異体字の世界―旧字・俗字・略字の漢字百科 (河出文庫 こ 10-1)
- 河出書房新社 (2007年7月5日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309408576
作品紹介・あらすじ
異体字とは、正字、俗字、古字、別体、譌字、略字などの総称。常用漢字がどのように決まり、人名用漢字などでいつも混乱しているのは何が原因なのか。印刷文字の変遷から、現代のケータイやパソコンの文字まで、最近の漢字騒動も含めて異形の文字たちをめぐる奥深く驚きに満ちた初めての本。
感想・レビュー・書評
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漢字問題はかくも深きものか、と溜息の出る一冊。
その昔「本とコンピュータ」誌で取り上げられて(当時は、Unicode黒船問題だったか)から、何も変わっていないのだなぁ…と感じさせられた。
漢字コードや、常用漢字などの問題からはじまり、書体のブレ(とその固定化)、略字問題、誤字であっても地名、名前等に使われていれば漢字と認めざるを得ないなど、さまざまな問題があるのだなあ。
個人的には「横浜」を「横濱」ではなく「?濱」と書くのが望ましい(片方だけ旧字を使うのは…)が目からウロコ。
処分日2014/09/20詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「○という漢字は、△の旧字で、XXに由来する。こんな字と間違いやすい」というような調子で、一字につき三行程度で簡潔に説明される。
日常的な疑問がぱっと解決するくだりに出会うとうれしい。
私は、しんにょうは元来が点二つで、現代になって点一つに略されたのかと思っていたが、全く違った。今まで、活字と手書き文字を区別して考えたことがなかったことに気付く。
長寿祝いの呼び名がどうしても覚えられないでいたが、旧字で説明されると、あっけないほど単純明快。
間違い探しではないが、何度見ても同じ字にしか見えず、四度目くらいにやっと違いがわかった字もあった(例:柿[かき]と杮[こけら])。
あまり集中力を必要としないので、ちょっとした待ち時間に読むのにちょうどいい。有りそうで無さそうな不思議な漢字群は、字面だけ眺めても楽しい。
見出しの漢字のみフォントが大きいので、パラパラとめくり、目についた漢字のくだりだけ読むのもおすすめだ。 -
職業柄、異体字をよく見かけるのですが(その分オフの時には変換ミスを気にしなさすぎる癖があります)、いやぁ漢字って本当に奥が深い!と思わされる一冊でした。途中間違い探しのようになる部分も多々あり、そう言う意味でもまた楽しめます。
興味のない人には全く面白くない本なんだろうなと思いつつも、著者の時折見られる「ツッコミ」が絶妙で、読むのを断念する、ということはありませんでした。ただ間違い探しも含まれるので読書時間は通常の倍近くかかります。
一部抜粋すると栃木の栃の字は「明治の初めに中央の官僚がつくってしまった字だそうです」とか。猿の字はけものへんが用いられる前虫へんだったとか(この下りの著者のツッコミが好きです)。
先日職場で「惣菜」は「総菜」でタイプしてね、といわれたことがあったのですが、その部分も出てくる頁がありました。
いやはや、楽しかったです。 -
難しい
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ふぅぅん、へへぇ〜!! と思うこと多数。
特に、JIS水準策定のウラ話や、漢字の出自をめぐって研究をするハナシは、楽しめました。
ただ、「漢字って、何でこんなに分かりにくいの!?」「どうして似たような字がたくさんあるの!?」「点がひとつ多いとか少ないとかで、何が違うの!?」というような、根本的な疑問には、あまり答えてはくれません。
よく知っている文字の異体字の数々を、羅列して説明するのが趣旨のようです。 -
こんな本をよく文庫本でだすものだと思っていたが、なんとなく気になって買っておいた。最近になって漢字の字体の問題、旧字体とはなにかという問題にぶつかって読んでみたが、その疑問に答えてくれる、奥の深い、年期の入った本である。小池さんは府川さん、小宮山さんたちとともに印刷史研究会の主要なメンバーで、この人たちの業績を無視して漢字の問題は語れないことを最近ようやく認識した。旧字体や正字にこだわる人たちにぜひ読んで欲しい本である。
著者プロフィール
小池和夫の作品





