少年たちの終わらない夜 (河出文庫 さ 4-1 BUNGEI Collection)
- 河出書房新社 (1993年7月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309403779
感想・レビュー・書評
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カッコよかったよなー この本
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急逝してしまった感性若い著者の、
痛いほど鋭利で直球な10代ストーリー。
「 」と「 」の関係で成り立つ
物語の、すれ違いと同感が、言うならきらびやか。
文体は、まるで日差しが鋭い分
影もまたいっそう強い夏の日差しのよう。 -
表代作他3作の短編集。「二十歳になったら、何をやってもフツウのことになっちゃうよ」(『誰かアイダを探して』より)っていう、何かに追いかけられるような焦燥感を持っていた頃、たとえば高校を卒業して数年後くらいに読んでいたら、共感する部分も多かったのかなと思うお話揃いでした。今の私には遠い過去過ぎて退廃的としか感じられなかったのがちょっと残念。
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こういうのへの憧れは今でもある。
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バブル時代、もがく、悩む、モヤモヤする、未成年の若者たちの短編4編からなる。高校生で、タバコやら酒やら男女関係やら、最初、ストーリーついていくのに少し時間かかった。
そして表題作に出てくる人達は、1人も共感できないという珍しいパターン… -
鷺沢萠さんの作品を読むのはこれが初めて。
はじめに未成年が飲酒、喫煙、大麻(草)、クラブ通い、水商売、無免許運転、暴力的な表現などが悪気もなく描写されていてびっくりした。現代の高校生は一部例外を除いて昔よりハメを外さない真面目な人が多いので、こんなことをやってる人は少ないと思う。たぶん。周りの人間はそうだから。データサイエンスとかに憧れてる系が多い。現代ではむしろ、そんなの無意味で無生産、今更ダサいと思っている人がほとんどだと思う。
80年代の高校生はこんなことを本当にやってたのかな。読んでいてジェネレーションギャップが頭から常に離れなかった。それでも彼らが抱く大人になることへの違和感や、周囲からの若さへの羨望が受けられる様はどの世代でも変わらず、とても共感できた。
油膜を突き破れる大人になれるのか、なれなくても突き破るフリをするのか、どちらもできそうにないが、大人になったら高校生のように責任を伴わないで遊ぶことはできず、堅実に生きていかなくてはならない。失敗してもある程度、世間が寛容な今の時期に、やれることはなんでも挑戦し吸収していきたいと思った。「十代最後の夏休み」と聞くと、胸が苦しくなり切なくなる。あの頃の十代には一生かけても戻れない、と年月で実感する時が私もこのリンたちのように感じる時が来るのだろう。その時私はどんなことをしているのかな。最後の夏休み、めいいっぱい青春を満喫したい。
今、高校生のときに読んでよかったと思う。 -
フェア関連で復刊、高校の図書室で(おそらく)でたばかりのを借りて読んだ作品、なつかしくてつい手にとってしまった。
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19歳の少年は無敵だ。大学生になった彼らはモラトリアム期間を存分に楽しんでいる。今が楽しければそれでいい、どこか刹那的でもある。一方で彼女はひどく怖がりだ。もどかしさと苛立ちを抱え、楽しいだけじゃだめなんだよ。と。言葉が通じない異星人相手にしているような噛み合わなさ。彼だってほんとはわかってる。この「今」が永遠には続かないことを。彼女が「ぜんぶベストじゃなきゃ、外を歩きたくなんてないよ」っていうのは臆病とも違う。だけどさ、ぜんぶベストな状況待ってたら、終わっちまうぜ。いや、もう終わりは見えている。
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初めて読んだのは高校生の時だったと思います。
時代、というやつなのかな。どの時代にもその時の高校生の姿というものがあって、それは人によってそれぞれなんだけれども、少なくとも自分の中では、ここに書かれている主人公たちの姿がとてもキラキラしていて羨ましかったなぁ。
切り取られた一瞬であっても、迷いつつときには衝突しながらも一緒に過ごす仲間の存在があるのって、本当に良いなぁということを強く感じた作品でした。 -
時代は変わっても少年たちの今を生きる渇望は変わらない。悩み、焦り、迷い、成長していく。彼らにとっての夜明け前。