文章教室 (河出文庫 か 9-2 BUNGEI Collection)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 251
感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309405759

感想・レビュー・書評

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  • 著者自身をまるで反映しない登場人物たち。
    エッセイもそうだけど、全ては皮肉なのだ。
    なのに読んでしまう、あー面白いくすくす、と思いながら。
    あちらこちらの仕掛けを理解することは、まるでできないんだけど、こんな浅薄な読者でも許してもらえるだろうか?

  •  色々な楽しみ方がある本だと思う。風俗小説として読むと、人々の思惑が交差しあう様子や人々の持つ心の空虚などに共感や苛立ちを覚えることができて楽しかった。また、本作は地の文と主人公の日記からの引用文、作中の現役作家の著作や実際に存在するだろう書籍からの引用文とを繋ぎ合わせてできた小説であり、この引用文というのが抜き出すとどれも似たり寄ったりに感じられることから、「文章を書くこと」とはどういうことなのか?という投げかけや皮肉にもなっているように思う。

  • [ 内容 ]
    恋をしたから「文章」を書くのか?
    「文章」を学んだから、「恋愛」に悩むのか?
    普通の主婦や女子学生、現役作家、様々な人物の切なくリアルな世紀末の恋愛模様を、鋭利な風刺と見事な諧謔で描く、傑作長編小説。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 「書く」ことをテーマにした小説なのだが、実は「書か/けない」ところの方が重要である気がしてならない。一番最初のそういうシーンは、佐藤絵真が愛人と入ったホテルで「深紅の花柄のベッドの上に丸ごと置かれたニワトリ」を見たときの「うろたえぶり」をノートに「書くことができない」というところで、その「文章化できない」という事態は、もう一人の主人公である現役作家が失恋した際にも訪れる。剥き出しのままの「いま」の現実に直面するときがおそらくその機縁で、一方の主婦はそこに「嘘」(フィクション)を交えることで対処し、他方の作家は「告白」という禁じ手を使うことで、逆に文壇で評価されてしまう。強烈な皮肉のビルドゥングス・ロマン。

著者プロフィール

金井美恵子
小説家。一九四七年、群馬県高崎市生まれ。六七年、「愛の生活」でデビュー、同作品で現代詩手帖賞受賞。著書に『岸辺のない海』、『プラトン的恋愛』(泉鏡花賞)、『文章教室』、『タマや』(女流文学賞)、『カストロの尻』(芸術選奨文部大臣賞)、『映画、柔らかい肌』、『愉しみはTVの彼方に』、『鼎談集 金井姉妹のマッド・ティーパーティーへようこそ』(共著)など多数。

「2023年 『迷い猫あずかってます』 で使われていた紹介文から引用しています。」

金井美恵子の作品

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