天才と狂人の間―島田清次郎の生涯 (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 59
感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309404097

作品紹介・あらすじ

少年時代から自分を天才と信じた島田清次郎が、弱冠20歳で世に問うた長編小説『地上』は記録破りの売行きを示し、彼は天才作家ともてはやされ、いちやく文壇の流行児となった。しかし、身を処する道を誤まり、またたく間に人気を失い、没落した。本書は、島田清次郎の狂気にも似た足跡を克明にたどり、没落のよってきたるところを究めようとした、直木賞受賞の傑作伝記小説。

感想・レビュー・書評

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  • 第47回直木賞受賞作。獄中で発狂し、糞便を垂れ流す姿はある人物を想起させる。誇大妄想狂の末路は同じだったということか。このような名作が書店で簡単に手に入らないのは誠に残念だ。

  • 天才と狂人の間―島田清次郎の生涯。杉森 久英先生の著書。自分の才能を信じて自分が天才であると信じていた島田清次郎先生。周囲から天才だ秀才だと言われることを経験した人は多いと思うけれど自分自身が天才であることを信じて疑わない人はあまり多くなさそう。天才と狂人はきっと紙一重。天才でも生まれた時代が悪かったり周囲の理解がなければ簡単に狂人扱いされてしまう。狂人でもささいなきっかけで天才扱いされることもある。天才も狂人も天才と狂人の間でさまよう存在。凡人として生まれて凡人として生きるのが幸せなのかな。

  • 大正時代、金沢で神童と呼ばれた回漕店の裕福な子息で文学好きな少年の家が没落し母と二人で貧困生活の中、小説家になる事を目指し毎日読書や思索、執筆に暮れていた。

    20歳の時に評論家生田長江に推薦され長編小説”地上”が新潮社から上梓される事ととなり無名な田舎青年が一躍文壇に彗星の如く登場した事は清次郎自身は横柄で放漫で自らを天才と自画自賛する性格からは何の遠慮や感謝も無く文士仲間からは疎んじられて行く。

    清次郎の絶頂期は地上が発表されてからの僅かに4年間だけで小説の評判も”地上”第一部が賛辞されているのみで地上の2部以降は売れはしたものの評価は低い。

    この小説は清次郎の生涯を綴った物で作者は清次郎と同郷の石川県出身、本作は47回直木賞を受賞して居り細部に亘る表現や主人公の気持ち等が真っ直ぐに伝わり清次郎の天才ぶりと異常さが克明です。

    本書の題でもありますが本当に天才だったのか或いは狂人だったのか、、、紙一重とはよく言われる言葉ですが島田清次郎は本当にその間を生きた作家だったのだと思います。

  • 島田清次郎について書いてある物を読めば読むほど理解できず、それが故に更に書いてある物を探して読みたくなるという矛盾した状態に陥った。

    この本については「自由人の系譜 杉森久英「天才と狂人の間」」というブログを読んで知って手にした。大方のところはブログで読んだような感じなので、この本を見つけることのできない方はブログに目を通すだけでもかなりエッセンスに触れられるのではないかと感じる。

  • 近代日本文学の鬼子・島田清次郎の伝記小説。無味乾燥な事実の羅列でもなく、創作に拠りかかりすぎるでもない、伝記の見本のような本である(だからこそ、ちょっと味気ないところはある)。

    本書は「大地」という1冊の小説で大正時代の文学界に突如登場し、まもなく塵のように消えた島田清次郎の特異な性格と短すぎる生涯を描く。

    「天才と狂人」とはうまく云ったもので、島田清次郎は中庸というものを知らない男だった。その真ん中で落ち着くということはかつてなかった。「あいだ」は彼にはなかったのだ。

    傲岸と卑屈、自信と不安、女性への純粋な愛と暴力、散財と質素――両極端な性格の彼はついに常識を知ることなく、自らの努力(読書量は凄まじい)と才覚(文才は確かにある)によって処女作にして大ベストセラーを果たすも僅か5年で同じ努力と才覚によって地に落ちた。最後は精神病院に収容され、彼は死ぬ。

    こんな自滅型の作家は日本の近代には他にいない。時代のせいにしてもよいが、島田清次郎彼自身の異常性に注目すべきだろう。パラノイア(偏執症)の顕著な実例である。どこか、貧しい生まれの青年の哀しみを帯びたパラノイア。

    解説(川村湊)がダメ。全然ダメ。この小説や島田清次郎についてなら、文芸評論家であろうとなかろうといくらでも書けるだろうに、小説の単なる要約になってしまっている。それもおよそ良い要約とは云えない。事実の受け取り方が幼稚なのだ。文芸ジャーナリズム云々なんて、だれでも書ける。いまこそ坪内祐三に解説を書き直してもらい、再刊をしてほしい。

  • 島田清次郎の評伝小説。第47回直木賞受賞作です。
    「天才」である自分に溺れて最後には狂ってしまった島田清次郎。
    吃驚するくらい同情できないのは何故だろう。

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