男女の物語

    原書発売当時は非難続出で、返本の山が築かれたというイギリスでイアン・ブレイディ、マイラ・ヒンドリーという男女が4年にわたり5人の子供を残虐に殺して荒野(ムーア)に埋めていた事実が明らかとなった
    二人は投獄され、ゴーリーがこの本を書いた時点では二人ともまだ服役中だったみたいです


    あまりお勧めしませんね…w
    私みたいに心に闇をお持ちの方は読んでみてはw
    ( ̄ー ̄)ニヤリ
    真っ白な純粋な心をお持ちの方はやめときましょう!

    • みんみんさん
      絵画Σ੧(❛□❛✿)
      挿絵、イラスト、絵は何でも好き♪
      絵画Σ੧(❛□❛✿)
      挿絵、イラスト、絵は何でも好き♪
      2023/04/06
    • ゆーき本さん
      こちらの図書館も絵画コーナーでした*ˊᵕˋ*
      こちらの図書館も絵画コーナーでした*ˊᵕˋ*
      2023/04/06
    • 1Q84O1さん
      うちは書庫でしたw
      一般書庫
      さすがに子どものコーナーには置いてないですね
      うちは書庫でしたw
      一般書庫
      さすがに子どものコーナーには置いてないですね
      2023/04/06
  • ついに強烈なのが来た。
    イギリスで起きた「ムーアズ殺人事件」を題材にした絵本。とある男女が、4年間で5人の子どもたちを殺し荒れ野に埋めていたことが発覚し逮捕された。

    本書では男のほうがハロルド・スネドリー、女のほうがモナ・グリッチという名前になっている。吐き気を催しそうな事件だけれど、しかし2人は"悲しみそのもの"であるような人間だ。胸が悪くなると同時に、胸が締めつけられる。

    「自己啓発協会主催の、十進法の害悪をめぐる講演会で二人は出会い、たがいに似た者同士であることを一目で悟った。」

    2人が愛によって結びつくことはなかった。生きることにも死ぬことにも無関心であり、おそらく子どもを殺すときにだけ何かがつかのま手に入るのだった。それは描かれてはいないし描きようもないのだが。殺し終わったあとは、そのことにも無関心だった。

    読み終えた後すぐに、読まなかったことにしたいと思ったが、すでに遅し。エドワード・ゴーリーが許すはずもない。

    もやもやしっぱなしでしばらく落ち着かなかった。
    このような人たちにあなたは有罪であるということになんの意味があるのか。
    あるいは死刑に処すことになんの意味があるのか。
    しかしこんなわけのわからない怪物を生かしておけば、不安で仕方がない、精神病院に閉じ込めておくしかないだろう。
    忘れるために。
    多かれ少なかれその怪物を作り出したのはわたしたちでありわたしたちもまたその怪物の仲間なのだから。
    自信をもってわたしは違うという人がいたらわたしはその人をぜったいに信用しない。

    そうやって本書に問い詰められているようだった。

  • ゴーリーが唯一どうしても書かねばならないとしたムーアズ殺人事件をもとにした作品。
    ハロルドとモナが4人の子供を殺害する絵本だが、狂気な内容のはずが淡々と書かれることで、不愉快ではあるがこれもまたわれわれと同じ人間なのだと思った。(精神疾患となっているがどうだろう)
    1人目を殺害した翌朝の朝食は細かく描かれ、ことが済んだ無音?寂々?な雰囲気を印象付けられた。
    人殺しはもっと狂った感情を持ち、一般とは異なる奇怪な人間というレッテルもなく、その静かさに恐ろしさを感じた。
    226冊目読了。

  • 表紙絵の下の方に転がってるハムのような包みは何でしょ?よ~く見てみると脇のほうから手がはみ出てます。現実に起きた悲惨な事件に衝撃を受けたゴーリーが描いたストーリー。だからといって犯人を糾弾するでもなく、子供たちに注意を促すでもなく、ただ事実を淡々と…。大人向けですね。

  • 1963年から1965年にかけて
     イギリスのサドルワース・ムーアで起きた連続殺人事件「ムーアズ殺人事件」が元となった猟奇的な絵本。この事件は二人の男女が4年間で5人の子供を殺害し、荒野(ムーア)に埋めたという事件。この事件に沿うように絵本の物語は進んでいく。
     ハロルドとモナにはそれぞれ暗い過去と猟奇的な要素を感じさせる性格を持っていた。ひょんなことで出会った二人はお互いに共通点があることを察した。それからは共に行動し、人里離れた別荘で生活することにした。子供を作ろうと懸命に致したが、結果はうまくいかず。これを契機に数年の間で複数の子供を別荘へと誘い込み、殺害した。
     二人はその様子を写真として記録していたのだが、その写真を落としたことにより逮捕され牢屋へと入れられる。ハロルドは肺炎で先に亡くなり、モナは寿命で亡くなるまでの間、壁についた染みを嘗めて過ごした。
     この猟奇的だが、妙に淡々とした物語と黒いペンのみで表現した絵が相まって不気味さを醸し出していると思った。そして絵に登場する人間にはまるで感情がなく、淡白な様子が見てとれる。このような不気味な絵本を初めて読んだため面白かった。
     しかしなぜここまで評価が高いのだろうか。時代背景として、不気味かつ猟奇的な世界観を描いた絵本作家がいなかったからだろうか。

  • 静かに、淡々とした空気がほかの作品と一線がちがう。本来こちらが現実のサイコパス・シリアルキラーの姿かもしれない。
    もしかしたら、二人にとって殺人は自分たちが愛し合った、人間らしさを感じた証を残したい思いからきたものかと思う。

  • 前回読んだ『不幸な子供』は、ストーリーとして現実に起こり得ないわけではないものの、どことなくファンタジーっぽさもあった。が、この本は今にも起こりそうな、それゆえの救いの無さを覚える。

    ストーリーは、ただ事実を淡々と述べているだけに見えてつまらないようにも思う。でも、自分の人生なんて他人の目にはその程度にしか映らないんだろう。そう思うと、本の内容以外にも恐さを覚える。

    思いやりとか哀れみとか、そういったいわゆる人間らしい感情はまったく読み取れない。時折、make loveのような記述もあるが、それも本能的なもの以外に何か動機があったかと言われると…?最初に描写されているのは彼らの子供時代だが、そこから最後まで徹底的に冷酷なお話。

  • 孤独や劣等感からの脱出口を完全に見失い、

    パニクってしまった二人の男女。


    <子殺し>と言う方法でしか塞がれた壁を破る為の術を知らず…


    しかし、壁の向こうはさらに壁。

    逃げ場求めて何枚壁を壊そうと、そこから光が差し込む事など決してないのだ。


    苦しみの中で生きた二人は

    おぞましい犯罪者として、その身亡き後も闇を彷徨う他、行き場はない。


    『同情』と言うささやかな光さえも射さなかった彼らの人生…。


    ゴーリーは何故、この陰惨な事件を<絵本>にしよう、と思い立ったのだろうか。

  • 物語以外の点で言えば、
    濃淡の表現が秀逸だな、と。

    同じような模様を永遠と描き続けている時、背景を真っ黒く塗りつぶす時、彼は一体どんな感情で書いていたんだろう?
    わたしは、絶対に正常な精神でそれは書けないものだと思いました

  • 陰湿な性格をもって生まれた、似た者同士の二人(ハロルドとモナ)。 愉悦のために犯し続けた<子ども殺し>。 犯行の翌朝、何事もなかったように〝二人は食卓について、コーンフレ-クと糖蜜、カブのサンドイッチ、合成グレ-プソ-ダの朝食をとった・・・〟カルト絵本作家のエドワ-ド・ゴーリ-が、1965年に明るみに出た「ムーアズ殺人事件」と呼ばれるイギリスであった現実の事件を題材に、おぞましき人間社会の救われない世界が描かれた大人の絵本。

全227件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1925年シカゴ生まれ。独特の韻を踏んだ文章とモノクローム線画でユニークな作品を数多く発表。おもな邦訳に『うろんな客』『ギャシュリークラムのちびっ子たち』など。2000年没。

「2023年 『どんどん変に…』 で使われていた紹介文から引用しています。」

エドワード・ゴーリーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×