チャンピオンズリーグの20年 ---サッカー最高峰の舞台はいかに進化してきたか

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309273518

感想・レビュー・書評

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  • 欧州チャンピオンズリーグの20年の歴史を分析・解説した本。各年の結果とトレンドの紹介はもちろん、当時のサッカー界をとりまく状況についても詳しく説明されている。
    CLの開始と発展は、同じころに始まった欧州統合とサッカーの商業化に大きな影響を受けており、CLの強豪国がイタリアからイングランドへと移り、近年ではドイツが存在感を強めていることも、サッカー界を取り巻く状況の変化の結果であることがよくわかる。
    現UEFA会長のプラティニが目指す改革は、メガクラブが選手を高額で買いあさり、またクラブが投資家のビジネスの対象となっている現状を改善しようとする理想に燃えたものであること、そして近年目立つCLにおける中小国の出場もプラティニ改革の結果であることがわかる。
    ヨーロッパサッカー界の解説として予想以上に面白かった。

  • アウェイゴールを発明した神々と、フットボールをビジネスにする悪魔たち

    人生の50冊 エンジョイライフ編 ベスト2

    フットボール界を革命的に面白くしたのが「チャンピオンズリーグの創造」だと思います。
    この本は国ごとにバラバラだったクラブサッカーを統合し、
    ワールドカップに並ぶフットボールの祭典を作り上げた
    男たちの20年間に渡る歴史の集大成です。

    なにしろチャンピオンズリーグの創始者たちは、
    「アウェイゴールはホームの2倍」という悪魔の発明をしました。
    ホーム・アンド・アウェー2試合においてその功績は大きく、
    ルール一つで巨大なビジネスを創り出すことが出来るということを証明しました。


    「フットボールの経営学」という個人的な興味として、
    ユーロ統合に先駆けて、フットボール経済圏を確立した

    その経営マネジメントを注目しています。
    この観点でいえば、あの有名なアンセムも広告宣伝のためのひとつのファクターです。

  • サッカーがより面白くなる

  • ボスマン以降の総括が読みたく手にした。
    印象的なチーム、試合が簡単にだが書かれていて懐かしい。
    ファイナンシャルフェアプレーの今後が気になる。

  • ビジネスの成功とクラブの成功は切り離せないものとなった

  • 今やW杯以上のプレー・レベルと言われる欧州各国リーグのチャンピオンズが一同に会すチャンピオンズ・リーグのこの20年間の歩みを纏めたもの。特に目新しい話題は無いものの、過去20年の欧州フットボール界を取り巻く話題と各年の決勝戦を中心に描いているので、あぁそんなゲームもあったなあ、と懐かしく思い出すきっかけにはなった。

    その中でも欧州フットボール協会UEFAの会長のプラティニを称して金満主義に汚されたフットボールをスポーツに、そして選手の手に取り戻そうという動きをしているという評価・視点が目新しいと言える。FIFAのみならずIOCや他のスポーツ界を牛耳るのはスポーツとは無縁の貴族然とした金の亡者とも思えるスポーツ・マフィア達であり、その中にあって唯一、フットボール選手出身者であるプラティニは異彩ではある。Financial Fair Playのルールを策定し赤字垂れ流しで選手の獲得競争をするクラブに一定のタガをはめようとする動きはその証明とも言えるかも知れない。

    とは言え、チャンピオンズ・リーグと並ぶUEFAのドル箱である欧州選手権はW杯と同じ構造的問題を抱えている。即ち、選手の給料は各クラブが負担し興行収入はUEFA・FIFAそして各国協会が取るというものだ。選手を出したクラブへの補償金支払いや怪我に対する保険制度など少しずつ改善はされているが、本質的な各国協会の「ただ乗り」問題は解決されてはいない。選手の大半がアマチュアであった時代に出来た国別対応戦の発想は良いのだが、FIFA・UEFA日程で選手を取られては疲弊してクラブに戻ってきてリーグ戦で敗退となると雀の涙程度の補償や保険では全くワリに合わない。本当は拘束期間に応じて選手の実給与を補償するのが筋なのであろうが、それではUEFA・FIFA・各国協会の財布は不足するであろうから解決策は難しい。

    日本は特にクラブチームよりも国別対抗戦、即ち「サムライ日本」人気が高いのだが、果たして日本サッカー協会のみが黒字で各クラブチームが赤字という理不尽さに何時気がつくのであろうか。クラブの好意と選手の名誉だけでは何時までも継続することは難しくなることを真剣に考えたほうが良いかも知れない。

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著者プロフィール

1962年生まれ、宮城県仙台市出身。95年からイタリア・アレッサンドリア在住。ジャーナリスト・翻訳家として、ピッチ上の出来事にとどまらず、その背後にある社会・経済・文化にまで視野を広げて、カルチョの魅力と奥深さをディープかつ多角的に伝えている。主な著書に『チャンピオンズリーグ・クロニクル』、『それでも世界はサッカーとともに回り続ける』、共著に『モダンサッカーの教科書』シリーズ、『サッカー“ココロとカラダ”研究所』など。

「2021年 『カルチョメルカート劇場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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