アライバル

  • 河出書房新社
4.30
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本棚登録 : 1897
レビュー : 272
  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309272269

作品紹介・あらすじ

新たな土地に移民した者が、その土地で生まれ変わり、新生児のように成長していく。そこには過去の自分を捨てなければならない辛さと、新しい人生を歩むチャンスを手にした幸せとの両面がある。それをまるでサイレント映画のように一切の文字を使用せず表現した、究極の文字なし絵本。

感想・レビュー・書評

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  • セリフが一切登場しない絵本。しかし味わいのあるレトロ調の画風で表現される街や人の表情から、街の喧騒や穏やかではない状況、人々の喜怒哀楽が十分伝わってきます。
    活字は想像力を要するのに対し、絵本はある程度情報が揃っているので流し読みしてしまうことも多いのですが、この本は画のみでありながら重厚感のあるストーリーで想像力がとても刺激される作品でした。

  • これはまた驚きの本ですね。文字一切なしの圧倒的な絵本!移民をテーマに非常に細やかな描写、それもコマ送りのように動きが順に分かるようになっている。時代は19世紀末か20世紀初頭か。最初アメリカに押し寄せた移民の話しかと思ったら、あれよあれよとアナザーワールドへ。ここはジブリの世界?ハリーポッター?いつの間にか紛れ込んだ仮想の国。セピア色で統一された高い質感、表情だけでセリフが読み取れるリアリティのある表現、ファンタジーワールドの可愛い動物たち!圧倒的なスケールと質感で描く全く新しい絵本エンターテイメントだ!

  • 一切の文字が書かれていない、絵本。

    なのに、ストーリーがまさに「見えてくる」絵本。

    4年もの時間をかけて描かれた「移民」をテーマにしたこの物語は、とてもリアルな物語でした。

    ちょうど今読んでいるノーベル経済学賞を受賞した二人の経済学者が書いた「絶望を希望に変える経済学」では、第2章「鮫の口から逃げて」のテーマが「移民」で、まさにこの「アライバル」で描かれたストーリーと私の中で完全にシンクロしました。

    本当にすごい表現力。

    一切の文字が無いのに、ノーベル経済学賞を受賞した経済学者が約60ページものページを割いて語っている内容をほぼ完ぺきに表現しているように思いました。

    世界の多くの国で「移民」はその受け入れ国の経済を支え、その国の発展に貢献をしています。

    しかしその「移民」がなぜ住み馴れた故郷を離れ、一番大切な人と別れて「移民」の道を選ばざるを得なかったのか、そのことに思いをめぐらすことができる人はあまり多くは無いのかもしれません。

    この絵本「アライバル」は「移民」の道を選ばなければならなかった理由や背景を見事に描いているように感じました。

  • 素敵な本です。
    例えば隣人愛なぞと言えば押し付けがましく困難で、時には偽善的ですらある。ところが人情と言いかえれば、それは私達が皆等しく最初から持っているもの。何の意識もしないけれど。

    ここにあるほんのちょっとした一瞬の人と人との繋がり、触れ合い、温かみ。自然に出ては消える、笑顔や気づかい。
    それこそが世界を我々を生かす大きな力なのではないか。

    本書は現在の分断された世界に対する優しい戦いなのかもしれない。アキ・カウリスマキの映画「ル・アーヴルの靴みがき」の様に。
    人情は金では買えないが、無くなった途端に世界は滅びるだろう。人の表情、仕草、その営みの何もかもがなつかしく心を打つ。

    サイレント絵本。セリフがないからこそ無限のセリフが聞こえる。

  • セピア色 幻想的な世界 グラフィック・ノヴェル
    移民者の方々の体験談から着想を得た世界

    家族との別れ
    長い旅路
    通じない言葉の中でなんとか思いを伝え交流し助けられ生活していく
    文字はなくても、文字があるように
    移民先の世界観、人々の日常が伝わってきた

    とても細やかな描写
    観入ってしまった

    カバー表紙折り返し部記載文
    arrival / 到着、(新しい方法・製品などの)出現、(季節・行事などの)到来、やって(引っ越して)来た人、新顔、新参者、誕生、赤ん坊
    新たな発見土地に移民した者が、その土地で生まれ変わり、新生児のように成長していく。
    そこには過去の自分を捨てなければならない辛さと、新しい人生を歩むチャンスを手にした幸せとの両面がある。それをまるでサイレン映画のように一切の文字を使用せず表現した、究極の文字なし絵本

    作者あとがき~
    この本の大部分は、さまざまな国や時代の移民の方々の体験談から着想を得ている。

    ギュスターヴドレ Over London by Rail

  • 2019.07.07 読了
    8ミリフィルムを観ているようなレトロ感。掴みきれない部分もあったけれど、想像力を掻き立てられるようで、それもお気に入りの理由。

  • 不思議な世界でありながら、いつかの過去の世界であり、また未来でもあるような世界。丁寧な絵で、言葉がないことで、私たちの中から言葉があふれてくる、すばらしい絵本。

  • 月イチ絵本。
    うむ。
    わからん。
    絵はスゴいし、変な生き物は好きだし、なんだかわからん奇妙な国もよい。
    が、わからん。
    セリフ文章なしのサイレントなのでますますわからん。
    そしてなんとも言えない不安感。
    サイレントだからさらに不安感が増す。
    しかしページをめくる手は止められない。
    わからんのに。
    最後までわからん。
    なのにわかる。
    わかってしまう。
    そうか。
    色々大変だったし不安だったよな。
    でも最後はまあ家族と共に幸せそうでよかった。
    結局全然わからんままわかってしまった。
    よい。
    スゴい。
    わかる。

  • 字を読むのに疲れてしまった時、ふと手にとってパラパラめくってみる。
    深い意味があるんだろうけど、そう言う事は考えずにただその世界に浸る。
    癒される。

  • 『アライバル』    ショーン・タン

    全く文字の無い本。

    ゆっくりと一ページづつ深く味わう様に見ていくと、音が聞こえて来る様な気がする。光と影、人々の表情、不思議な世界。中に一文字も書かれていないのに、物語が伝わって来て、涙が出そうになる。



    あまりにも話題になり過ぎたからか、その時は高価に感じたのか、とても欲しかったのに買わなかった。



    先日、図書館で借りて来てあったのを静かに見ていると、書店でパラパラ見た時には、わからなかったことが、どんどん伝わって来て…。



    美術好きな家人が、珍しく目を留めて「原画で見たい絵だなぁ」と。一つ一つの絵を、原画の紙の質感を味わいながら見たい様な絵。それが意味を持って繋がっている。言葉は一切無い。



    部室に投稿して、こちらに投稿して無かったf^_^;

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著者プロフィール

ショーン・タン(Shaun Tan)
1974年オーストラリア生まれ。幼い頃から絵を描くことが得意で、学生時代にはSF雑誌で活躍。西オーストラリア大学(University of Western Australia)では美術と英文学を修める。これまでに発表したいずれの作品も卓越した内容と表現で評価が高く、オーストラリア児童図書賞など数々の賞を受賞。作品は世界中で翻訳出版されている。現代を代表する新進気鋭のイラストレーター、絵本作家として活躍する一方、舞台監督、映画のコンセプトアーティストとして活動の場を拡げている。9年の歳月をかけて映画化した『ロスト・シング』で2011年にアカデミー賞短編アニメーション賞を受賞。同年、アストリッド・リンドグレーン記念文学賞も受賞。現在、メルボルン在住

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