- Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309400518
感想・レビュー・書評
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田舎っぺである。が、沁みるのである。
いやしかし常に泥にまみれてる感じで、そりゃ農家はそれもしょうがないけど、家の中まで泥を持ち込むやらお婆ちゃんが汚し放題やらもうひっちゃかめっちゃかでなんつーか昭和感だ。
だがしかし若い二人はラブラブなのだ。いや何もそこまでというくらいなんでね、でもお姉ちゃんのほうがムッチリしつつも太ってるわけではないということで何それ惚れるわってことで気持ちは分かる。トマト栽培も頑張っていれば見る人は見てるってことさね。
かたや男の方も23にしてトマトに熱い思いを注ぎ込み、彼女がいれば十分と言い、父親はクズでもしっかりと独り立ちして。
いや似合いの夫婦だっぺ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
肉体的な、因習的な、血縁的な、そんな農村を駆逐していく金銭的な、見栄的な、装飾的な都市化の波。わかりやすくいうとそういうことなのだろうと思う。それを実に、文学的に表現した作品。
ただ、読んでいてさほど面白くなかったのは否定できない。
でも、映画をもう一度観たくはなった。 -
栃木などを舞台とした作品です。
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立松和平の遠雷を読みました。昭和50年代の宇都宮で新興住宅地に囲まれながらトマト栽培をしている青年と彼とかかわる人たちを描いた小説でした。私は永島敏行と石田えりが主演したATGの映画で観てとても気に入っている物語でしたが、立松和平が亡くなったこともあり、小説は今回初めて読みました。壊れてしまった村のしきたりと向かい合いながら農業を続けて行こうとする泥臭い青年の行動が魅力的に感じられます。お見合いで知り合ったガールフレンドの性的におおらかな考え方もいい感じです。「毎日こんなことができるといいな」「できるわよ、結婚すれば」という会話も印象的でした。とは言え、遠雷という表題が暗示するとおり、この二人を取り巻く環境はが大きく変わっていく兆しが見えているのでした。konnok的には、女性が不治の病にかかってしまうお涙ちょうだいの物語より、泥臭くても主人公たちの生命力が感じられるこういう物語の方がずっと気に入っています。