- 本 ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309407319
感想・レビュー・書評
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樋口一葉(1872~1896)24歳で夭折の明治時代の作家。最近5千円札の肖像になって有名。
文語調ではあるが読めないわけではないと思いつつ、樋口一葉の「にごりえ・たけくらべ」(新潮文庫)をなかなか読めなくて積んでいた。
それを現代文学の最前線の作家たちが現代語で甦らせてくれる。願ってもないことと、原文を片手に楽しんだ。
「たけくらべ」訳・松浦理英子…1958年生まれ、著書『裏バージョン』
「やみ夜」訳・藤沢周…1959年生まれ、著書『箱崎ジャンクション』
「十三夜」訳・篠原一…1976年生まれ、著書『ぼくはスクワター』
「うもれ木」訳・井辻朱美…1955年生まれ、著書『魔法のほうき』
「わかれ道」訳・安部和重…1968年生まれ、著書『シンセミア』
読んでおどろいた。表現は大げさなものがあるが、少しも古くない。
情緒たっぷりの悲しい物語。若い作家が腕を振るって胸に迫る。
「たけくらべ」十代のほのかな恋心。
「十三夜」せつない結婚生活。
上記はダイジェストやお芝居になっているので知られているし、私も内容はわかっていたが、たたみかけるような描写の雰囲気、場面の展開おもしろさ。今回現代語訳を読んで、文章の襞にふれることが出来た。そして原文は美文調、きっと当時はおおいに流行ったのだろうと思う。
「やみ夜」…不思議な雰囲気をかもしている。一葉の不遇が揶揄表現されているような。
「うもれ木」…筋立てが面白い。アッと思う。
「わかれ道」…おねえさんと少年の交流。これもアッと思う。
現代語訳を読んでほんとに面白かった。これで原文が楽しく、よく読めるというものだ。
訳を担当した最前線の作家に、の作品にも興味が湧いてきた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
坊さんと花魁の決して交わることの許されない2人の思いが切ない。
どの話もハッピーエンドはなく、どこか物悲しい余韻に浸るのが正しい楽しみ方なんだろうな。
たけくらべは、訳ではあるが、原文に近く句読点が極端に少なく、読み進めるのに苦労した。
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最初の読みづらさから、かなり長い間読めずにいましたが、ちょっと読み出すと面白くてぐんぐん読めた(といってもちょっと時間かかったけども)。
とにかく切ない気持ちにさせられるものばかりでありました。
また原文の方も読んでみる。そういう意味では良い入り口になったかも。 -
原文のリズムや雰囲気を損なわないように配慮された現代語訳がとても良かった。
大人になるのはすごく悲しいことだ。けれど、誰にでも受け入れなければならない現実がある。そう思うと辛いけれど、やはりそれを受け入れ、生き抜いていくしかないのではないかと思う。
最後に、水仙の花が格子戸に置かれているシーンが印象的で美しく、どこか救われた気持ちになった。 -
樋口一葉 短編集
よ、読みづれ~というのが第一印象。
長い文、当時の文化など、この年代のは特に読みなれていなかったので辛かったです。
でも確かに不屈というか力強い登場人物たちは支持されただろうな~と、時代的な面白さは伺えられたり。 -
原作?原文?でも読んでたんですが、現代語訳、楽だ!!
私の好きなたけくらべも十三夜も入っている。樋口一葉の話は艶っぽくて悲しくてそれがいいです。 -
原文の作品を、読み取れているのか自信がなかったので、現代語訳で読んでみました。
樋口一葉さんのドラマティックで、目の前に風景や音、色が見えて来る勢いは そのままに、読みやすい訳でした。 -
たった数年のあいだに名作を生み出してしまう樋口一葉、とくに松浦理英子さん訳、解釈が良かったです。
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名作。
樋口一葉といえば、夭逝した最初の女性職業作家というくらいしか知らなかった。
この人は、よほど辛い目にあってきたのか。
小説なのに容赦ない、世の中そんなに甘くないと言わんばかりのバッドエンド。
そのブツッと終わる救いようのなさが、主人公を愛しくも気味悪くも憎らしくもいじらしくも見せる。
他の作品も是非読んでみたくなった。 -
山梨などを舞台とした作品です。
著者プロフィール
樋口一葉の作品





