気仙川

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 54
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309273488

作品紹介・あらすじ

陸前高田市気仙町出身の写真家による、震災の前と後の写真八十点と、あの日をめぐるエッセイで構成されたドキュメント。

感想・レビュー・書評

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  • 老境に近づいた著者が撮りため ” un petit coin du monde” とラベルを貼った箱にしまってあった写真。東日本を襲った地震がそこに撮影されたあたりまえの日常を異化してしまう。震災前後の写真、そして著者が家族の安否を知るまでの文章が添えられている。

  • 東日本大震災とそれに伴う津波の被害、そして原発事故の影響。自分にとって、今までそれはメディアからの情報でしかなかった。
    多くの人たちがこの大災害に直面し、それに自らの人生を重ね合わせざるを得ない状況に置かれた。それらの人たちには、それぞれの語り尽くせない思いがあったはずだ。
    この写真集には、それらの人たちの中の一人の思いが記録されている。毎日の生活が、一瞬にして別世界のことであったかのように思えてしまう現実の姿が記録されている。
    その記録は、ともすれば「東日本大震災」という言葉によって、情報化され、歴史の一部となってしまうことへの抗い、人が毎日生きて生活しているという現実の重みを思い出させてくれる。

  • カテゴリ:図書館企画展示
    2014年度第6回図書館企画展示
    「命 -共に生きる-」
     
    開催期間:2015年3月9日(月) ~2015年4月7日(火)【終了しました】
    開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース

  • 美しい表紙。

    最後まで読み終わり、また最初に戻って前半の写真を見ると、胸がしめつけられる思いです。

  •  東日本大震災発生後3日目に、故郷を目指してバイクで新潟県・新発田入りしたカメラマンの著者は、4日目に山形県・酒井へ到着するが、大雪に足止めされている間に、岩手県・陸前高田市に住む母の訃報が届く。その後、友人たちの親切のリレーによって6日目の夜に故郷の土地に足をつけた著者は、「ただごとでない闇の暗さ」の中で、「今までの人生で経験したことがないほどの痛烈な刺激を、膨大に知覚すること」を覚悟する。
     地震発生後3日目から6日目まで、文章による旅のドキュメントの合間に、慣れ親しんだ故郷の写真が差し込まれる。著者のよく知った顔が並ぶ、暖かく親しい風景だ。しかし7日目以降、言葉は失われ、著者はひたすら、見知らぬ、他人の顔をした故郷をカメラに収めていく。
     この旅は、あまりに無慈悲だ。

  • 最初は字だけを無心に追った。焦り、葛藤、戸惑い、苛立ち。読み終えた後、写真をゆっくりとみた。心を抉られる様にただ苦しくて仕方なかった。見慣れた穏やかな風景。ずっと変わらないで続くと思っていた故郷の崩壊。「僕には、自分の記憶を助けるために写真を撮るという習慣がない」そう言っていた畠山さんの写真が今、記憶を確かめる写真として、存在している。それは、畠山さんの言う通り、人が写真を撮る第一の理由なのだと思う。

  • 読み終えることのできない本というのがある。これもそれだ。

  • ページを開くとほんわりとした田舎の風景写真が続く。故郷に駆けつけるまでの文章は苦しい。故郷の危機に迂回しながらたどり着く。
    レイアウトが急に変わる。津波による凄惨な光景が拡がる。

    愛する家族、知り合い、自分を包んでくれた故郷の風土、そんな大切なもの一切合財が目の前から消えた。行き場のない悔しさ、悲しさ、辛さがドキドキと胸に迫る。

    しかし、記憶(写真)に遺されたなにげない素直な日常風景の写真は消えない。

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著者プロフィール

1958年陸前高田市生まれ。筑波大学大学院芸術研究科修士課程修了。1997年木村伊兵衛賞受賞。著書に『Underground』(メディアファクトリー)、『話す写真』(小学館)など。

「2015年 『陸前高田2011‐2014』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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