わたしの土地から大地へ

制作 : Isabelle Francq  Sebasti〓o Salgado  セバスチャン サルガド  イザベル フランク  中野 勉 
  • 河出書房新社
3.92
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本棚登録 : 66
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309276120

感想・レビュー・書評

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  • 初めて見た時の衝撃は忘れられない。白と黒のコントラストが強烈
    な印象を残した。絵画のようだが、写真に間違いはない。美しく、
    訴えかける大きな力を持った写真。

    写真家の名前はセバスチャン・サルガド。「神の眼を持つひと」とも
    呼ばれる彼の写真は、人間は勿論、植物、動物、風景とこの地球上
    のあらゆるモノを捉える。

    本書はサルガドへのロング・インタビューをまとめた作品だ。彼が歩ん
    で来た半生は勿論、写真に対して、地球に対しての考え方が語られて
    いる。

    生まれ育ったのはブラジル。しかし、政治的な活動が原因となって
    フランスへ亡命。経済学を学んでその道に進むはずだったが、国際
    機関で働いたことをきっかけに写真の道へと入る。

    アフリカの飢餓、難民キャンプ、ルワンダ虐殺。撮られる側が過酷で
    あるだけではない。撮る側のサルガドにも大きな精神的負担があった。

    人間も、動物も、植物も、この地球上で連帯している存在なのだと
    言う。それは神のような存在が作ったものではなく、それぞれが必要
    に応じて進化した姿なのだと。

    サルガドがガラパゴスを訪れた際に出会ったイグアナ。その足をよく
    よく見てみると、なんと人間の手に似ていることか。このイグアナの
    写真は何度もみたけれど、本当に似てるんだよね。人間の手に。

    戦乱の地へ、アマゾン奥地のインディオの部族のところへ、南極や
    北極へ。サルガドは地球のあらゆるとこへ出かけて、カメラを構え
    る。そして、プリントされたそれは見る者の心を捉えて離さない。

    尚、サルガドは父から受け継いだ故郷・ブラジルの土地の再生も
    手掛けている。荒れ果てた土地に植林をし、環境の復元を目指し
    たプロジェクトは成功しているという。

    話し言葉を生かそうとした翻訳なのだろうが、若干、読み難いのが
    難点だが自然を撮影した作品の雄大さと重なるようなサルガドの
    人柄が伝わって来る。

    でもね、写真家についてはその作品を見るのが一番いいのかもな。
    我が家には洋書も含めてサルガドの写真集が数冊あるが、見るの
    に時間がかかるんだよな。見とれちゃって。

  • 時間があれば。

  • 写真家、セバスチャン・サルガドのインタビュー自伝。昨年、映画「地球へのラブレター」を見ていたので、記述されている内容は同じなのだが、じっくりと文章で読んでいくと、サルガドという人物の素晴らしさがじわじわと伝わってくる。写真集は「EXODOS」しか持っていないのだが、今、もっと見てみたい写真家である。

  • 常に人間を見つめ続ける写真家、サルガドの回顧録。政治活動に入れあげ国を追われ、フランスに渡り安定した職を棄て写真家となったサルガド。ブラジルの鉱山で働く男たち、アフリカの人々、ルワンダやソマリアでの惨状を経て、人間に繋がる動物達を撮し、自らをダーウィンの弟子であると公言する。西洋で無神論者であることを公言することが、社会的なリスクになりうることも承知のうえで。
    彼の眼差しは、常に人間に向かっている。打ちひしがれ、絶望し、それでも希望を感じ取るような写真の数々を見るたびに、私も力が沸いてくるようだ。
    ヴィム・ヴェンダースとサルガドの息子ジュリアーノ合作監督のドキュメンタリー映画「セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター」も合わせて見てほしい。邦題は最低のセンスだと思うが‥。

  • 報道写真家セバスチャン・ザルカドの人生。
    「待つのが嫌なら、写真家にはなれない」とザルカドは言う。写真家には忍耐が必要なのだ。
    ザルカドは1944年にブラジルで生まれた。彼は農園の地主の子息で、本国で経済学者を目指すが、独裁政権に反対しデモや抗議活動に参加する。その後、妻と共に留学名目でフランスに渡る。フランスでは、妻が建築学を学ぶ傍ら建物の撮影用に買ったカメラが、写真家になるキッカケとなる。その後、ロンドンの国際コーヒー機関に就職し、ルワンダに派遣される。アフリカでフリーカメラマンとなり、様々な分野の写真を撮るが、特に働く人達の世界、屠殺場、金鉱、炭鉱などの底辺の「社会」をテーマとして撮り続けることになる。
    ザルカドは、モノクロ写真で世界を切り取る。光と影が彼の写真の特徴だ。
    この本に記載されている写真と同様、彼の言葉もとても印象に残った。
    「作家はペンで物事の輪郭をなぞっていくが、私はカメラでなぞってきた。これは情熱だ。わたしは光を愛しているから」
    「良い写真を撮るには、たくさん悦びを感じなければいけない」
    「写真は物事を書き記す方法だが、世界のどこでも翻訳なしで読むことができる分、凄く強力だ」
    「いまにも息絶えようとしている人に対面した時、カメラのシャッターを切るか切らないかを決める。それが道徳だ」

  • もうこの足は土をつかむのを忘れてしまった。

  • 2015年90冊目。

    世界的な報道写真家セバスチャン・サルガドへのインタビューをまとめた自伝。
    解説にあるように、彼が「待つ」写真家であるというとても強い印象を受けた。
    ひとつのプロジェクトで、現場に何ケ月も、何年も密着し、自然と浮かび上がるように聴こえてくる声をとらえているのではないだろうか。
    そのような忍耐は、対象への深い愛情と探究心によって生まれているのだと感じた。

    「木を見せるといっても、わたしには緑は必要ない。海や空を見せるのに青がいらないのと同じだ。」

    白黒写真への強烈なこだわりとその威力は、中盤に収録されているいくつかの写真を見ればはっきりと感じ取れる。
    (「報道写真としては美し過ぎる」と批判されることもあるそうだが)
    彼の作品をもっと見てみたい、素直にそう思った。

  • ブラジルに生まれ、世界のさまざまな表情を撮り続けた高名な報道写真家、セバスチャン・サルガド。“神の眼”を持つとも称される彼の人生を、余すところなく描く貴重な自伝。解説=今福龍太

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