- Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309408361
感想・レビュー・書評
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・「美しい、なんか普段使わんやろ。でもおれは使うもんね、今ここで、表参道のために」(15:ショートカット)
・わたしは、自転車を押す片野くんと、真夜中の人の通らない道を二人で歩いている。それが自分が確かめられることの全部だと思った。(65:やさしさ)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
遠距離恋愛がテーマの短編小説集。
関西弁で、大阪の描写が沢山出てくるのは、関西人として少し嬉しくなりました♩
初めて柴崎さんのお話を読んで、自分のよく読むお話とは少し違って馴染みにくい箇所もありましたが、「会いたいと思えば会える」「行きたいところにはいつでよ行ける」という点には凄く共感です。自分が考えるよりも私たちは自由で、壁や障害に見えるものは案外簡単に超えていけるものなんだと。 -
わたしはとてもすきなお話です。
この本を読んだ空間がよかったせいもあるのかもしれないですが。(初台にある、本が読める喫茶で読了)
本にでてくる人物たちのように、やさしく人をすきになりたいなあとおもいました! -
12/21は
遠距離恋愛の日
「1221」の両側の1が1人を、中の2が近附いた2人を表すため。距離と交通機関をテーマにした小説を。 -
作者は同い年だけど、私にはやや乙女チック過ぎたかも。
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始まりは興味を惹かれたけど、
全体を通したら思ってたのと違ったという感じ。
各キャラもあんまり好きになれず。
終わり方は爽やかでよかった。 -
ワープ。
その後の傑作「パノララ」につながる秀作。 -
17/01/25 ⑥
関西弁なのにやさしい。ほろほろにやさしい。
・それから、どこか遠くを見つめるような目をして、
「おれは、あの人に会いたい」と、言った。(P25 ショートカット)
・「会われへんようになるなんて思わへんかった。卒業しても、家も近いし、次があるって思ってた。なんの根拠もなかったのに、今思うと」
「それは違うで。会いたいって思ってるから、会えるんやで。誰でも、たぶん。(P38) -
行きたい気持ちさえあればいつでも好きなところへ行けるんだ、という明るい短編集。別れの予感がする遠距離恋愛の話が多いのだが暗さはまったくなく、読後は晴れ晴れとした気分になった。柴崎友香の中でも一番爽快さのある作品だと思う。
恋人に対して離れていく心、それから人生そのものを非常によく象徴している『やさしさ』の次の一節が印象に残っている。
「発車のベルが世界を分ける。ドアが閉まって、わたしたちは空気といっしょに運ばれる。移動していることを感じないまま。(85P)」
解説で「その小説以外のことをいろいろ考えてみたくなって、その小説を読んでいるのに、その小説のことを、つい忘れてしまう」から柴崎友香の小説は素晴らしいのだと言っていて、柴崎友香の作品の魅力を絶妙にうまく表現した説明だと思った。言われてみると私も、彼女の作品を読んでいたはずがいつのまにか自分の身の回りのことを回想していることが多い。彼女の作品には、平凡な生活を送っている私のような人でも、自分と自分の周りの世界を重ねられる懐の深さがある。