肌ざわり (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
3.93
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本棚登録 : 110
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309407449

感想・レビュー・書評

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  • 最初、小説だと思って読んでたら、何も物語が展開しないので読むのが苦痛だった。そこで、これはエッセイなんだと思いながら読むようにしたら、だいぶ読みやすくなった。しかし最後の2章は飛ばし読み。

    日常の些細な出来事を描写し、そこから想像力を広げて白昼夢的な世界に入っていく展開が多い。しかし、その世界に入り込むには、読み手にもかなりの想像力が必要だ。正直しんどかった。読み手の想像力を過信しているのではないか。しかし、そんな中でも主人公である私と娘の胡桃子は父子家庭であり、過去に何かあったらしいことが徐々に浮き彫りとなってくる。もうちょっとここを展開させて欲しかった。

  •  父子家庭で、お父さんと娘の睦まじい感じがとてもよかった。うらやましくなるほど良好な関係で、娘がしっかりしすぎではないだろうかと思うほどであったが、とても魅力的に表現されていた。お母さんとの間に何があったのか気になっていたのだが、最後まで明らかにされなかった。

  •  なんだろう、感覚が言葉になって表現されている、そんな感じだろうか。
     言葉が言葉、としてではなく、もっと違ったものとして成り立っている。
     そんな文章を読んでいて僕はとても心地よい。
     エッセイなのか、小説なのか、現実なのか、非現実なのか。
     小学生の娘「胡桃子」と父の日常を描いた作品。
     ホノボノとしている中に厳しくて鋭い現実がさしはさまれている。
     いや、決して「ホノボノ」としているとは言えない。
     大学封鎖・学園闘争・赤軍・リンチ殺人・浅間山荘……。
     そんな時代を生き抜いてきた著者の影がくっきりと描かれてもいる。
     それはドンヨリと重く、暗く、暴力的である。
     それでも、最後の一編「冷蔵庫」の最後の一行は爽やかさであり、ホロリとさせてくれる。

  • 赤瀬川源平は、小説でも赤瀬川源平だった。
    とにかく面白い小説を書きたい、という強い意気を感じる。

  • 本作に娘の胡桃子は必須。胡桃子がいるからこそ、哲学小説として本作が成り立っている。では本作がなぜ哲学書ではないかというと、人間の身体のどうしようもなさが描かれているから。

  • ー2014/03/17
    「国旗が垂れる」以来読み続けた尾辻克彦であったが、10編に渡って同じタッチの文調に接すると、やや興味が薄らぐ。優れた私小説であることは認めるが・・・。
    「ちょっとつまみ食い」ならいいけど、好物ではないということか。

  • 胡桃子と父の日常 短編集。

    胡桃子の小生意気な物言いがso cute。

    仲良しだけど べたべたしてない ちょうどいい距離感。

  • 視点の移動の自在さ、について考える。文章において。晴れ渡る天気を見上げ、飛んでいる小さな羽虫にも視線は移り、なにもない闇になにかを発見する。拡大、縮小、あるもの、ないもの、見えるもの、見えないもの、視覚、触覚、その他感覚、なんでもごっちゃで、それら全部、ことばで。

  • 尾辻克彦処女小説集。
    独特のほんわかした視線からのどきりとする展開。
    娘の胡桃子とのやりとりがほんとうにかわいらしい。
    私も「ふふふ、」と笑える大人になりたい。

  • 思い出とかこだわりとか、その上から生じるなんとも言い表せない気持ちは、そのとき覚えている肌の感覚で代弁できたりする。食わず嫌いから縁側のテレビが持つ質感、そして不躾な床屋へのイライラした恐怖感を、みごとな「肌ざわり」の感触表現で描ききっている。20年前とは思えないほど新鮮な一冊です。「わだかまってるでしょう」という主人公の娘の一言がかなりいいところで染みます。

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