私の話 (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 187
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309407616

感想・レビュー・書評

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  • タクシーの運転手さんの話で、朝の通勤電車で泣きそうになりました。
    あたりまえだと思っていた「すこやか」への努力の重み。

    わたし、鷺沢萠さんの作品、好きなんです。
    好きすぎて、一度に読みたくないって思ってしまうくらいで、
    少しずつ読んでいるんです。

    これまで、鷺沢さんのことを、すごく繊細ではかなげな人なのかな・・と
    病弱で細身な作家さんを勝手にイメージしていたのですが、それってとても一面的でした。

    読み進めていくうちに、
    鷺沢さんは、その繊細さや鋭さを、自らのイメージの世界で優しく暖めて育てる、
    って感じの人じゃなかったんだな、って気付きます。

    むしろ、自らのその感触を確かめるように、
    本能、本音に身をゆだねて、
    全身全霊で現実社会のドアをノックして、
    全然知らない世界にひとり乗り込んで、体中生傷だらけになって、
    でも自分の欲しかった宝物はしっかり握りしめて帰って来る、みたいな人だったんじゃないかな、って思い始めるんです。
    それは最後の酒井順子さんの解説で、すとんと腑に落ちます。

    もし、もしですけど、
    同じ時代をそばで見れる関係にあったなら、
    わたしはきっと鷺沢さんがまぶしくて、残像しかリアルに感じられなかっただろうなと思う。
    それほどまでに、あまりに速く、まっすぐ伸びていく彗星のような方だな・・と思いました。
    そして、その彗星はどこに向かおうとしていたのだろう、としんみりするのです。

  • たぶん帯の「次々苦難に見舞われた作家の波乱の半生」と言う文章に惹かれて買ったのだと思うけれど、読まずに置いてあった一冊。
    鷺沢萌の作品も読んだことが無く、どんな人物か全く知らなかった。
    自分のツールが韓国にもあったことなど、確かに波乱に満ちた半生ではあったけれど、この本では生きる希望のようなものを感じることが出来た。それだけに彼女がもういないことが残念に思う。

  • 「私の話1992」は、どこか別のところで以前に読んだ記憶がある。
    一見、明るくたくましく強く見える、この人のかよわい部分を見ると共感して嬉しかったり苦しかったりして、いつも泣きそうになる。
    小説だけでなく、エッセイも同じくらい好き。

  • 1987年に19歳で文學界新人賞を受賞した著者が自分の過去の中から三年間だけを選んで「私」を語った。父の死、母の乳癌、祖母から受け継いだ朝鮮韓国人の血。それは、彼女の人生において外す事の出来ない節目である。苦難か、それとも天啓か。2004年、35歳でふらっと何処かへ逝ってしまった鷺沢萠の等身大の姿が見えてくる。

著者プロフィール

鷺沢萠(1968.6.20-2004.4.11)
作家。上智大学外国語学部ロシア語科中退。1987年、「川べりの道」で文學界新人賞を当時最年少で受賞。92年「駆ける少年」で泉鏡花賞を受賞。他の著書に『少年たちの終わらない夜』『葉桜の日』『大統領のクリスマス・ツリー』『君はこの国を好きか』『過ぐる川、烟る橋』『さいはての二人』『ウェルカム・ホーム!』など。

「2018年 『帰れぬ人びと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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