泣かない女はいない (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
3.43
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  • (21)
  • (9)
本棚登録 : 724
レビュー : 95
  • Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309408651

作品紹介・あらすじ

ごめんねといってはいけないと思った。「ごめんね」でも、いってしまった。-埼玉郊外の下請け会社に、事務として中途入社した、澤野睦美。恋人・四郎と同棲する彼女に、不意に訪れた心変わりとは?話題の表題作ほか、「センスなし」を収録。恋をめぐる心のふしぎを描く魅力あふれる小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 控えめな日常。
    でもそんな日常から少しだけはみ出る様な感覚が心地よい。

    泣かない女はいない
    なんて美しいタイトルなんだろう。

  • こういう何でもないひとの平凡な日々を丹念に書く作品は読み手のメンタリティと嗜好にかなりの部分左右されると思う。
    今回はそれが合致していてすごく好きな雰囲気だった。

    裏表紙のあらすじほど恋人の別れ感は薄く、特に終盤まではお仕事小説の色合いが強い。
    埼玉にあるメーカー子会社の物流会社に転職した主人公。
    働いていない恋人とふたり暮らし。
    同僚の女性社員は実家通いで給料はおこずかいに遣ってしまうような子ばかりで、なんとなく空気が違う。
    些細な出来事を積み上げて、だんだん親しくなっていくという描写が優しい。
    物語自体も、事件やで変化により動きがあるので冗長さもなかった。
    主人公がどういう性格なのかあえて掘り下げられないのが、ラストシーンの切なさに効いていると思う。

  • そんなに可愛いとか思ったこともない女性に、いきなり告白めいた事を言われて、急にゾワッとしたって感じ。
    泣かない、淡々とした女が見せた最後。
    本当に淡々としていて、田舎の町にあまり考えもなく来てとりあえず仕事して…
    一緒に住んでいる人はいるものの、特筆するほど出てこない登場人物の一人で。
    そんな生活にもちゃんとドラマがある。大手の下請け工場でも、静かにも激しい感情の揺さぶりは起こる。それはとても当たり前の事なんだけど、作者の切り口がほんの少しのほころび程度の感情の描き方なので、最後の鮮明な描写にハッとさせられ、呼吸を乱される。
    元社長の入院の後、奥さん綺麗でしたねの一言で和む場面。ちゃんと君はムードを作れているじゃないか。
    自分がへこたれている時、愛すべき人がなんの悲しみもなく過ごしているというのは、すごく安心することなんだ。
    の一言に、この主人公の人の良さを感じる。そして思いを伝えてもいない人の事を、同棲相手に話しちゃうとことか。
    結局伝えられない、シーンで野球のボールを大事に持ってるとか、少女漫画みたいなんだけど、美しくも気だるい切なさが伝わってくる。


    評判が良くて読んだ、初めて読んだ作家だが、とても文体が心地よかった。どんどん読んでみよう。

    エレカシの生活が聴きたくなった。
    あとね、彼女は買い物の帰り道

  • 読みながら何回か「えっ」と声が出たほど、上品で小さな驚きがいくつか。あとは特に壮大なことが起きるでもない、平熱といった感じの2編でしたが、ストーリーがどうでもよくなるくらい、都会的な文章に惚れ惚れします。おしゃれで美しい。

  • 男性作家さんだと思い込んでいた。
    後で思い返すとそれほど印象に残ってはいないが、読んでいる間はほんわかしていて、なかなか好きだった気がする。
    ーーー
    ごめんねといってはいけないと思った。「ごめんね」でも、いってしまった。ーー埼玉郊外の下請け会社に、事務として中途入社した、澤野睦美。恋人・四郎と同棲する彼女に、不意に訪れた心変わりとは? 話題の表題作ほか、「センスなし」を収録。恋をめぐる心の不思議を描く魅力あふれる小説集。

  • ぼんやりしてて、牧歌的で、効率化とは無縁で。
    いい職場だなあ…としみじみ思ったところで、
    あれ、そういえば、と最初の方を読み返した。
    そうだ。最初はこうではなかったんだ。

    親会社の機嫌を気にして、テストの解答を改ざんする社長。
    とても嫌~な感じ。
    あの優しくて威厳がなくて疲れてる横田さんとは思えない。
    でも、こういう思い出、自分もある。
    はじめて会った職場の人が柄シャツ着てゴツいベルトをつけてるのを見て、もう終わりだと絶望した。
    あとになって、ごく普通の気さくな人だと分かるんだけど。
    判断材料が少ない状態で、えっ…と思うようなことがあると、
    そのインパクトに振り回されすぎる。
    のちに笑い話になるのなら、それでもまあいいのかどうなのか。


    やっぱり長嶋有さんの文章表現がとても好きだ。
    睦美がはじめて屋上へ昇った場面では、
    強い風を受けて皮膚がソワソワするあの感じがした。
    日常からちょっとだけ外れる瞬間を味わいたくて、何度でも読み返したくなる小説。

  • いいなあ、いいなあ。
    なーんにも起こらないんだけど、長嶋有さんの小説はとてもいい。
    「泣かない女はいない」って、ボブマーリーの歌からのタイトルだったのかあ!
    私も確かにあの曲の歌詞カードに「女 泣くな」って書いてあったの覚えてる。なんじゃそりゃ、と思ったっけ、その時は(笑)

    表題作より「センスなし」の方が好き。
    焼き鳥は塩よりタレっての、すごいわかる。
    なんかみんな、「タレ」って言うより「塩」っていう方が「通」な感じするって思ってそうで嫌(個人調べ。特に私の旦那の身内(笑))。私は昔から焼き鳥はタレで食べてたから、塩だとなんか物足りない感じする。ホントにみんな、そんなに塩?とか思っちゃう。

  • 17/03/09 ⑯
    タイトルすごく沁みる。泣かない睦美もさいごは泣くのね。泣かない女はいない。いない。

    ・睦美はほっとした。女の子たちに「公園まで散歩にいく」と説明したときは「公園でなにするんですか」といわれて困った。理由もなく歩くとか佇むということの説明が、うまく出来ないのだ。説明のいらない人にはいきなり通じてしまうことが嬉しくて、そして不思議だった。(P35)
    ・自分がへこたれている瞬間に愛すべき人間がなんの悲しみもなく過ごしているというのは、すごく安心することなんだと思った。(P100)

  • 小説としては決して悪くないが、この小説を読んでも読まなくても、この小説があってもなくてもどっちでもよいという感じ。

  • わからん。

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著者プロフィール

長嶋有(ながしま・ゆう)
一九七二年生まれ。二〇〇一年「サイドカーに犬」で文學界新人賞を受賞しデビュー。二〇〇二年「猛スピードで母は」で芥川賞、二〇〇七年『夕子ちゃんの近道』で大江健三郎賞、二〇一六年『三の隣は五号室』で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2019年 『掌篇歳時記 春夏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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