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Amazon.co.jp ・本 (264ページ) / ISBN・EAN: 9784309405346
みんなの感想まとめ
幻想的でありながら、どこか切ない物語が描かれる作品集は、昭和末期のあやかし説話を基にした六編から成ります。各話は、奇怪で歪んだ美しさを持ち、明確な結末を持たない曖昧さが魅力的です。特に「ねむり姫」や「...
感想・レビュー・書評
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作者の退廃美・倒錯美への偏執的なまでの一途な愛を、そこはかとなく感じる昭和末期版あやかし説話集。
どのお話も、
奇怪で歪でどことなく淫美で、
劇的明快なストーリーでは決してなくて、
むしろ曖昧模糊で煙に巻くような結末で、
時に残酷。
それなのに、この吸引力はなんなのでしょう。
時折り挟まれる、まるで誰かから聞いた伝承に対して自身の見解を冷静に述べるような文章が、妙なリアリティと奥行きを添えているせいでしょうか。
収録作は、すべて日本の中世〜近世を舞台とした六編。
「ねむり姫」
「狐媚記」
「ぼろんじ」
「夢ちがえ」
「画美人」
「きらら姫」
人生初の澁澤龍彦作品だったのですが、つかみどころのない謎の魅力に、別作を読んでみたくなりました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
しばしのインターバルを経てTasso再読祭再開。
様々な典籍に材を取った幻想時代劇、全6編。
何度読んでも味わい深く、しみじみ面白い。
眠りに落ちたまま年を取らなくなった珠名姫と
異母兄つむじ丸の物語「ねむり姫」や、
望楼に幽閉された万奈子姫の悲恋「夢ちがえ」が
殊の外、切ないが、
もう一人の姫こと「きらら姫」が
遂に正体不詳で終わるところにニヤリとさせられる。
以下、多少の余談なぞ。
「ぼろんじ」(虚無僧の意)において、
主人公の兄を振武軍に導き入れたとされる
澁澤成一郎(1838-1912)は
明治以降、幼名に復して澁沢喜作と名乗った実業家で、
日本資本主義の父と呼ばれる澁澤栄一の従兄であり、
作者の親類にも当たる。
「夢ちがえ」の「箱の蓋を持ちあげてみると」の条(p.178)では、
つい、泉鏡花「天守物語」
朱の盤の登場シーン(これは汁が出ました)を連想。
「画美人」の、
ガラス鉢の金魚に情事を見られている気がする……云々は、
作者の初期短編「撲滅の賦」のヴァリアントだろうか。
江戸の大工の倅・音吉が
鎌倉時代へ時間旅行する「きらら姫」。
彼は地震で倒壊した日蓮上人の草庵を建て直すのだが、
日蓮の弟子・日興が「伯耆房」の名を賜り、
日蓮と共に身延山に入った経歴が、
鳥取の地名である「伯耆」を苗字として名乗る人々が
山梨県の身延町に存在するという謎に迫る鍵ではないか……
と愚考する。 -
「ねむり姫」
平安の頃。天竺冠者とその異母兄弟の珠名姫。
天竺が操るのが得意な輪鼓のかたちと、突然昏睡となったため輿にのせられ巡礼に出される珠名姫の身体のかたちは、どちらも紡錘形に収斂する。紡錘は天竺のつむじ?二度と開けられることのなかった姫の目?いと怪し奇し異し。
「狐媚記」
母が狐を産み、その雌狐は埋められたはずであるのに、弟はその狐を愛すようになって、口移しの狐玉のやりとりのうち精気を吸い取られるようにして死す。「狐憑き」とはこのようなことをいうのか。デカダンス、近親相姦、畏ろしを屏風の画のようにしてみせた。ふいに澁澤氏が演出家として顔を出す。
「ぼらんじ」
湯けむりの向こうに女人の扮装を解いた美麗な男。
その男を恋慕し、観音菩薩の「善男子となれ」という夢に従い男装、隠れて湯に浸かる女。
男と女は互いに相手が見えず、感じられるのは月を浮かべた湯の温みだけ。
結ばれたかのような温み。
とくに意味もなく音感が気に入ってつけたという題がよき。
他三篇
芸術品といってよいような物語ばかり。 -
どの話も惹かれる要素はあるのだが、手放しで「面白い!」と言い切れるほどではなかった。むしろ、あと一歩なのに、という残念な気持ちが……なぜだろう。時代にそぐわない言葉がたびたび出てくるのもひっかかる。こういうスタイルなのだと思えばよいのだろうが、E・Tはさすがになあ(苦笑)。せっかく『狐媚記』から辿ってきたのに、読み終わってみれば『狐媚記』が一番よかったという結果になった。
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『うつろ舟』などにならんで、晩年の『高丘親王航海記』への過渡作品とも言える、秀逸な短篇集です。『思考の紋章学』や『ドラコニア奇譚集』などに顕著なエッセイらしさが少なくなり、物語性に重きが置かれています。『高丘親王〜』よりはまだ文章/文体は固いかもしれませんが、ちゃんと分かるしちゃんと面白いです。
澁澤さんの模索過程が垣間見えるようで楽しいですね。『画美人』の金魚のくだりは初期の短編を彷彿とさせますし、文章の難渋さ自体は丸くなったものの、古語や漢語で飾られた豊麗な文章は典雅で気品があり、硬質な印象も受けます。どの作品のどの部分を見回してみても、洗練され高く築き挙げられているかのよう。この象牙の塔は、澁澤龍彦という匠にしか建てられぬものでしょう。
個人的お気に入りは、やっぱり『狐媚記』ですね。 -
『ねむり姫』リーダビリティはよい。ポニーで田舎者を馬鹿にするのがなんか
『狐媚記』狐の好物ってさうなのね。(原典読んで「澁澤作品の方が」と言へるレヴェルの筈)
『ぼろんじ』澁澤先生みとこーもんくらゐは見てたってどっかに書いてあった筈
『夢ちがえ』 琵琶湖の畔の話なのね。(田楽を舞ふ異形のなんぞが鎌倉でどうたら話があるさうなのだが先生の地元シリーズに入らない)
『画美人』へそー
『きらら姫』おさるスーツと、欲望に弱いキャラがそれを叶へて「あぁ、俺がナニしたあれが」と言ふのであったと言ふのが、衝撃。しかもタイムトラベルをするではないか。で先生の地元シリーズの壱。 -
平安や江戸が舞台の幻想夜話。
他の作品も読んでみたいです。 -
12/18 読了。
再読。ほとんど忘れてたので読みながらオチを思い出すのが楽しかった。 -
「夢ちがえ」「狐媚記」「画美人」が特に好き。後味は決して良くない、むしろ残酷と言ってもいいような話なのに、美しい物語だったと感じる不思議な読後感。端正な文章の中に時折顔を出す悪ふざけ(と言っていいのか分かりませんが)がくすりと笑えて楽しい。「(省略)。特異体質だな。」「いやですよ。そんな近代のテクニカル・タームは存じませぬ。」。ついつい笑わされる。
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河出文庫の表紙違いの作品を読んだ。「狐媚記」「きらら姫」が面白かった。
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短編集。
『ねむり姫』と『夢ちがえ』が残酷で美しくて良かった。
古い日本の物語なのにちょこちょこ横文字が出てくるところが澁澤氏らしくて好きです。 -
裏表紙に“あやかしの物語”と書かれていたけれど、不可思議というひと言では片付けられない世界だった。この作品を読んでいる最中、二度ほど憑き物的な夢を見た上、金縛りにもあった。脳が独特の魔術にかかってしまったのかもしれない。
淫靡でもあり、エッシャーの騙し絵のような怖さもある。洒落に富む上質でリズミカルな文章がなんとも小気味よかった。
澁澤龍彦、怖いもの見たさ的興味で、その扉の奥をもう少しだけ覗いてみたい気がする。 -
和風幻想小説。
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難しいと思っていたけど、読んでみたら言葉の響きと文章のリズムがとても心地よくて、するすると読んでしまった
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表題の作品がいちばん頭に残ってる。手を食べられてしまうとかどうやったら思いつけるのだろう。強烈。
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澁澤龍彦小説シリーズ。短編がいくつか入っているのですが、表題作「ねむり姫」がやはり一番お薦め。
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澁澤龍彦はやばい。スラスラ読める。一番引きこまれるものがある気がする。華麗なる虚構世界。
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星たちの燃ゆる障子の向こう側、狐火が誘う怪しい魔の入り口は恍惚と見た夢に似て妖艶。懐に差し入れたほんの少しの遊び心が、跳ねた小石と川面を撫でて、沈んでゆくのもまた一興。山越え谷越え向かった城の、庭で描くは女の愛。それが毒だと知らぬが仏、絡まる蛇は見知った欲望、すべてゆめゆめ忘れるな。
著者プロフィール
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