くまとやまねこ

著者 :
制作 : 酒井 駒子 
  • 河出書房新社
4.39
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本棚登録 : 1486
レビュー : 257
  • Amazon.co.jp ・本 (48ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309270074

作品紹介・あらすじ

突然、最愛の友だち・ことりをなくしてしまった、くま。くらくしめきった部屋に、ひとり閉じこもっていたくまが、やがて見つけた、あたらしい時のかがやき。感動の絵本。

感想・レビュー・書評

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  • 「ぼくたち、いつも『きょうの朝』にいるんだ。ずっとずっと、いっしょにね。」そう語り合った大好きな友達ことりくんが次の日に死んだ。
    永遠に『きょうの朝』がくると思っていた、永遠にことりくんといっしょにいられると思っていたくまくん。彼の悲しみは計り知れない…
    誰にもわかってもらえない気持ちを抱え暗い部屋に閉じこもるくまくん。
    そんなくまくんの前に現れたやまねこくんが言った言葉は… 形はなくなってしまったけど、くまくんにとってことりくんはますます大事な友達になったんだね。

    文が湯本香樹実さん、挿絵が酒井駒子さん。すぐに図書館に予約した。
    「夏の庭」の湯本さんだけあって死についてズシリと考えさせられた。一緒に過ごせる朝が永遠に来ると思っていたふたり。
    私もそう思っている。あり得ないとわかっていても、そう思わずにはいられない大切な人たちがいる。
    森の動物たちの言うこともわかる。だけど、その日が来たら私もくまくんのようになってしまうだろう。私にもやまねこくんのような人が現れて救ってくれるのだろうか。 やまねこくんもきっとまた…。

    酒井さんの挿絵が素晴らしい。死がテーマなので悲しい切ない黒の絵が多い。だからこそ、時々使われている赤が希望を与えてくれる気がして強く印象に残った。

  • やまねこが待ってくれる友達で本当によかった。

    あなたのそばで、悲しんでいる人がいたら

    どうか待ってあげてほしい。

    自然に心が癒えるまで。

    自分の心に逆らわず、静かに時を待って

    少しずつ顔を上げられるようになるまで。

    また笑えるようになるまで。

  • 2008年発表。


    だって僕たちは、
    ずっとずっと
    いっしょなんだ。



    突然最愛の友達である
    「ことり」を亡くしてしまった、くま。


    くまは手作りの箱に
    花びらを敷き詰めて
    そっと「ことり」を入れ、持ち歩くようになります。


    箱の中を見るたびに
    困った顔をする森の動物たち。
    そしてみんな決まって言うのでした。

    『くまくん、ことりはもうかえってこないんだ。つらいだろうけど、わすれなくちゃ』


    くまは、暗く締め切った部屋に、ひとり閉じ籠ってしまいます。

    でも、やがてくまにも
    光あふれる、新しい時が訪れて…。



    小説『夏の庭』でお馴染みの湯本香樹実さんと
    絵本作家・酒井駒子さんの夢のタッグが実現したコラボレーション絵本です。



    酒井さんの描いた
    モノクロの
    繊細かつ重厚な絵柄と共に
    『ことり』を失い
    誰とも口をきかなくなった
    くまの悲しみが
    ひしひしと伝わってきて
    本屋さんで涙ウルウルになりました(汗)



    くまは
    音楽を弾きながら
    世界中を旅して回る
    『やまねこ』と
    やがて運命の出会いをします。


    くまの悲しみを受け止めて
    優しく寄り添ってあげることのできる
    『やまねこ』も
    過去に同じように
    死を乗り越えてきたからなのかもしれない。

    『やまねこ』のような人に
    自分もなれるかな。


    死と向き合い
    乗り越えていかなくちゃ。


    忘れるのではなく
    思い出として
    一緒に生きていこうと誓ったくまのように
    愛する人や身近な人との別れを
    人はどう受け止め
    乗り越えていけばいいのかを
    優しく教えてくれます。


    突然やってくる死や別れを
    怖れることなく
    忘れることなく


    やがて来る新しい出会いに
    胸ときめかせて。

  • とても優しい気持ちになれる素敵な絵本。
    大好きな酒井駒子さんの絵に湯本さんのふんわり穏やかなお話が載る…なんて贅沢な世界!

    仲良しのことりが亡くなり悲しみにくれるくま。
    一緒にずっと「きょうの朝」にいられると思っていた。
    きのうの朝よりあしたの朝より「きょうの朝」が一番好きだから。
    けれど大好きなことりが亡くなり「きのうの朝」に戻りたい、と大粒の涙をこぼすくま。
    ことりのことを思い出すと辛いかもしれないけれど、無理して忘れなくてもいいんだよ。
    ずっとずっと友だちなんだから。
    大切な誰かを亡くした時、くまにとってのやまねこのように、悲しい気持ちにそっと寄り添ってくれる友だちがいてくれることって素敵なことだ。
    くまとやまねこの楽しい演奏が聴こえてくるようなラストに温かな気持ちになれた。
    何かと疲れがたまっている大人にこそ読んでほしい絵本だと思う。

  • お気に入りさん達の感想から読んでみました。とても素晴らしい作品。大切なお友達の「ことり」が突然死んでしまって悲しんでいる「くま」。「きょうの朝」が訪れることは本当にかけがえのない素敵なことですね。日頃、当たり前のように「きょうの朝」が訪れると思ってしまっているけどそうではないんだなぁ、もっと毎日大切に過ごさなければと思いました。酒井駒子さんのモノクロの絵から、くまの悲しみがとても伝わります。やまねこと出逢い、その言葉にくまが救われたように私も感動して泣いてしまいました(/ _ ; )再読したい作品です☆

  • 大切な友だちを亡くしてしまった“くま”が、悲しみに暮れ、少しの間閉ざし、そして“やまねこ”と出逢い再生していく物語。
    出逢いと別れ、そして新たなる出逢い。テーマはとても普遍的なのだけど、酒井駒子さんの美しい絵とともに描かれているこの絵本からは、“くま”の言いようのない悲しみや再生の喜びが、とても深く優しく伝わってきます。

    大切な誰かを失った時、一度深く深く落ち込むことって必要なことだと思う。すぐに元気を取り戻す必要なんてない。
    暗い闇の中からある日抜けて見えた空はとてもきれいに見えるし、そのあとの新しい出逢いも素直に受け入れられるようになると思うから。

    “やまねこ”もきっと誰かを失った経験があってこその、“くま”への優しさだったのだと思う。
    このふたりの旅が出来るだけ長く続いてくれることを祈りたくなるような、そんなすばらしい絵本です。

  • くまと、小さなことり。
    どんなに大好きでも、”生きている”限り、ずっと一緒にはいられない。

    「こんな日が来るなんて・・・」
    ある朝起きると、ことりは静かに横たわったまま。
    あまりにも大切な存在を失ったとき、心の支えが突然失われたときでした。

    「忘れなさい」
    そう周りの動物たちはささやきます。

    そんなある日、旅をしていたやまねこに出会います。
    自然と悲しみを包み込んでくれるやまねこと話すうちに、
    くまはことりと過ごしてきた日々を一つ一つ、思い出していくのです。

    「忘れる」のではなく、「乗り越える」のではなく、
    悲しみは悲しみのまま抱えていても、前に進めること。
    くまは自然と、ことりの死に向き合えるようになっていきます。

    早く立ち直るのではなく、自分のリズムを刻みながら生きてね。
    大切な人を失ったすべての人に、そんなメッセージをくれるような1冊です。

  • 別離と旅立ちを描いた絵本です。喪った悲しみは少しずつ癒えていき、新たな希望がやってくる。月並みで使い古された文句も、湯本さんの美しい文章と優しい世界観が新鮮な感動を与えてくれます。大切な者を亡くした苦しみを持つ人々が、少しでも心安く癒されますように。

  • 大切な人を亡くした時、そこをどう過ごすのか。
    喪失の痛みは、本人にしか分からない。
    寄り添ってくれる、やまねこの存在は大きい。

  • 大切な人を亡くしたときの気持ちに寄り添ってくれる絵本。酒井駒子さんの絵が、そっと心の琴線に触れます。

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著者プロフィール

湯本香樹実 1959年、東京都に生まれる。東京音楽大学卒業。『夏の庭-The Friends』(新潮文庫・徳間書店)で第26回児童文学者新人賞、第22回児童文芸新人賞、ボストン・グローブ=ホーンブック賞(米)など受賞。他に『ポプラの秋』『春のオルガン』(新潮文庫)など著書多数。絵本に『もりのとんとんバンド』(「こどものとも年少版」2006年3月号、福音館書店)『くまとやまねこ』(河出書房新社)、童話に『きつねのスケート』(徳間書店)などがある。東京都在住。

「2016年 『おとうさんは、いま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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