澁澤龍彦初期小説集 (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 251
レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309407432

感想・レビュー・書評

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  • 世田谷文学館『澁澤龍彦ドラコニアの地平』
    http://booklog.jp/users/fukagawanatsumi/archives/1/4582286127
    観覧後、既読作を読み返したくなって書棚を漁り、
    Tasso再読祭(笑)。

    昔、福武文庫から出ていた『犬狼都市(キュノポリス)』
    収録3編を含む短編集。
    晩年の作に比べると文章の質感は硬めだが、
    作者自身が称揚した「幾何学的精神」が感じられて、
    これはこれで面白い。

    「撲滅の賦」
     恋人の心を掴む、小さな鉢の中の金魚に嫉妬する男の惑乱。
     サイズの大小にかかわらず、
     目玉というのはいかがわしい器官である。

    「エピクロスの肋骨」
     サナトリウムを脱出した青年と不遇な少女の出会い。
     タルホ的ロマンの雰囲気を醸しつつ、
     ラストはブラッドベリ風の不気味さ。

    「錬金術的コント」
     バーテンダーの切ない悲恋。

    「犬狼都市」
     父も継母も婚約者も冷やかに見下す麗子と、
     ファキイル(断食僧)と名付けられたコヨーテの交感。
     それにしても4カラットのダイヤの指環なんて、
     凄いな婚約者君(笑)。
     ところで今回久々に読んで、
     どことなく倉橋由美子作品に似た趣を感じたが、
     そういえば福武文庫版『犬狼都市』の解説は倉橋さんだった。

    「陽物神譚」
     ローマ帝国第23代皇帝ヘリオガバルスの物語を、
     異なる語り手の叙述――
     但し、一人称は全員「おれ」――で綴る。
     ・皇帝の命令で古い神殿を破壊し、
      新たな「玉葱」の神像を作る彫刻師カリクレス。
     ・女陰を穿って両性具有者となった
      皇帝ヘリオガバルスの思索。
     ・奴隷によるヘリオガバルスの淫蕩かつ悪虐な所業の描写。
     ・彫刻師カリクレスに刺された哲学者
      ――キュレネ派ヘゲシアスの弟子と称する――の
      今わの際。
     ・高級将校による祭の狂乱の描写。
      血の匂いに酔った彼は
      自ら何者かを殺害しようと思い立ったが……。

    「マドンナの真珠」
     遭難者を引き入れた幽霊船の船長以下、
     亡者の乗組員は、
     健康な生者に対する嫉妬と娑婆への未練に苦しむ。
     憐れで滑稽だが同情が湧く。

    「サド侯爵の幻想」
     バスティーユに投獄されたサド侯爵の白昼夢とフランス革命。
     稲垣足穂「ヴァニラとマニラ」参照。
     http://booklog.jp/users/fukagawanatsumi/archives/1/4309402879

    「哲学小説・エロティック革命」
     近未来SF日記。

    「人形塚」
     およそ適性があるとは思い難い、
     冷酷な小学校教諭・島谷24歳・独身の奇妙な体験。
     傷んだ人形の供養塔=人形塚に放置された「少女」を
     立て続けに下宿の部屋に持ち帰った彼だったが……。
     訪ねてくる友人の名が「種村」の箇所は
     何度読んでもお茶を噴きそうになる(笑)。

  • 収録された九編が九編ともあまりに幻想的であり、雨の日に静かに読むに適していた
    ただし、解説は言いたいことは理解できるものの、本書の最後に持ってくるには少し不足な感じが否めなかった

  • 2008年10月22日~24日。
    面白い!
    既によんでいた「高丘親王」「ねむり姫」「唐草物語」とは少し違う世界だが、やはりはずれなし!

  • 2015.11.06

  • なんだかとてもステキな小説集。特に『エピクロスの肋骨』収録の3作「撲滅の賦」「エピクロスの肋骨」「錬金術的コント」が好き。コケティッシュな少女の描写がいちいち洒落ている。海辺のサナトリウムから汽車に乗ってのメタモルフォーゼ譚だなんて設定だけでワクワクしちゃう。しかも少年がGペンで書く詩が変身の切欠ときたもんだ。表層にこだわる作家かな。それはそれですごくいい。だって表層ってとても大事だし、そこに澁澤ならではの美学を感じる。エロもグロも異端も全部〈ステキ〉に昇華してしまう、これもう小説自体がメタモルフォーゼ。

  • 幻想譚9編。
    『マドンナの真珠』が幽霊船のお話。
    『犬狼都市』『人形塚』が面白かった。

  • サナトリウムから逃げ出したコマスケ。東京行きの汽車の中で出会った、ものすごく眼の大きな痩せた女の子は、夜ごと都会の街角や酒場に立ち、その線香花火のようにきらきら燃える眼で男たちの吸う煙草の先に火を移し、わずかなお金をもらって生活していた。
    しかし少女のふかい眼の底には、一点毛のさきで突いたほどの、半透明の真珠母色が油の澱みのようによどんでいた──。

    シニカルなメルヘンチック小品『エピクロスの肋骨』ほか、『撲滅の賦』『錬金術的コント』の三作品を収録したものですが、私が読んだのは福武文庫から出ていた初期小説集。装丁が良いのです。
    この福武文庫刊の本は既に入手不可能なので、古本屋さんか図書館でどうぞ。

  • 【収録作品】
    撲滅の賦/エピクロスの肋骨/錬金術的コント/犬狼都市/陽物神譚/マドンナの真珠/サド侯爵の幻想/哲学小説・エロティック革命 二十一世紀の架空日記/人形塚

  • 「撲滅の賦」「エピクロスの肋骨」「犬狼都市」!

  • 小説…うん
    なんというか、学があれば面白いのかなあと。
    純粋に楽しむには不向きだった。

  • やっぱり「犬狼都市」は良い。何年たってもそれほど感想が変わらない。しかし澁澤が小説で目指した世界っていうのは、他にすぐれた書き手が存在してしまっているので、小説としてイマイチを出ないな、と、やっぱり思ってしまうのでした。

  • 再読。『撲滅の賦』、『エピクロスの肋骨』、『錬金術的コント』、『犬狼都市』、『陽物神譚』、『マドンナの真珠』、『サド侯爵の幻想』、一種のSF『哲学小説・エロティック革命 二十一世紀の架空日記』、『人形塚』の9篇の幻想短編小説集。ごく初期の頃から澁澤龍彦は「玉ねぎ」の、剥いても剥いても永遠に剥け続ける、また、1点のみに集中した内部構造という喩えが好きなのだな。この本に収録された作品、映像か舞台で見たい。意外な事に舞台に向いていると思った。

  • 他の人の評価がめっちゃ低いのが気になるけど、そこそこ読んだ中では一番これが面白かったです。

  • 初期作品を集めたもの。


    文章が綺麗だなぁと思いながら読み方進めていったが、気に入ったのは"犬狼都市"位だったのが惜しい気がする。
    インパクトが薄かったか…。

    不思議な世界観と、尋常の様で尋常ではない登場人物。そのなかで、下品にならないエロティシズムが見事にバランスを保っているのは流石だった。

  • めちゃくちゃかっこいい。
    もっと難しくてとっつきにくいと思ってたけど、意外と読めました。ちゃんと理解できているのかはさておき。

  • 初期の短編集。
    骸骨の船員と生きた若い女性と男の子の不思議な航海の物語『マドンナの真珠』が一番自分の中では良かった。
    骸骨になっても動き続ける哀しさ、生者への憧れを含む屈折した思いが物悲しい。

  • 2009/8/9図書館で借りる
    2009/8/22読了せず、図書館へ返却

  • 澁澤氏の作品で何が一番好きか?と問われれば私なら「犬狼都市」と答える。
    狼の子を宿す(という妄想を抱く)女の話なのだが、その女と狼の関係性が好きで何度も何度も読み返している。
    内容自体はありきたりと言えばありきたりなのだが、女の狼に対する献身や想いが澁澤氏がよく描く浮世離れした女性像そのもので気に入っている。
    この「犬狼都市」のほかにも澁澤氏らしい短編がいくつも載っているのだが、「人形塚」という作品は毛色が少し違っていて推理小説のような雰囲気がある。
    澁澤氏の作品を読むきっかけとしてぴったりな本だと私は思う。

  • 読後に感動して絵を描くなんてはじめての経験。
    素晴らしいです、

  • 気負ってる感じ。

  • 2006/11/17購入

  • なんだか覚えてないのだけど、幽霊船の「マドンナの真珠」や「人形塚」がまだ読みやすかったような気がする。視点は好きだけど何度も居眠った。

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著者プロフィール

1928年東京生まれ。東京大学仏文科卒。フランス文学者、エッセイスト、小説家、翻訳家。マルキ・ド・サドやジョルジュ・バタイユの著作の翻訳・紹介をする一方、人間精神や文明の暗黒面に光を当てる多彩なエッセイを数多く発表。晩年は小説を発表するようになり、遺作となった『高丘親王航海日記』は第39回読売文学賞を受賞した。1987年没。

「2018年 『ドラコニアの夢』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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