次の町まで、きみはどんな歌をうたうの? (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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レビュー : 73
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309407869

感想・レビュー・書評

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  • タイトルに惹かれて読んでみた。
    登場人物たちの年齢が私に近い世代だからか、読んでいて難しい気持ちにならなくていい。
    気の置けない友人(関西出身)の話を聞いている気分。耳から(正確には目から)心へすっと入っていく感じ。

    柴崎さんは、誰かのある期間を「切り取った」ような小説を書かれる。
    その期間の前や後が必ずあると感じさせる。
    展望台のコイン式双眼鏡みたいに、途中でふっつりと終わってしまうように見えるけど、私たちがその人たちを垣間見る時間が終わっただけなのだ。そこからまた続きは私たちが知らないところで繰り広げられていく。
    そんな思いにさせられるほどに、この登場人物たちは、思ってる以上に私の近くにいる、気がする。
    いつかどこかで会えたら、楽しいかもな。

  • ディズニーランドに行く恵太とルリ子に便乗して、一緒に東京までドライブすることになった小川望とコロ助。真夜中のSAでの望のルリ子への告白、長年思い続けた東京に住む清水さんへのコロ助の告白、4人内部のそれぞれの関係性による様々な会話。たった3日の、それもほとんどが車中での会話なのに、4人それぞれの世界観がよく分かるのが面白い。
    この作品は時間の描き方がとっても上手。気の置けない仲間と過ごす夜の、なんだかフワフワして現実世界から浮遊したような感覚、その後に迎える朝の、紛れもない現実とある種の残酷さ、昼間の地に足の着いた面白みのない、けれどもありのままの時間の流れ。それぞれの時間にそれぞれの過ごし方があり、その表現の仕方が絶妙。夜から朝への変化って、非現実から現実へ変化する様をまざまざと体感させられるようで個人的には嫌いだ。切なすぎるし、このまま夜だったらいいのに、なんて思ってしまう。もはや恐怖ですらあるほど。それでも夜は明ける。様々なことが時間の流れと共に変化する。ただその自然の流れも悪くないんじゃないかな、なんてこの本を読むと思えてくる。休日、気持ちよく迎えた朝のような気持ちのいい読後感。

  •  これは映画化してほしい

     ヨ・ラ・テンゴの「The Crying of Lot G」

     「君が笑ったらぼくも笑ったような気分だ、君が泣いたらぼくは最悪な気分だ」

     ありきたりだけど素敵な言葉

  • 近づきすぎないから寛容でいられる。
    突き放していないから本当のこともいえる。

    日常にはドラマチックなことは起こらない。
    けれど、見えない心の交流はどんな形であれ
    日々交わされている。

    普段見過ごしているそんな風景を掬い取った作品。

  • 少し物足りない感もあったが、とても懐かしい気持ちになる良い作品だった。

  • あとがきにもあったが、懐かしさを感じられる一冊。夜のドライブも眠たくてしかたない大学時代、ともに懐かしい

  • 文学

  • 大学生とアルバイターのテキトーで楽天的な旅。
    胸に一物隠して、とか、暗い過去が、とかではなく、ただこういう来歴の人物が4人、深夜の高速の車中にいればこういう会話があるよね、という程度の話。
    中高は非モテ、大学で多少なりともゼミのリア充友人と交流をして、かすみ程度にその匂いを感じたこともある身として、
    ああこの人は池○くんだな、とか、ああこれは兼○くんっぽいな、とか、コロ助の妙な理屈っぽさはまぎれもなく自分か平○くんか斎○くんかというところだなー、とか、連想も楽しかった。
    この日々は、きらきら輝いているわけではないが、深夜に遠くのほうでぎらっと光る遠雷がある。
    それは忘れがたいのだ。
    まったく、記憶の底に澱のように、その後数十年残るのだろう。
    そこまで仰々しく書き立てなくとも。

    @@@@@

    後半に少し日付の揺れ、一人称の揺れがあるが、ちょっとやってみましたー、という程度。
    ひたすら眠いというギミックひとつを引き延ばして。
    悪い意味でのJブンガク的な気取りやお洒落志向があり、若い女性の感性だから許されるっしょーという甘えがあるのでは。
    オフビートな筆のすさびのように見せかけた堅牢な作風、が持ち味の作者のはずなのに、本当にすさびしてしまった。

  • 表題作『次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?』は望の自由奔放すぎる部分が少し鬱陶しく感じた。

    『エブリバディ・ラブズ・サンシャイン』は、柴崎友香さんらしさが出ている作品。ライブのシーンも好きだなぁ。

    解説の「毎日がこんなにもおもしろいしこんなにきれいやのに、それを何もないってどうして感じるのかな」という言葉も印象的。

  • だーいぶ前に読んだので再読。
    『次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?』
    望くんいいな。自由で。あこがれる。
    みんな文句言いつつも好きそうだし。
    何度でも挑戦しよ。ってなる。
    若いってそれだけでもう青春。

    『エブリバディ・ラブズ・サンシャイン』
    眠る描写がなんだか心地よくて
    3日間ぐらい眠りたくなる。
    周りのみんなも愛おしい。

    2作ともあったかい。
    冬の晴れた日の光がキラキラしてる
    教室の窓際の席。って感じ。

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著者プロフィール

柴崎友香(しばさき ともか)
1973年、大阪府生まれ。大阪府立大学総合科学部国際文化コース人文地理学専攻卒業。大学卒業後4年OLとして勤務。1998年、「トーキング・アバウト・ミー」で第35回文藝賞最終候補に残る。1999年、「レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー」が『文藝別冊 J文学ブック・チャート BEST200』に掲載され、同作が収録された『きょうのできごと』が2000年刊行、単行本デビュー。その後同作は2003年に行定勲監督により映画化された。2007年『その街の今は』で芸術選奨文部科学大臣新人賞・織田作之助賞大賞、2010年『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞、2014年『春の庭』で芥川賞を受賞。
主な著作に『次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?』『わたしがいなかった街で』『週末カミング』『パノララ』『かわうそ堀怪談見習い』『千の扉』『公園へ行かないか? 火曜日に』など。『寝ても覚めても』が東出昌大主演、濱口竜介監督で映画化されカンヌフェスティバルに出品された。2018年9月1日公開。書籍の増補新版も刊行されている。

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