土方巽全集 I

制作 : 種村 季弘  鶴岡 善久  元藤 燁子 
  • 河出書房新社
3.68
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本棚登録 : 33
感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309268446

作品紹介・あらすじ

世紀を越えて今再びよみがえる舞踏の創始者=土方巽の全著作を網羅した全集、待望の普及決定版第1巻。自伝的幻想譚の傑作「病める舞姫」のほか、奇想に満ちあふれた評論集「美貌の青空」などを収録。

感想・レビュー・書評

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  • 幻惑的で夢想的な心象風景を綴った自伝的作品『病める舞姫』、評論、エッセイ、公演パンフレット等ののテクストを纏めた『美貌の青空』、語った言葉を文字に書き起こした『慈悲心鳥がバサバサと骨の羽を拡げてくる』を収録。『病める舞姫』の冒頭近くの文章、「私は魚の目玉に指を通したり、ゴムの鳩を抱いた少女に言い寄ったりして、それからそれと生きてきたが、いつも実のところ脈をとられているような気分で発育してきた。私は雪にしょっちゅう食べられかかっていたし、秋になれば、ばったにも噛まれた。」この文章を読んで、背筋が伸びて久しぶりに緊張した読書になった。色々な本を読み、映画や演劇等を観、自分の血肉としなければ絶対に書けない文章にワタシは嫉妬する。

  • これも
    読書日記の一環だろう。

    今年の春ごろから欲しいなと思っていた本を買った。
    土方巽全集の1及び2。
    実のところ、この方の名を知らない、舞踏を知らない、貌を知らない。
    亡くなっていたことを知らない、亡くなっていたのだ。
    名を知らないというのは真実ではないかもしれない、記憶の片隅にすら覚えがなければ大型の郊外型書店の一隅にひっそりと置かれている本など手にもとるまい。だが、知らないのだ。

    なにひとつ。


    活字(この活字という表記すら、今では前時代の名残だ)に、舞踏が顕せるか。
    否。

    だが、何一つ顕せないわけでもないのだ。


    部分引用

    「わざわざ考えるまでもない箸が、もしかして私をいつも呼び続けていた声だったとしたら、という知恵のかけた不安が、そのまま私の頭に沁みていっていた。今になってみれば、そんな纏まりのない叫び声をあげて叫んでいた私の姿も、踏みつけてやらねばならない代物だが、あの頃の私が私の姿にありつけるのはそんな叫び具合のところだった。」


    今とはいつだ。

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