ジャズマンがコッソリ愛するJAZZ隠れ名盤100

著者 :
  • 河出書房新社
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レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309269894

感想・レビュー・書評

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  • 先ごろ休刊した「スイングジャーナル」誌上で連載されていた「ブラインドフォールドテスト」を編集し直したもので、楽しい企画であっただけに興味深く読ませてもらった。

    「ブラインドフォールドテスト」と言うのは、レコードだけ聞かせて「誰」の演奏かを当てるテスト。テストされる側はすべて現役のミュージシャンであり、それもジャズ界では名だたる名手・巨匠に限られている。つまり「同業者」のレコードを聞かせ、それを当てさせながら、いろんな話を引き出そうという企画である。

    とにかく面白かった。さすがに一流のプロだけに、知らないアルバムであっても、誰の演奏かはほぼ当てている。インタビューの小川氏はなかなかのチョイスで迫り、もちろん相性のいいミュージシャン、共演したミュージシャンのアルバムを持ちだすこともあるが、どう考えてもミスマッチなアルバムもちらほら。

    例えばスコット・ハミルトンにアルバート・アイラーのアルバムを聴かせるあたり、いかにも無謀なチョイスと思われがちだが、リップサービスもあれど、意外と反応が悪くないのは驚きだった。もちろん一発で当てた。特にアイラーの中から独特の「スイング感」を聴きとる辺り、さすがは本物と言ったところだろうか。

    また、ミュージシャン同士のほほえましい関係、意外な関係なども読むことができ、興味が尽きない。デクスター・ゴードンとジョニー・グリフィンは大の仲良し、デックスが酔っぱらった時、ワーデル・グレイは家まで送っていたなど。

    あと、日本では「愛すべきB級テナー」としてそこそこの人気はあるが、アメリカではほとんど評価されていないされるハンク・モブレーは、同業のミュージシャンからはかなり念入りに聴かれていたという事実。そうでなければブルーノートからあれほどのアルバムを出さなかっただろうし、この辺はアメリカのマーケットとリスナーの耳の落差を感じるところだ。その点で言うと、日本のリスナーはジャズに関しては、かなり「いい耳」を持っていると言うことになろうか。

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。音楽ジャーナリスト、整形外科医。77年東京医科大学卒業。81~83年、ニューヨーク大学大学院留学。留学中に、アート・ブレイキー、ギル・エヴァンス、デクスター・ゴードン、ウイントン・マルサリスなどのミュージシャンや、マックス・ゴードン(「ヴィレッジ・ヴァンガード」オーナー)、マイケル・カスクーナ(プロデューサー)といった関係者の知己を得る。帰国後ジャズを中心とした原稿の執筆、インタビュー、翻訳、イヴェント・プロデュースなどを開始。レコード・プロデューサーとしても多くの作品を制作。『ブルーノートの真実』(東京キララ社)、『証言で綴る日本のジャズ』(駒草出版)、『ジャズメン、ジャズを聴く』(シンコーミュージック)など著書も多数。
公式ブログ:http://blog.excite.co.jp/ogawatakao/

「2016年 『マイルス・デイヴィスの真実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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