レストレス・ドリーム (河出文庫―文芸コレクション)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 76
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309404714

感想・レビュー・書評

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  • 『母の発達』とあわせて、言葉をひたすら解体していく作家なんだなと思いました。

    前半の大寺院の話とかほぼほぼ回収されずに終わるんですね。

    タコグルメとカニバットの気持ち悪さが短いながらわかりやすかった。縄跳びでペースを跳蛇側に引き付けてくところは、『だいにっほん~』でおんたこをドラムのリズムでやっつけてたところをほうふつとさせて痛快。

    「王子様の気味悪さ」についてこだわってますね。だいにっほん三部作にも出てきましたけど。昔話のステレオタイプというか、呪いを解体しようとしているんでしょうか。
    自分もなんか昨今のプリンセス(にまつわる問題)より、王子様のほうがヤバそうな気配を感じるんですけどうまく言葉にできません。

  • 「レストレスドリーム」「レストレスゲーム」「レストレスワールド」「レストレスエンド」の連作。

    再読。RPGのような共通夢に入ってゾンビと戦うという設定自体はとてもSFっぽいけれど、けしてSFにならないのが笙野頼子ならでは。武器はある意味、言葉そのもの。もちろん物理的な武器も手にしているけれど、基本的には文字を打ち込むことで主人公は闘っているように思う。

    それにしてもあまりにも具体的すぎる悪夢。それだけに「いつか王子様が」の流れるラストシーンは一種奇妙なカタルシスがありました。しかし笙野作品では王子様は迎えに来るどころか、迎え撃つべきラスボス。王子を倒して大団円というこの皮肉。

  •  硝子生命論に引き続き、二冊目の笙野女史であったが、どちらも毛色が違いながら主題は同じ作品であると思えた。
     ただ、こちらの方が面白かったかな。克明に描かれた悪夢の物語である。

     この作品を、というか二作ともなのだけど、何にしろこれらをフェミニズム的な視点から受け取ることにいささかためらいを覚える。
     もちろんそうした概念を用いた作品ではあるが、もっと根源的に自己を描くにあたって、その自己の一側面としてフェミニズム的側面が存在し、その面が強いという印象を受ける。
     醜悪に描かれる男性像は、同時に女性像をも鏡写しに醜悪なものとしている。つまりは、より根源的に人を描いていて、その突端がフェミニズムという寸法である。
     ここまで自己をさらけ出してえぐり出した作品で、ただフェミニズム的側面だけを取り出すのは、読者として不誠実にすら感じられる。
     他律的ではなく自律的な自己の獲得、というと陳腐で身も蓋もない解釈になるが、自己を獲得したことで蛇はお姫様に戻ったのだろう、と私としてはシンプルに解することにした。女性であるからフェミニズムとなろう、しかし、地獄は女性にだけ限られたものでないことは物語の中でも記述されているところである。

     それにしても、今更ながらに読んで作者の着眼には空恐ろしいものを覚える。
     言葉の世界に、虐殺という習慣がカーニバルとして行われ、細かな形骸化したシステムを無視すれば村八分、外からの人を受け入れ定期的にその世界へ落とす。
     その意図するところではないだろうが、個人的にはインターネットそのものの暗喩にしか見えないのだ。それだけに、本当に恐ろしく、その知性には脱帽するのみである。

     あと、余談であるが、巻末の解説は面白く読んだのだけど、読後感の邪魔になった気もする。他者の解釈も面白いには面白いのだけど。

  • やっと読み終わった…。ラストのスピード感は半端無かった。
    笙野頼子はフェミニズム的な論じ方をされるけど、それは単なる材料にすぎなくて、ことばそのものが対象であるというのに納得。

    結局、現実の跳蛇は、とか、現実では、とか言ってたけどその現実っていったいなんだったの。どこにあるの。
    (今今、どこにもないところに、あるのだろうか。)

  • 言語世界で構成された悪夢の闘技場の中で繰り返されるゾンビと言語と性差と闘う桃木跳蛇。言語ゲームの体裁をとりつつ、悪夢の世界の根幹は、日本語の構造ごと取り憑かれている女性差別、「昔々あるところに」で始まる王子様とお姫様の(男から見た都合の良い)物語。ラスボスは「王子様」。この生死を賭けたゲームで、ジェンダーの呪いから解放された「女」として生存出来るかどうかを賭けて闘っている。一体この人の頭の中はどうなっているのだろう?と覗いてみたくなる様な読後圧倒されてしまう小説。

  • す、すごい。の一言。
    誰かこれ映像化してよ、って感じ。
    再読したい一冊。
    普通の小説でこんなにエキサイトしたのは初めてだ。

  • 簡単に言えば、主人公がゾンビと戦いながら悪夢から脱出するという話。ゲーム感覚で話は進む。その内容はライトノベルのようだが、文章が純文学だ。難しい言葉も多くて、辞書なしでは読めなかった本。そのたびに中断してそれがまどろっこしかった。自分の教養のなさのせいだが。ゾンビとの戦い方が笙野氏らしいと思った。不可能にちかそうだが、映像で見てみたい。目からウロコの面白さだ。

  • 未読。
    ※ランク付け反対のため常に★5

  • 言葉・リズムに潜むジェンダーを潜り抜けるブス女小説<br />
    まとわりつくような文体が気持ち悪し<br />
    『負け犬』読むならこっち読んで欲しい

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著者プロフィール

1956年三重県生まれ。立命館大学法学部卒業。81年「極楽」で群像新人文学賞受賞。選考委員の藤枝静男に絶賛される。91年『なにもしてない』で野間文芸新人賞、94年『二百回忌』で三島由紀夫賞、同年『タイムスリップ・コンビナート』で芥川龍之介賞、2001年『幽界森娘異聞』で泉鏡花文学賞、04年『水晶内制度』でセンス・オブ・ジェンダー大賞、05年『金毘羅』で伊藤整文学賞、14年『未闘病記―膠原病、「混合性結合組織病」の』で野間文芸賞をそれぞれ受賞。

「2020年 『会いに行って 静流藤娘紀行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

笙野頼子の作品

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