- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309408217
作品紹介・あらすじ
兼好法師流「賢く生きる」ための、これが絶妙なバランス感覚!確実に、身軽に人生を歩むための知恵とは…。
感想・レビュー・書評
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予備校の古文の講師で「マドンナ先生」として名を博した荻野文子さんによる『徒然草』の解説本。『徒然草』を「観る」「つき合う」「捨てる」「暮らす」「高める」「極める」「生きる」という視点(章立て)で切り取っている。本文中の現代語訳は著者によるもので、非常に読みやすい現代語訳となっている。また引用した段に対する解説は非常に読みやすく、かつ、分かりやすい。個人的に好きな文体で、見本としたい文章でもある。
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著者は有名な予備校の先生であります。この場合、「有名な」は予備校にかかるのか、先生にかかるのか。ま、両方でせうな。
本屋で働いてゐた頃から、古典の参考書コーナーでは「マドンナ古文」が幅を利かせてゐました。この世界も人気商売、長年第一線であり続けるのは簡単ではありますまい。本書を読むと、人気があるのもうなづけるのであります。
若い頃は「人生論」が嫌ひで「徒然草」が嫌ひだつたといふ著者。そんな人が『ヘタな人生論より徒然草』を書くとは愉快であります。なぜそんな気になつたのか。不惑を越えて惑ふことが多くなり(とても共感します)判断基準を示すものを求めた結果であることがひとつ、そして本職の古文教師として「徒然草」は避けられず、全段読む必要があり、さうすると以前と違ふイメエヂになつてきたことがもうひとつの理由ださうです。
確かに「徒然草」には、天邪鬼の頑固爺といふ印象が強いですね。しかし荻野先生の実体験を中心とした解説を読みますと、現代に通づるメッセージがたくさん含まれてゐることが分かります。虚心坦懐。
即ち、
「けっきょく騙される多数派、人の本質を見抜く少数派」(第一九四段)
「何もしない批評より、偽善でも行動を」(第八五段)
「人を質す愚かさ、わが身を正す大切さ」(第二三三段)
「無責任な飼い主は、ペットも他人も傷つける」(第一二一段)
「一生は一瞬の積み重ね、ひたすら今を大切に」(第一〇八段)
等等は、若い頃でも言葉では理解出来るやうな気がするものの、実体験の乏しい観念的な捉え方になりがちであります。私のやうな凡人は実際に経験しないと真に身につかぬもので、その時はもう手遅れだつたりします。悲しいなあ。
入手は簡単なので、一度読んでみては如何。私ももう一度「徒然草」を読んでみたくなりました...
http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-143.html -
著者は阪神大震災の被害者
売名行為でも利益でも何でもいい
来て支援頂いた人がありがたかった
がたがたと行為を非難するひとへの
諌めの名台詞です。
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面白かった。
ある意味成功者の「上から目線が鼻に付く」という人もいますが、私にはすんなり入っていきました。楽しめました。なんでだろう、不思議な、でも心地よい読後です。
「賢者の知恵が身につく『大人の古典』」という安っぽいコピーが作品の品を貶めている、のが残念。 -
2021年 28冊目
私にとって自己啓発本は読者や人々を一般化することに抵抗感があり、敬遠していました。しかし徒然草は今から約700年前のエッセイ。現代と似通う人々の有り様は、人間として生きていく上での普遍性を問われているようです。人のみっともなさ、愚かさを斬って斬って、斬りまくる兼好の随筆と筆者荻野さんの文体が痛快です。
悩み苦しむ自己を受容しろ、というような一節がありました。仏法の教えらしく救われるものでしたが、決して内省を辞めろというものではありません。世間から敬われるゴリッパな人間になれというものでもないと思います。醜い感情を認め、反省しながら自律を目指す姿勢が美徳だと解釈しています。「こうしなければならない」という強い主張ではなく、自分にとってよすがとなりうる考えとなりました。
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【目的】
「徒然なるままに」の考え方が気になったから
【印象的な言葉】
愚痴はセーフ、悪口はアウト
世間話自体ではなく、世間話を「無益なことだと分かっていない」ことが問題
吉凶は人によるものであって、日によるものではない
品格とは、知性と感性を兼ね揃えた人が発する「調和の美しさ」
完璧でないものにも美さがある
前後のプロセスや、目には見えないもの
完璧を願うからこそ、完璧でないことを嘆くことに美しさを見出せる
完璧でないことを否定的に捉えるとではなく、美しく昇華する
誠実さ=人間らしさ
自然で、矛盾を抱えている
察しの美学と謙遜の美徳
ただ、自然体であるべき
相反する2つの視点での捉え方において、
どちらが正しいかはわからないし、問題でない
自分自身の心が穏やかになる方が良いというだけ
論理的な批判が客観的な正しい視点という風潮があるが、優しい目線(慈しみの正義)なしにどれほどの力があるだろうか
【その他】
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出会いは15年ほど前。
図書室の司書さんに勧められたもの。
今でも時々パラパラとめくるとモヤモヤ感がなくなります。 -
読んでおいて損はない
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徒然草!ハマった。
序盤は笑った。
途中から訳者の意見が深く偏りがちになり、兼好氏の文がついでで添えられる感じにはなったけど。
それでも、古典を初めて手にした身としては、完全にハマった。徒然草。面白い。
人間とは何たるか、人生とは何たるか、色々考えさせられた。