- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309407456
作品紹介・あらすじ
お墓というのは、家の中でいうとお風呂場みたいだ-。父の遺骨を納める墓地を見に出かけた「私」の目に映るもの、頭をよぎることどもの間に、父や家族と過ごした時代の思い出が滑り込む、第84回芥川賞受賞作「父が消えた」。その他「星に触わる」「お湯の音」など、初期作品5篇を収録した傑作短篇集。
感想・レビュー・書評
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うーむ
路上観察的なものを期待したが詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
解説:夏石鈴子、芥川賞
父が消えた(芥川賞)◆星に触わる◆猫が近づく◆自宅の蠢き◆お湯の音 -
読み始めてすぐは「ん? なんかつまらなそう」と思ったのだが、読み終わった今は「こりゃ面白い!」と真逆の感想になった。
起承転結がくっきりしている物語やヒーローやヒロインの登場を期待すると見事に肩すかしを食らいます。
ここに描かれているのは、日常のちょっとした風景。
そんな風景を自意識過剰的にああでもない、こうでもないと掘り下げて描かれている、まぁそんな説明じゃ不十分だし正確でもないんだけど。
面白い、というよりもは味がある、って表現の方がふさわしいのかな。
軽妙でユーモラスで、時々はそのユーモアが滑っちゃったりするんだけど、それがまた愛嬌があり、そんな中にも人間の負の部分、というか悲哀がちらっと顔をのぞかせていたり。
擬音の使いかたも独特、交わされる会話も独特、とにかくユニーク。
格言めいた素敵な文章や、独り言的ないやにすっとぼけたセリフがそこかしこに散らばっているのも、読んでいて気持ち良くなってきます。
最後の「お湯の音」が一番のお気に入り。
出前の銭湯(!)の話なんだけど、読んでいて少しだけ幸せな気分になれました。 -
¿尾辻 ≠ 赤瀬川?
「新解さんの謎」や「老人力」で有名な赤瀬川原平が小説を書きました。
その名も「父が消えた」。
八王子霊園にある亡き父の墓を友人と一緒に訪ねるお話です。
エピソードそれ自体ではおもしろみに欠けますが、注目してほしいのはそこに描れた(ママ)「世界観」!!
異常とも言えるほど鋭い観察と、どこか笑える表現。
赤瀬川原平とは一味も二味も違う世界が展開しています。
普段とは違う視点をもって尾辻ワールドを探検してみませんか?
【神戸市外国語大学 図書館蔵書検索システム(所蔵詳細)へ】
https://www.lib.city.kobe.jp/opac/opacs/find_detailbook?kobeid=CT%3A7200198998&mode=one_line&pvolid=PV%3A7200498888&type=CtlgBook -
京都の恵文社で買った尾辻克彦の「父が消えた」
五つの短編集。赤瀬川原平の別名なのか。
「お湯の音」の胡桃子の跳ねる心が好きだ。
「星に触わる」軽薄な一円玉が拡大される所から両手のリズムへの箇所の描写が面白い。
「猫が近づく」の神経症的な部分は自分も持っているものと同じだ。
おもしろかった。 -
『部屋の蠢き』と『お湯の音』が好きでした。物がもつ性質の向こうに著者の生活がある。ハッキリと物を媒介にして、その媒介が及ぶ領域の中で思索や想像の力が広がっている。物の力が明確に使われている感じで面白かったです。
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不思議な作品である。
随想のような、私小説のようでもある作品。けれども詩的で、味わいがある。
ストーリーとしては、単にお墓を見に行くだけの話である。が、連れの男と会話したり、昔を思い出したりする中で、着想が羽を得たように飛翔する。
こういう書き方もできるんだと参考になる作品です。
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にゃんくの本『果てしなく暗い闇と黄金にかがやく満月の物語』より
(あらすじ)
七歳になるリーベリの元に、或る日、継母のケイとその娘ミミがやって来ます。継母に虐められ、リーベリは学校にも通えず、幼い頃から働かされ、友達すらいなくなります。
リーベリの心の拠り所は、亡くなったママ・ジュリアが遺してくれた魔法の教科書だけ。リーベリは毎日魔法の勉強をし、早く大人になり自由な生活を送れる日が来ることを夢見る毎日です。
成長したリーベリの唯一の仲間はぬいぐるみやカラスだけです。
或る日、そんなリーベリは、海岸にひとり男が倒れているのを見つけますが……。
↓ここから本を試し読みできます
http://p.booklog.jp/users/nyanku -
むーん。純文学はわからん!
こういうものになにがしかの深さを感じ、その深さを楽しむ人がいるのだろうが、僕にはさっぱり。
出来がいいのか悪いのかさえわからず、評価不能である。 -
-2014/02/15
「国旗が垂れる」にて尾辻克彦さんが赤瀬川原平さんであると知り、本書「父が消えた」が芥川賞受賞作品であることを知った。全編トマソン色に満ちており、充実した暇つぶしができる瞬間を過ごすことができた。