いちご戦争

著者 :
  • 河出書房新社
3.93
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309275093

感想・レビュー・書評

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  • フルカラーのイラスト集。

    Cocoonと同様、フィクショナルな少女たちの戦場。
    Cocoonはひめゆり部隊のような、史実と関連するような戦場と少女のリアリティーがあったが、こちらはもう少しメルヘン(?)な戦場。

    少女達が学校に集うように平然と戦場にいる。戦場はお菓子や果物の兵器などに置き換えられている。
    少女たちは淡々と無表情に、ただそこにいる。

    戦争という異常な非日常が、日常=かわいい状況を暗黙に強いられる少女達にとっての違和感、コーティングされた甘い世界とその奥にある、人間としての闇、青春独特の自分への穢れの思い。
    そんなものが含まれている気がする。

    現代アートの小沢剛の「ベジタブル・ウェポン」を少し思い出した。様々な国の現地の野菜を組み合わせて機関銃などに見立てた兵器を作る。まるで、アルチンボルドの絵のように。
    その銃を現地の女性に持たせた写真。その後その野菜をほどいて、武装解除するという、すこしユーモアのこもったアート。

    この作品は、どちらかというと戦争に対するメッセージというより、少女達、女性たちの日常の生きづらさにたいする違和感のようなもののひりひりさが強く感じられる。

  • ◆丸くてちっちゃくて三角で。甘くて酸っぱくてつぶれやすい。◆小さくてハードな装丁、コマどりもフリーハンド、書きなぐりのコメント、ピンク多め。少女の手帳のように読みにくい。◆会田誠作品のファーストインプレッションに似ている。甘い甘いお菓子戦争。でも。おふざけでないこと、そして作者の矜恃がビリビリと伝わる。◆濃厚な砂糖。痛くて目を背けたくなる。でもこの痛さを覚えていないといけないと・感じることができないといけないと・心の何処かが命じる。◆これはコミックでも文学でもありません。問題提起するARTです。心して。
    ◆追記: 『COCOON』既読でなかったら、この本の本気度はわからなかったかもしれない。

  • "BSフジ「原宿ブックカフェ」のコーナー“今週の新刊”で登場。
    http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/highlight/51.html

    「この本がなかったら、戦争とお菓子を紐付けることもなかっただろうし、ひとにとって戦争に近しいものであるということにも気付けなかったんじゃないかなと思いました。今日さんの描く、「いちご戦争」これを通して、どう思うか。皆さんがどう感じるかということをちょっと話してみたいなという気持ちになった本でした」(下北沢B&B 木村綾子さん)


    原宿ブックカフェ公式サイト
    http://www.bsfuji.tv/hjbookcafe/index.html
    http://nestle.jp/entertain/bookcafe/

  • たとえば、拡張現実というものについて
    ふたつの解釈があげられるだろう
    ひとつは、「見たくない現実を見ないために描かれる夢」
    もうひとつは「見たくない現実を見るために描かれる夢」だ

    この本は戦争をテーマにしたイラストレーション集なんだけど
    そこで表現されるネガティブな現実には
    すべてお砂糖がまぶされている
    それは、若者を戦地に送るためのプロパガンダのようであり
    同時に、悲惨な現実をごまかすための大本営発表のようでもある
    しかしまた別の角度から
    「生きることは戦うこと」という使い古されたレトリックを
    そこに重ねることも可能だ
    すべての子供たちが抱える、大人になることの不安を
    そういう勇ましい言葉でかき消してきた歴史というのは
    平和を追及してきたはずの戦後日本でも、確かに存在したのだ
    見るにせよ、見ないにせよ
    とにかく「見たくない現実」と向き合っていかねばならない
    それが生きるということなんだから
    しかしそのために、現実がお砂糖で埋め尽くされるものとすれば
    大人になるっていったいどういうことなんだろう

  • そのうち、戦争を正当化しない作品は描けなくなるかもね。

    河出書房新社のPR
    http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309275093/

  • <strawberry war>
      
    装丁/川名潤(prigraphics)

  • 消えそうな文字と角が丸まった紙

    女の子たちの夢の中の戦争は甘くて悲しい

  • レビュー見てると賛否両論?
    私にはものすごく刺さった。
    「かわいいーおいしーうれしー」と同じ世界にある、残酷な現実への風刺。

  • 甘さと狂気のマリアージュ。
    頂いた一冊。

  • マンガ書評集から、かな。でも今一つピンとこず。作者の絵の雰囲気は比較的好きなんだけど、本作は、自分的に内容が意味不明。以上。

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著者プロフィール

東京都出身。東京藝術大学、セツ・モードセミナー卒。自身のブログで、ほぼ毎日更新している1ページのショートマンガ『センネン画報』が単行本化され注目を集める。2005年に第1回「ほぼ日マンガ大賞」入選。2006年と2007年に『センネン画報』が文化庁メディア芸術祭「審査委員会推薦作品」に2年連続で選出。2010年に『cocoon 』、2013年に『アノネ、』がそれぞれ、文化庁メディア芸術祭「審査委員会推薦作品」に選出。2014年に『みつあみの神様』で手塚治虫文化賞新生賞、2015年に『いちご戦争』で 日本漫画家協会賞大賞(カーツーン部門)を受賞。その他の作品に『みかこさん』『かことみらい』『U』『5つ数えれば君の夢』など多数。

「2023年 『From Tokyo わたしの#stayhome日記2022-2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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