グアルディオラ主義: 名将の戦術眼は何を見ているのか

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 31
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309274690

感想・レビュー・書評

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  • 前回のものより、客観的な視点である。サッカーの歴史にも触れられており、図も見やすい。ただ、グアルディオラ個人に密着しているのは、前回のものだろう。

  •  どう評価するかは少し悩んだが、正直に書いておこうと思う。この本は、少なくともグアルディオラという監督を知ろうという方にはとてもお勧めできない。
     歴史的な系譜から現代のサッカーを見ようという意図は悪いわけではない。しかし、この本の半分以上を占めるのがそうした歴史的な話である。正直に言えば、オールドサッカーファンが知識を披露しているようにしか見えない。少なくとも、系譜を整理した形で提示しているわけではないことは指摘しておきたい。
     内容面でも、例えば「ビエルサはグアルディオラの同志」と根拠の薄い断言からビエルサの練習メニューを掲載しているが、実際のところ、ビエルサのサッカーはビエルサのサッカーである。グアルディオラとは全く関係ない。
     著者自身でさえ、ビエルササッカーはマンツーマンディフェンスを採用していてバルサと違う、と書いているのだ。結局、鮮度の落ちた取材内容を、理由を付けて収録したに過ぎないのだろう。私にはそう思えた。
     内容面での問題もさることながら、結局何が言いたいのかさっぱりわからないような話の運びも多く、また多くの類推の的外れについては脱力を禁じ得ない。
     たとえば、バイエルンとグアルディオラ監督が契約を結んだ理由(の類推)が二つ挙げられているが、一つ目は「キャリアアップのため、優勝しやすいブンデスのバイエルンを選んだ」としている。これはもはや、下種の勘繰りでしかない。
     その基準で言うなら、三冠を達成したチーム(これ以上の成績を上げることのできないチーム)を引き受ける不合理はどう説明するのだろうか。また、キャリアアップだけを考えれば、三冠チームを積極的に変革する必要性も欠けている。
     なにより、この項目では「なぜバイエルンはグアルディオラを選んだのか」という視点が抜け落ちていて、チーム側の構想しているプロジェクトという視点がまったく存在していないという致命的な問題も存在する。バイエルン変革の第三段階を担当している、という文脈が欠如しているのだ。

     非常に意地の悪い見方ではあるが、マルティ・パラルナウという人物がバイエルンに一年帯同して書いた「ペップ・グアルディオラ」という本がある。同時期のバイエルンを内部から見た本だ。
     後出の本であるが、この本を用いると、この「グアルディオラ主義」という本で書かれた内容の答え合わせができる。
     この見方から言えば、本著はあらゆる点で齟齬があると言わざるを得ない。外から眺めている立場では限界があるのは間違いないが、だからといって本としての評価に寸借を加える必要はないだろう。
     文章運びの不味さ、文章そのものの拙さも含めて、星二つと評価した。

  • 仕方がないといえばそれまでの話なのですが、この内容を書くならば、単行本にするより雑誌向き。それとも雑誌連載の書籍化なのか知らないけれど、グアルディオラよりも著者のことが分かる本。なので、私は別に西部氏のことを知りたくないよって方は読むべからず。

  • バルサBからトップチームを率いるようになり、ドリームチームを具現化し、わずか4シーズンでその幕を閉じたペップが注目された次のチームをバイエルンミュンヘンに決めてから1シーズンが経過した。

    2014ブラジルW杯、衝撃的な優勝を遂げたドイツの面々がそのバイエルンを母体にしていたことからも、彼の手腕、仕事ぶりがいかに影響力があるかがわかるだろう。
    すでに彼が取り入れた戦術については、様々なサッカー誌で取り上げられているが、なぜバイエルンを選んだのか?という視点での記事はあまり無い。
    その視点や、クライフ、ミケルスなどの系譜、ビエルサとの共通項などを様々な角度から検証する。

    西部さんは戦術の解説本が多いが、それだけに留まらず、歴史的な経緯なども多く入れてくれている。
    ジェフの連載を持っているという肩入れもあるが、それだけではない濃厚な解説が本書には入っていると言ってよいだろう。
    ぜひ読みたい1冊だ。

    ■目次
    第1章 世界王者への壮大なる実験(衝撃の3‐0!
    グアルディオラ監督の「ロングボールを使え」 ほか)
    第2章 究極のフットボールを求めて(バイエルンの戦術を変えるのは少しだけなのか
    “バルセロナ”の構成要素 ほか)
    第3章 なぜバイエルン・ミュンヘンを選んだのか(運命を変えたひとりの少年
    すべてを成し遂げた1970年代 ほか)
    第4章 グアルディオラのミッション(同志ビエルサ
    ビエルサのフットボール工場 ほか)
    最終章 世界戦略という名の野望(マリオ・ゲッツェの天才
    切り札としてのリベリー、ロッベン ほか)

  • グアルディオラが取った戦術の説明と、ドイツサッカーの歴史の話。

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著者プロフィール

1962年生まれ。サッカー専門誌「ストライカー」の編集スタッフとして、ヨーロッパサッカーを現地で長く取材し、2002年よりフリーのサッカージャーナリストとして活動。サッカー戦術、技術解析の第一人者。

「2018年 『サッカー最新戦術ラボ ワールドカップタクティカルレポート』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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