青少年のための自殺学入門 (河出文庫 て 1-10 寺山修司コレクション)

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (151ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309408095

作品紹介・あらすじ

死ぬ自由くらいは自分で創造しよう!-死の音楽、死神占い、死と賭博等の考察から、自殺機械の作り方、上手な遺書の書き方、動機の立て方、場所の選び方、自殺のライセンスまで、死と真面目に戯れ、方法化し、受け身の死を排し、"充分に生きるために"死の確固たる思想を打ち立てることを軽妙な筆致で提唱する、寺山版自殺マニュアル。

感想・レビュー・書評

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  • 初、寺山修司!
    最初は、自殺の方法とか手順とか、遺書の書き方とか、そうした物理的な自殺の話が続く。

    そして彼は言う、「ギリギリ追い詰められた中小企業の経営者の倒産による自殺は、自殺のように見えるが実は“他殺”である。膨張しすぎた資本主義社会の歪みから出てくる自殺は、自殺いかんを問わず他殺であるから、私の〈自殺学入門〉のカテゴリーからはみ出す」。
    なるほど、わたしが時に考えること、それからこの国が生み出している数多くの自殺者は、他殺であって、彼が言うところの自殺ではないのだ。

    わたしは彼がこの作品の中でいう〈自殺学〉をきちんとは理解出来ていない。彼が美しいとする自殺に、わたしはむいてない。
    けれど、「家出/死」以降に描かれているのは、紛れもなく、この世界で、一生懸命生きようとしている者の肉声だ。まるで、体は家を出ていても、心は家から出ることができていない、そんなわたしの叫び声だ。

    ありきたりになってしまうけれど、死ぬことを考えることは、どう生きるかを考えること、さらに、親を捨てられるか否かにかかってるのだと思う。
    わたしが自分自身に向き合っている今、この作品に出会えて本当によかった。
    「家出のすすめ」「書を捨てよ、町へ出よう」も読みたいと思いました。

  • 自殺に関するエッセイがたくさん読めて良い
    特に遺書の書き方が面白かった!
    思っていた自殺が実は他殺だったってことに気づかされて目からウロコでした

  • (2023/05/29)

    思ってた本と違ったなぁ。
    生きよ、と言うために、婉曲的に自殺を説く本って感じです。

  • 今、数多くおこなわれている自殺は、実は他殺で自殺ではないという指摘は鋭い。

  • 自殺は自己表現、という所に衝撃を受けた。

    私だったら、白い花と赤い花で満たされ、アンティーク調の家具がある部屋で、人形(私と同じ服を着、同じ髪型)を抱いて、天蓋付き寝台で服毒自殺したいです。思いきり、恥ずかしいほど、少女趣味に走る。

    まだ素敵な、舞台に相応しい動機が見つからないし、自殺の価値も無い人間なので、当分先延ばしになりますね。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「当分先延ばしになりますね。 」
      ずっとズ~っと先延ばしにしてください。きっと別の舞台が見つかりますヨ、、、
      「当分先延ばしになりますね。 」
      ずっとズ~っと先延ばしにしてください。きっと別の舞台が見つかりますヨ、、、
      2013/09/10
  • 「自殺」という言葉の意味、概念がこの本を読んで少し変わった。
    「自殺」は「生から逃げてゆく死」ではなく、「もう一つの生へ向かっていく死」である、というのがこの本の言わんとすることである。
    しかし、この概念で死んでいく人は圧倒的に少数であると考えられる今の日本の自殺についてこの本で捉えることはできない。

  • 自殺、死、家出をテーマにしたエッセイ(なのかな)。
    テーマがテーマだけに寺山っぽさがにじみ出ています。
    「家出のすすめ」や、「書を捨てよ~」より、読みやすいので、入門編としてもいいのではないでしょうか。

    本書での、寺山の定義では、ノイローゼでの自殺は病死、借金苦での自殺は(政治的な)他殺ということで、「何一つ不自由がないのに、突然死ぬ気になる」という不条理の死のみを「自殺」としています。

    その辺りを押さえずに、タイトルだけ見ると誤解が生じるかも。

  • 「自殺の方法」というかたちをとって表現された、著者の死をめぐるエッセイなどをまとめた本です。

    「「人間いかに死ぬべきか」と思ったら、まずその尊厳を守り、方法化し、殺されるという受け身の死を排さなければならない。そして、死ぬ自由くらいは自分自身で創造したい、と思うのだ」と語る著者は、自殺を演出するためのさまざまな方法に心を配り、自殺のしかたを詳細に解説します。さらに、藤村操や円谷幸吉、あるいはサン=テグジュペリの『星の王子さま』などにおける死について、衒学的な議論を展開して見せます。

    デュルケームは『自殺論』において、自殺という実存的なできごとを社会学的な観点から論じる視点を示しましたが、著者はみずからの死を演出するという試みを通じて、社会的な意味へと還元された自殺をもう一度自分自身のもとにとり返そうとする身振りを演じて見せています。

  • 理想の死に方を考えてるけど自殺もありだなと思った

  • どう生きるかと同じくらいどう死ぬかも重要

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著者プロフィール

寺山修司(てらやま・しゅうじ):1935年、青森県生まれ。54年「チェホフ祭」で短歌研究新人賞特選を受賞、脚光を浴びる。早稲田大学教育学部在学中にネフローゼを発病、4年間の療養生活を送ったのちに劇団、演劇実験室「天井棧敷」結成。劇作家・演出家として活動するかたわら、映画監督、詩、小説、批評、歌謡、競馬評論など、国内外で様々な分野の才能を発揮した。83年5月、旺盛な仕事のさなかに逝去。

「2023年 『さみしいときは青青青青青青青』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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