少年アリス (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
3.64
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本棚登録 : 2516
レビュー : 259
  • Amazon.co.jp ・本 (169ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309403380

感想・レビュー・書評

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  • 足穂だ!
    書評を先に読んでしまい興味を持った。
    幻想的であり、夢のようでもあり。

    卵(鳥になれなかった=未熟な?
    子どもから大人になるでもなく、子どものままでいるのでもない。
    月の光:霧につつまれた様な雰囲気。

  • 美しくて淡くて清清しい、少年のある夜の冒険譚。
    現実の世界とは異なるたゆたうような世界に迷い込んだアリスと
    現実の世界でとまどう蜜蜂。

    金木犀が淡く香る群青天鵞絨の天幕の空に細かく砕いた貝殻
    を散りばめて作った星を縫いつける。

    初めてこの本を読んだ日から20年ぐらいたっていることにびっくり。

    改めて読みたくて、文庫で買い直しして読んでみると、
    あの頃とはまた違う面が見えて改めて大好きだなぁと。

    夢と現実のあわいでいない相手のことを想い、お互いに自分を見つめ
    そっと自分の欠点に気づいていくところもいいなぁ。

    改造版も購入したので、どんな違いがあるのか楽しみ♡

    • kuroayameさん
      今もされているのかわからないのですが(少年アリスを読みはじめた頃、moeか何かで紹介されていて、長野さんが鉱石とか珍しい品々(物語に登場して...
      今もされているのかわからないのですが(少年アリスを読みはじめた頃、moeか何かで紹介されていて、長野さんが鉱石とか珍しい品々(物語に登場してるのでは?と思ったりしちゃったのですが)を販売しているショップがあり、憧れていたのですが、何分当時北海道にいたもので、東京など身近な場所でまだショップがあるようでしたら出かけてみたいと思いました(*^^*)。あやたんのレビューを拝見させていただき、今まで忘れていたことだったのでとても懐かしいです♪───O(≧∇≦)O────♪
      2012/11/14
  • 群青天鵞絨色の天幕が降りる。今夜もブリキの月と貝の星が煌めく夜。深い眠りにつくまでの微睡みのなか、私はモルタル二階建ての校舎の前に立っている。仄かに明かりが灯る理科室。夏と秋とがすれ違う噴水池に浮かぶ銀の実。水盤上の水鳥は宙を泳ぎ蛍星は消えてしまった。私は裸足でたっているのだけれど、吹く風の冷たさも踏みしめる砂の痛さも感じない。ただ、月が天蓋を這っていくなかぽつりと佇んでいる。誰にも秘密。私だけの物語。

  • 最初の一行からどっぷりと世界に浸かれるような作品で、一言一言がほんのり発光しているような控えめな美しさがある。何故だか死のにおいがちょっとして、アリスが迷い込んだあの世界は本当に怖かった。私はアリスが死んだんじゃないかと思っていた。
    でも結局アリスは時間のゆがみはあったものの元の(冒頭の)世界に帰って来れた。これが本当に本当なのかな、という疑惑は拭えず。本当にあの教師の言うとおり、アリスは夢をみていたのかもしれない。
    そういう、疑うに足る端くれを見つけるまではそのような問いは不適切であると思うけれど、実際そう深く感じられる世界を垣間見せられたあとではどうしてもそういう(平たく言えばマトリックスの培養液の中みたいな)世界であると疑うことをやめられない。

  • 夏が近付くと長野まゆみ作品を読みたくなります。
    再読でも、冷たく澄んでいる不思議で綺麗な世界でした。
    アリスと蜜蜂が迷い込む夜の学校、夏から秋へ変わる瞬間。星を夜空の天幕に縫い付ける。
    お話は優しいのですが、言葉の音の雰囲気とか、硬質な独特の世界です。
    初期の長野作品は恋愛色がなくて、こちらも良いです。

  • 15年振りくらいじゃなかろうか。
    それにしても長野さんファンは日本中に溢れていて、とにかく図書館でも書店でも、この少年アリスだけはそもそもなかなか目にすることがない。
    で、珍しく文庫版に出会ったので再読。

    やはりこの人は、特にこの一冊は、ひとつの時代を創った作品だと思う。おおくの人にとって特別な作品であるように、私にとっても特別な印象のある作品。
    アリス、蜜蜂と表記をずらしたところがなんとも衝撃で、なんて完成された人工の世界なんだと。この精緻なツクリモノとしての世界観が、白昼夢的に人を惹き付けて止まないのだと思う。なんか夏に読みたくなるしな。

  • 夜の学校に忍び込んだ少年が、夜中の生徒と間違えられ、その不思議な授業に参加させられる話。日常ではありえない授業内容が面白く、それを通じて彼らの正体がわかっていく。
    アリスと蜂蜜がお互い離れてみて、やっと相手を客観的に知れたような、大人になっていくような感じ。

    しかし、教師が、アリスがいくら違うと訴えても無理矢理仲間に引き入れ、誤解が分った後も自分の都合で彼を消したことは、子どもから見た大人の理不尽さを強く訴えているように見えたのだが、そういうことなのだろうか?

  • これは素敵本。
    文体がレトロであるということで敬遠していたのですが、読んでみるとレトロな文体から突き放されるのでなくて吸い込まれていく感覚になります。

    空想と日常の境界が曖昧模糊で
    混ざるようなとけるようなイメージです。

    水盆の中の銀杏が銀色に変わる頃に秋がくる
    すてきじゃないですかあぁぁああああ!

  • 小説に、意味や哲学を求める人がいる。
    自分も時として、その群れの中にいると気付く。
    しかしながら、本書を読み返すたびに
    そんな思いから解放され、純粋に虚構の世界へと潜り込めるのだ。

    「読書は楽しい。ファンタジーは楽しい。」

    いつも少年アリスを読んだ後はそう思う。
    長野まゆみ作品の魅力はなんと言っても、世界観。
    それを作るのはレトロな文体と、奇麗な単語。

    主人公はアリス、蜜蜂、耳丸。なんて愛おしい名前だろう。
    理科室、教室、廊下。
    子供にとっての日常は、日常であって世界の全てである。
    そんな感覚は誰しも幼い日に記憶していることだろう。

    主人公達もそんな、自分たちの小さな世界で
    どこか不思議な冒険を繰り広げるファンタジー。
    ハリーポッターやナルニア国物語のような、
    大味なファンタジーやアドベンチャーでは決してない。

    現実に感じる不思議を曹達水で割ったような、
    淡い淡いファンタジーである。

  • すごく綺麗。文体からして硬質で美しい。
    宮沢賢治を思い出した。国語の授業でぐらいしか読んだことないけれど。
    現代文の授業でやるなら、もっと、この文章で伝えたかったことは、とか、このお話のテーマとは、とかやるんだろうけど、趣味で読んでるんだからこの独特な透明感を味わうだけでもいいと思う。

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著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)
東京都生まれ。一九八八年『少年アリス』で文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で泉鏡花文学賞、野間文芸賞を受賞。

「2019年 『掌篇歳時記 秋冬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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