黒冷水 (河出文庫 は 12-1)

著者 :
  • 河出書房新社
3.41
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本棚登録 : 1155
感想 : 101
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309407654

作品紹介・あらすじ

兄の部屋を偏執的にアサる弟と、罠を仕掛けて執拗に報復する兄。兄弟の果てしない憎しみは、どこから生まれ、どこまでエスカレートしていくのか?出口を失い暴走する憎悪の「黒冷水」を、スピード感溢れる文体で描ききり、選考委員を驚愕させた、恐るべき一七歳による第四〇回文藝賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 作者17歳の時のデビュー作。文藝賞受賞。
    一気読みするほど面白かった。‥‥が、誰かに薦めたくはないかも‥‥

  • 陰キャな弟と陽キャ風陰キャ兄の兄弟喧嘩。

  • 異様な兄弟の関係性が
    実は…

    恐怖→安堵→また恐怖…
    スピード感ある作品でした。

  • やられたら、やり返す!という復讐の無意味さを兄弟喧嘩という全世界共通な普遍的イベントに落とし込みながら嫌味ったらしく、バイオレンスに描いた内容は強烈!
    256ページからのリスタートな展開には絶句。からの着地に感服。綺麗事じゃない世界観が好み。これを17歳でカマした羽田圭介ヤバいでしょ。傑作!

  • 最近読んだ羽田圭介の作品が面白かったのでデビュー策を手に取ってみました。
    一言でまとめてしまえば、「陰湿な兄弟喧嘩の物語」です。その単純な舞台設定と、なんだか壮大な正義の戦いのように描いているけれど結局のところ「家庭」という枠組みの中の小さな物語でしかない、ということが、この作品の世界が身近に感じられる理由なのだろうと思います。

    お互いに激しく嫌悪している兄弟ですが、物語の語り手でもある兄は、弟への憎悪だけでなく、弟が兄である自分自身へ向ける憎しみの理由を考えたり、弟のあり様を受け止めようとしたりするなどの成長を見せます。
    そして、大団円……といかないところが、羽田圭介らしいところです。
    決して美しい物語ではありませんが、それでも読後感は悪くありませんでした。

  • 高2の兄、正気と中2の弟、修作。兄の不在時に兄の部屋を漁り、兄のエロ本などを盗み見ている弟。兄に気づかれていないと思っている弟だが、兄は気づいていた。だんだんに二人の間は緊張をはらんでゆく。幼い頃は仲の良い兄弟だったのに、いつからこうなってしまったのか。ある日学校のカウンセリングセンターでカウンセリングを受けると、意外なきっかけが浮かび上がる。一旦は弟への憎悪も収まりかけるが・・ お互いの憎悪は自身の感情の裏返しなのか。

    一体どこまで緊張が高まるのか、読み進めるにつれどきどきしてくる。これが羽田氏高3の時のデビュー作というのだから驚きだ。筆が落ち着いている。そして最後にきて、おっとー・・ こう来るか。

    「スクラップ・アンド・ビルド」「走る」に次いで羽田氏3作目。この2作とはうって変わった主人公たち。この兄弟の関係、羽田氏は兄弟がいるのだろうか。



    初出「文藝」2003年冬号 文藝賞受賞

    003.11.30初版(単行本) 図書館

  • 兄の部屋を漁る弟、罠を仕込む兄。幼稚で陰湿極まる兄弟ゲンカと、家族の絆と、成長と…?

    控えめに言って、頭のおかしな兄弟だ…

    と思ったら…えっ?何…?

    ……いや、やっぱ頭おかしい!

    少し笑えてかなり不安になる家族サスペンス!

  • 兄弟の戦いのお話
    ちょっと弟が異常なのかな?
    兄弟の仲が良くなくこの先どんな展開が?
    と思いながら読みました

    というか17歳の作品かぁ
    すごいなぁ

  • 事実は小説よりも奇なり的な?
    フィクションにフィクションを重ねることで、兄の異常性を浮き彫りにしたかったのかな。
    本物の兄弟愛に憧れている素振りをしながら、真には利己的で冷徹な兄の姿を描きたかったんだと思う。

    兄弟特有のマウント感など、私にも思い当たるところがあって途中怖くなった。
    私は一体何に怯えて妹にマウントをとっていたのだろう。
    独り占めしたかったのは親の賞賛?自分だけの友達?
    弟と髪の毛を引っ張ったり鼻血を出すような喧嘩をしていたことを思い出した。
    どうしてあんなに力を誇示したかったのだろう。

    親の兄弟への評価がそのまま自分のものとして兄弟への評価を下げていたことも思い出した。
    兄弟には申し訳なく思うが、今更どうしてあげたらいいのだろう。

  • 又吉じゃないほうとしてフューチャーされて、テレビでちょくちょく見かけてたときの飄々とした印象があったので、何となく作家として向き合うのが憚られこれが初挑戦。

    家族ひいては兄弟という非常に限られた世界の中で繰り広げられる攻防。何とも粘着質で気分の悪いやりとりが続くが、後半の展開がどどっと盛り上がり読む手を止めることができなくなった。ほとんどこの兄弟しか登場しないのにこれだけの物語を編み出す力はもう素晴らしい。でも、共感ができるとか前向きになれるとかという感覚は全くなく(この小説に求めてはいけないけど)、何故か2人とも愛しくなってくる。どれだけ成熟してる風でも中高生の感覚から逸脱はしていないし、そんな十代を誰もが経験しているわけで、2人の思考には多少心当たりがあったりするし、歳を重ねるごとに解決するだろうなという予感を感じる(結局感情移入してる)。

    しかしこんな作品を17歳でかぁ。選考委員がバックグラウンド心配にもなるよなぁ。

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著者プロフィール

1985年生まれ。2003年『黒冷水』で文藝賞を受賞しデビュー。「スクラップ・アンド・ビルド」で芥川賞を受賞。『メタモルフォシス』『隠し事』『成功者K』『ポルシェ太郎』『滅私』他多数。

「2022年 『成功者K』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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