旅のモザイク―渋澤龍彦コレクション 河出文庫 (河出文庫 し 1-40)
- 河出書房新社 (2002年3月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309406503
感想・レビュー・書評
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澁澤龍彦の書くエッセイは文章が軽やかですんなりと心に入っていくように思える。とくに旅のエッセイが私は好きである。「滞欧日記」は何度も読み返しては自分が旅に行くときに鞄につめる一冊である。そして、今回「旅のモザイク」を読んで日記とはまた違ったよみやすさと豊富につめこまれた知性を感じることができたように思える。本人は無精者で旅に出るまでは空港にも行きたくないと言っているが、彼とする旅はとても面白いだろうと思うのだ。そして何より旅を楽しんでいる様子が文章から伝わってくる。私は乗り物が得意ではないから正直海外旅行は御免こうむりたいところなのであるが、それでも彼の過ごした時間を感じていると外国の風に吹かれて旅をしてみたくなる。題名の「旅のモザイク」は彼の奥様である龍子さんがつけたそうだが素晴らしい題名だと読み終わった後にホクホクしたものである。旅で見た事、得たことを全て覚えておけるわけでも語れるわけでもない…だがモザイクが一見何も描いていないように見えて遠くから見ればその比類なき美しさに感動をするるように…旅も似たようなものだと思う。深く覚えているわけではなくても旅に行ったという記憶のかけらは何時か大きな物を作り上げるのだと…そんなことを考えた。澁澤龍彦が後年書いた物語にもきっと旅で得たことがちりばめられているのだろうと想像をしながら…
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タイトル通りの紀行記。南イタリア、中近東、そして日本列島と雑多な旅の記録をひとまとめに。
ペトラとフローラ――南イタリア紀行/千夜一夜物語紀行――中近東への旅/日本列島南から北へ -
もう一回読もうー
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2009/8/9図書館で借りる
2009/8/22読了せず、図書館へ返却 -
2002.3.20 初版 840
ゲーテにならい南イタリアに植物の原型を訪ね、日本列島の各地には自然を構成する四大元素の風景を訪ねる。そして中近東では――「どうやら私の旅行記は、バビロンの架空庭園の廃墟から出発して、ふたたび架空庭園の幻影にたどりついたもののようである。この幻影を薔薇の花のように、いつまでも新鮮に保つためには、いずれまた、旅行に出なければなるまい。」 -
とくに「風と光と影」の抄が好き。状況が好みすぎる!編集者のI君、私と替わってくれ!