ノーライフキング (河出文庫)

  • 河出書房新社
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本棚登録 : 510
レビュー : 72
  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309409184

作品紹介・あらすじ

小学生の間で空前のブームとなっているゲームソフト「ライフキング」。ある日、そのソフトを巡る不思議な噂が子供たちの情報網を流れ始めた。呪われた世界を救うため、学校で、塾で、子供たちの戦いが始まる。そして最後に彼らが見た「キング」の正体とは?発表当時よりセンセーショナルな話題を呼んだ、著者圧倒的代表作。

感想・レビュー・書評

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  •  最近、すべてのものはシティボーイズとラジカル・ガジベリビンバ・システムに通ずるなあ・・・と感じることが多いです。たとえばバカリズムの師匠(的存在)はいとうせいこうだったり、いとうせいこうの師匠はきたろうだったり、『仮面ライダークウガ』を観たらきたろう、『アオイホノオ』を観たらきたろう、SUZUKIにきたろう、夜中にふとナン男を観たくなって『竹中直人の恋のバカンス』、『ニッポン戦後サブカルチャー史』を観たら宮沢章夫・・・等々。
     というわけでいとうせいこうの『ノーライフキング』、これは子どもの頃から読みたかった本でした。知ったのは’91~2年ぐらいだったけども、なぜ気になってたかというとこの本の主人公の学年が小4で10歳、『ノーライフキング』発表が’88年なので僕は彼らと同い年、全くの同世代なのです。
     
     冒頭の序文、
     “日本の子供たちが、一斉に何かを乗り超えようとしたあの年。子供同士が持つ情報網は、それまでどんな歴史の中にもあり得なかった規模で巨大化し、複雑化していた。”
    と書かれています。
     よくある偶然だけど、この本の前に『幼年期の終わり』を読んでいて、この「幼年期」は人類という種族の幼年期だったけども、これを額面どおりの幼年期にした小説なんじゃないか、と・・・この序文を読んで思いました。正しいかどうかわかりませんが、それを踏まえて「あとがき」を読むと意味がよくわかります。奇しくも、ハヤカワ版『幼年期の終り』と新潮版『ノーライフキング』の表紙はどちらも上原徹さんが描いている(最初のハードカバー版は藤原カムイ)。『幼年期の終わり』+『スタンドバイミー』的な印象。
     作中に出てくるライフキングというゲーム、’88年当時というとドラクエIIIが発売された年なんですが、ゲームの内容からすると’86年に出た『たけしの挑戦状』の自由度にかなり近いです。『たけしの挑戦状』はポートピアやドラクエの影響も受けてると思うんですが、’86年にあの内容というのはほんとにすごい。大好きでした。
     
     小説の内容について。ハッとさせられた表現も多々あるものの、当時小学生だった身としては「いや~そんなこともないけどな」という部分も。ど田舎に住んでたので都市部の子どもたちとの差があったのかもなあ。ゲームの裏技情報は普通に雑誌や攻略本から得てましたし・・・。ただ、ゲーム関係なく「噂」的なものはやっぱりありましたね。
     作中で「リアルとは何か」「ゲームの内容は自分の部屋に帰るだけ、部屋から出ろというメッセージ」と自虐的に書かれているけども、落とし所としてはベタでもよかったんじゃないかなあと中途半端にも感じました。

     '88~9年は昭和が終わり、手塚先生や美空ひばりが亡くなったので子ども心に印象深かった年です。それと同時に宮崎勤事件もあったんで、「恐ろしい噂」やフィクションの世界なんかよりも現実世界の方がよっぽど恐ろしくて狂ってるなあと。
     宮崎勤は'62年生まれ、いとうせいこうは'61年生まれ、ついでにこの時期『トップをねらえ!』を作ってた庵野秀明は'60年生まれとほぼ世代が一緒です。なので『幼年期の終わり』的作品になってもおかしくはないですね。
     序文にもあるように「集団成長」を遂げる話ですが、パソコン通信やインターネットの無い時代に、横の繋がりが噂だというのは面白いところです。ここをネットワークに置き換えるとそのままサイバーパンク小説になると思う。

  • 子供達の間で大流行しているゲームソフト「ライフキング」。
    このソフトにはⅠ~Ⅳのバージョンがあり、更には呪われたバージョンⅤがあるという。
    噂は噂を呼び、ついには現実を侵食していく。そして・・・

    僕も小3の時にやったドラクエⅢに衝撃を受け、タクティクスオウガで矛盾を知り、FFⅦで感動に至るのであるが、その後はゲーム特にRPGにはハマりすぎて徹夜も辞さなくなり、社会生活を送れなくなるのが分かっているので、手を出さないようにしている。

    それくらいゲームには心をのめりこませる何かがある。
    そして、そこにネットワークという魔力が加わり、子供達は否がおうにも闘いに巻き込まれていく。

    本書で語られる「新しいリアル」のその先の世界に、今、自分達はいる。
    ツイッタ―やフェイスブックなど、考えてみればとんでもない世界にいる。
    自分をグーグル化させよう!なんて提唱させる経済評論家がいる位だし。(僕もこんなレヴューを手軽に発信できるし)

    この時代の向こうにキングがいるのか。

    まだまだ闘いは終わらないんだ。

  • 面白かった。

  • 古くて、もう話自体は死んでいるかも

    現代版だとどんな話になるのか?
    想像する。

  • 1988年の小説。インターネットやスマホが世にはびこっていない時代が舞台。
    「ライフキング」というゲームが空前のブームになり、すべての子供たちが夢中になっている。そのゲームの攻略法やバージョンの違いなどの情報を交換するネットワークが子供たちの情報交換の場となっている。そのネットワーク上に噂が流れ始める。死がまとわりつく噂が。この呪われた世界を救うため、子供たちが立ち上がる。
    ゲームの世界と現実の世界が交錯する展開にしびれる小説。

    子供の視点で語られる点もユニークだし、彼らから見た世界観の描写が、郷愁をさそうようで、昔はもっと直観的でシンプルに世の中を見ていたことを思い出す。
    また、死について考え始めたのは、いつ頃だろうか?死に対する子供ながらの漠然とした感覚を上手に表現されている。
    現代社会をある意味予言したような小説だと感じた。

  • 20年前は遠い
    現代版を書いたら何年後まで不死でいられるだろうか

  • なるほど、テレビゲーム熱が高じて現実世界へ蔓延してくるっていう、当時はかなりのリアリティを持って大人たちに囁かれていたであろう内容の物語化。テレビゲーム創世記、まだ大人たちからは圧倒的に煙たがられる存在であった当時、リアルタイムでハマリまくっていた自分としては、懐かしく思い出されるような描写もそこかしこに。ゲーム人口が圧倒的に増えている現在よりは、当時の方がインパクトは大きかったかも。本作そのものを楽しめたというより、読んでしまったことで、またゲームがやりたくなっちゃいました。のめり込み過ぎてしまうんで、ある程度自重しているんです。

  • MSXの頃を思い出した。2017年に読むと、「そんな時もあった」的な感想。神秘的で閉鎖的なガキネットは、いまやノスタルジックな存在かな。期待して読んだが、ちとがっかり。どんな風に映像化されたのかは気になる。

  • すごい小説なのかもしれないが、私には理解出来ません。従って星一つ。

  • 前半 子供ウラ社会な感じで わかりやすかったが、賢者の石あたりから、意味不明になった。結末が読みきれない。子供たちは まだ 戦っているのだろうか、賢者の石に託して 死んだという意味なのか

    ノーライフキングは「子供たち全員一致の死」を導く暗黒迷宮。大人(母親)の暗喩かも。

    ライフキングは 子供たちが 「子供同士の情報網」「死の噂」により作った 無機(生命のない)世界。ライフキングは ノーライフキングから分離した一部(ハーフライフ)。子供(男の子)の暗喩かも

    母と男の子が 多く描かれている。ノーライフキングと ライフキングの関係を示したのでは

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著者プロフィール

いとう せいこう
1961年、東京都生まれ。編集者を経て、作家、クリエーターとして、活字・映像・音楽・舞台など、多方面で活躍。『ノーライフキング』でデビュー。『ボタニカル・ライフ ―植物生活―』で第15回講談社エッセイ賞受賞。『想像ラジオ』が三島賞、芥川賞候補となり、第35回野間文芸新人賞を受賞。他の著書に『ノーライフキング』『鼻に挟み撃ち』『我々の恋愛』『どんぶらこ』『「国境なき医師団」を見に行く』『小説禁止令に賛同する』など。

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