人のセックスを笑うな (河出文庫)

  • 河出書房新社
3.38
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本棚登録 : 4195
レビュー : 723
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309408149

作品紹介・あらすじ

19歳のオレと39歳のユリ。恋とも愛ともつかぬいとしさが、オレを駆り立てた…美術専門学校の講師・ユリと過ごした日々を、みずみずしく描く、せつなさ100%の恋愛小説。「思わず嫉妬したくなる程の才能」など、選考委員に絶賛された第41回文藝賞受賞作/芥川賞候補作。短篇「虫歯と優しさ」を併録。

感想・レビュー・書評

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  • この本のことはずっと前から知っていた。
    でも読むことになるとは思っていなかった。
    タイトルの真剣な響きに気後れして遠巻きにしていたのだ。
    でも山崎ナオコーラさんの小説を読むならやっぱりこの本から読みたかった。
    そして読み終わった今は読んでよかったなと思う。

    すごく優しい物語だと思う。
    距離感というか、間合いというか、相手を尊重して離れていてくれる、ほっといてくれる恋。いや、愛かな。
    ぼんやりした好意が恋になって、執着になって、愛になる。
    離れてあげられる愛。
    離れていても終わらない愛。
    愛とはそういうものなのかもしれない。
    たぶん愛になれずに終わってしまう恋がとても多いんだろうな。

    そしてもう一つ、すごく正しい物語だと思う。
    どうしてこの人が好きなのか?
    好きになってしまったらわからなくなるこの問いに、唯一の正しい答えが書かれているように思う。
    これが本当なんだろうな、と感じる。
    その答えの正しさにほっとする。
    良かった。大丈夫。心が救われるような感覚。

    短くてさらりと読めてしまうけど、きっといつまでも心に残る。
    そんな物語だと思う。

    • まろんさん
      本も映画もとても気になっていたのですけれど
      takanatsuさんと同じく、私もタイトルに気後れして遠巻きにしてました。
      こういうところでシ...
      本も映画もとても気になっていたのですけれど
      takanatsuさんと同じく、私もタイトルに気後れして遠巻きにしてました。
      こういうところでシンクロしているのが、うれしかったりして♪

      他ならぬtakanatsuさんが「正しさに救われた」とまで書かれているので
      これはぜったいに読まなくちゃ!と勇気(?)が出ました。
      ありがとうございます♪
      2013/03/11
    • takanatsuさん
      まろんさん、コメントありがとうございます!
      「私もタイトルに気後れして遠巻きにしてました。」
      まろんさんと一緒だととても心強い(?)です!
      ...
      まろんさん、コメントありがとうございます!
      「私もタイトルに気後れして遠巻きにしてました。」
      まろんさんと一緒だととても心強い(?)です!
      とても印象に残るすごいタイトルだとは思うんですけど、ちょっと近寄りがたいものがありました…。
      「これはぜったいに読まなくちゃ!と勇気(?)が出ました。」
      まろんさんのレビュ楽しみです!
      2013/03/12
  • 1つの恋を余計な装飾をすることなく
    そのまま紙に落とし込めたという感覚で、
    「不倫」であるということの不快感も不純度も感じることなく
    ただ恋の始まりから恋の終わりまでを没頭して読み通した。

    少し上の浮いた地点から目の前にある磯貝くんの頭を眺めながら
    えんぴつでノートに淡々と日記を書きつける彼を見ているような感覚だった。

    「私、君のこと好きなんだよ。知ってた?」
    自由奔放で少しひんやりとドライで、19歳の男の子には
    想像を超える地点で物事を考えているように見えて
    実は彼女のほうがいつも怖くて潰れそうで
    離れていくその手を見たくなかったのかなぁ。

    恋なのかどうなのか思考することすらもできないスピードで
    キモチが絡み合っていく2人。
    2人の距離を近づけることを祈るようなスピードで
    しゃべり続ける彼の姿は、2人の間にある年の差を必死で
    埋めているようで微笑ましかった。

    ―――ブラジャーの中の乳首のように、オレを引っ張る。

    透明度の高い空の引力と、透けるようで透けない
    ユリちゃんの引力を表現するのにこれ以上ない感じがして
    この1行だけでもこの本に出逢えてよかったなぁという衝撃だった。

    彼をモデルにユリちゃんが書いた絵の1枚目は
    不安定な顔をした若い男の油彩画。
    2枚目からはどんな顔の彼の絵が完成したんだろう。

    木の枝と枝の間の空みたいに、夢とも現実ともつかず
    不確かな存在感のまま始まって消えていく2人。

    贈ったソックスと、贈らなかった手編みのマフラーの間で
    ユリちゃんのキモチは揺らいで恋は恋としてしか着地しなかったのかな。
    ふがいない彼のその先が見たくなった。

  • 読んでて、ハッキリ言って、この本の描写だけじゃ、客観的になんでユリが可愛くて魅力的なのか、ふわふわしている女だっていうだけで、全然わからない。だけども、なぜかわからないけど、ふと相手が無性に可愛くて思えてきて、セックスしたくて仕方なくなる瞬間があるのは、とてもわかる。

    淡々とした文体の中でも、そういう部分は、ああそうそう、そういうもんだよね、って感じで分かりすぎて困る。ありきたりだけど、好きになったりセックスしたいと思う瞬間は、理屈でないからだ。うちの奥さんは14歳年上で会社でも偉い人なのだが、とても可愛いいもんだ。

    それで訳も分からず、よくわからないうちによくわからない女に振られて、よくわからないけど涙がこぼれて、自分でも異常なほど女々しくなってしまうのも、わかる。分かりすぎて困る。

    それこそ、あの女とこんなセックスを死ぬほどしてきたんだぞ、くそー、どうだ、畜生。ヒトのセックスを笑うな、という気持ちになるのだろう。そういうもんなんだなあ。作者、センスがあるのは、認めます。

  • いつか読もうと思っていた作品。
    いつも思うけど人を好きになるって歳とか関係ない。
    好きになった。ただそれだけ。
    青春のせつなさ。

    • 9nanokaさん
      山崎ナオコーラ2冊目でしょうか?(^^)
      映画は見ました。永作博美綺麗でした。
      芸術家ならではなのかな?とも思いましたが、情熱が素敵だな...
      山崎ナオコーラ2冊目でしょうか?(^^)
      映画は見ました。永作博美綺麗でした。
      芸術家ならではなのかな?とも思いましたが、情熱が素敵だなと思いました。
      2014/12/20
  • 全日本男子がこうであってほしい一品。
    舞台が身近できゅんきゅん。。

    触ったらそのまま楽しさが指先に移りそうな目尻の皺とか、
    なんて美しい表現なんだろう。。。

    オチはふがいない。

  • 言葉が秀逸。素敵な文章に、くぎ付け♪ナオコーラさんってすごい!

  • きゅんきゅんの一冊!!!
    「私、君のこと好きなんだよ。知ってた?」

  • 「作家の読書道」より

    ――かなりインパクトのあるタイトルですね。

    書いていた時期に本屋さんに行ったら、同性愛の本のコーナーでクスクス笑っているお客さんたちがいたんです。それで心の中に「人のセックスを笑うな」というフレーズが浮かんで。後から、いいリズムだな、恋愛小説のタイトルにぴったりかもと思って。ただ、言葉は鋭かったりするんですけれど、私の小説ってほとんど主張がないんです。筆名もナオコーラという変わったものにしているけれど、言いたいことはありません。ただ「このフレーズには良さがある」と出している。感度で小説を捉える読者はきっと、気持ちいい、感じてくれる。逆に、小説というものを作家の主張の場だとか何かの考えの発表の場だとかと思っている読者には、なんでこんな小説があるのか全然分からないと思う。


    これを読んで納得。

  • 初めて作者の本を読んだけどとても読みやすい
    「人のセックスを笑うな」も「虫歯と優しさ」も切なくどうにもならないこともあるもんだなぁ、と
    一生ついてくる悲しみ、わたしも愛しいと思えるだろうか

  • タイトルのインパクトつよいけど、この小説は決して「人のセックスを笑うな」という内容のはなしではない。

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著者プロフィール

■山崎ナオコーラ(ヤマザキナオコーラ)
作家。1978年生まれ。性別非公表。
大学の卒業論文は「『源氏物語』浮舟論」。
2004年に『人のセックスを笑うな』でデビューしたあと、しばらくの間、「山崎ナオコーラ」でネット検索すると、第二検索ワードに「ブス」と出ていた。でも、堂々と顔出しして生きることにする。
目標は、「誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない文章を書きたい」。

「2019年 『ブスの自信の持ち方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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