カフカの「城」他三篇

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 127
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (80ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309275758

作品紹介・あらすじ

“漫画の新たな可能性を拓く”と評された新鋭による驚異のマンガ体験●カフカの「城」●漱石の「こころ」より“先生と私”●ポーの「盗まれた手紙」●ドストエフスキーの「鰐」ポーやドストエフスキーの大胆にして精緻なマンガ化に出会うのは、斬新な新訳に出会うのと同じ嬉しさがある。ここにはまるごと1ジャンル、新しい文学の可能性が見えている。─―柴田元幸氏歴史上のブンガクも、森泉の手に掛かると同じ寸法に収まってエッセンスだけとなる。まるで魔法だ。――椹木野衣氏限られたページを読む間に小説そのものの世界を確かに生きることができる。心の奥深くにずっととどまる1冊。――柴崎友香氏

感想・レビュー・書評

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  • ◆カフカ「城」/ 漱石「こころ」より“先生と私” / ポー「盗まれた手紙」/ ドストエフスキー「鰐」◆黒と白の使い方が幻想的。黒は闇を思わせ、白は眩しくてハレーションを起こしているよう。煩雑な枝葉が意図的に削ぎ取られ、闇の中で物語の樹液(エッセンス)をひとしずく、口に含むような読了感。活字に埋もれていた言葉が、夢の中で聴く台詞のように官能的に蘇る。◆ポー「盗まれた手紙」の最後の言葉が、この本を象徴しているように思われた。“暗闇で 見えるものが ある / 考えて みたまえ 僕たちは 祈るとき 何故 / 目を つむるのだ”

  • 原作の漫画化ではない。
    原作となる小説「そのもの」を漫画で表現しようとしたものだと思われる。
    だからシーンの順序は入れ替わる。「城」など長さがまったく違う。
    自分は「城」は読み終わらなかったし「盗まれた手紙」は忘れたし「鰐」は読んでもいない。
    だから試みが成功しているのかどうか判断することはできないが、とても良かった。
    絵のタッチもすごくよい。

  • 「盗まれた手紙」の
    『暗闇で見えるものがある
    考えてみたまえ僕たちは祈るとき何故
    目をつむるのだ』
    という言葉すごい印象的だった

  • 小説のコアの部分を、作者の言う「たましい」を、16ページで圧縮して切り閉じて描く。
    城とこころと盗まれた手紙は、私はすでに読んだことがあった。鰐は知らなかった。
    私の知っているはずの話は、見たことのない姿で、しかし確かにそんな風だった、と思える形で描かれていた。この技量を信頼するので、鰐もそうなのだろうと思う。

    小説に、コミックとしての構図を与えること。映画ならカメラワークというべきところだが、コミックではなんというのか。

    霧島の見開きには驚いた。こころとは、これほど官能的な作品であったか。

  • 2015-4-10

  • 2017/3/18購入
    2018/9/28読了

  • 絵才かあるというのは羨ましい。文学作品を見事に、ビジュアル化する。しかし、その前にしっかりと読み取る力も要求されるはずだ。

  • カフカの「城」、漱石の「こころ」、 ポー「盗まれた手紙」、ドストエフスキー「鰐」の4篇をコミック化。
    本屋をうろうろしていると出会っちゃうんだなぁ…他三篇の中に漱石のこころが入ってるんだもの。あらすじをまとめるのではなく、世界観を表現している感じで、作品の手触りが伝わってくる(「こころ」以外は読んだことがないので、想像だけど)。画の質感が好きだなぁ。

  • カフカ、ドストエフスキー、漱石、ポーの小説を、各16ページで奇跡のコミック化! 柴田元幸、椹木野衣、柴崎友香氏絶賛、世界の名作がまったく新たに甦る驚愕のマンガ体験!

  • 漱石のこころ、カフカの城、ドストエフスキーの鰐、ポーの盗まれた手紙を16ページにおさめた短編集。どれも一部を切り取ったような、不条理でいて、どこか不安にさせるような編み方。作者の墨と水で描く独特の味わいも健在。こころ、だけは、読了後すぐまた再読。画面いっぱいの咲き乱れる躑躅が心にとまる。こちらの作品集も原作にあたってみたく思った。

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著者プロフィール

水で描き、そこに墨を落とし、細かいところは爪楊枝や割り箸を使ってマンガを描く。著書に最新作のコミカライズ作品集『村上春樹の「螢」・オーウェルの「一九八四年」』のほか、『セリー』『報いは報い、罰は罰』『ハルはめぐりて』『うとそうそう』『カフカの「城」他三篇』『耳は忘れない』『夜よる傍に』『祈りと署名』など多数。

「2020年 『ランバーロール 03』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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