フルタイムライフ (河出文庫) (河出文庫 し 6-5)

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 65
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309409351

感想・レビュー・書評

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  • 社会人なりたてのいま読めてよかった

  • 再読。やっぱりしみじみいい。15年以上前の本だけど全然古びてない。
    柴崎さんが描く物語は、夢が叶ってめでたしめでたしでもなく、思ってたのと違う無理ゲーだ、でもない。ほとんどの人が歩むその「どっちでもない人生」を、とてもていねいに、たくさんの花束を添えて、ほめたたえてくれる。

  • この作者の方は、OL経験があるのかな?

    な~んにも、大事件とか起こらない話ですが、すごくOLの日常がリアルに描かれていて、自分のOL時代が懐かしくなりました。

    そうそう、フェリシモとか千趣会とか、そういうの取り仕切る人が必ずいるんだよね~とか、仕事の合間合間に、ティータイムとかお菓子タイムとかとるよね~とか。

    無理な頼みごとしてくるオヤジにプンスカ怒ってみたり。
    私はシュレッダーではなかったけど、使った紙を廃棄にするときは、必ずホチキスを外さなくてはいけなくて、やっぱりその時に初めて、ステイプラー用リムーバーというものの存在を知りました。

    解説のナオコーラさんも書いてらしたけど、主人公は美大を出ているわけだけど、「せっかく美大出てるのにこんなOL仕事なんて…」とクサクサせず、仕事は普通の会社のOLだけど、ちゃんと
    好きなこともしてるし、それでいいと思う、と感じているのがとてもよかったです。

    なんか、「OLの話」っていうと「毎日毎日、判でついたように同じような生活の繰り返し。嫌な上司もいるし、あ~、何か楽しいことないかしら」とか思って、「好きを仕事に」なんつって、友だちと会社を立ち上げてみたり、お店を開いてみたり、なんらかの才能を買われて転職…みたいな内容になりそうなのに、そうじゃないところがいい。
    もちろん上記みたいな話も、夢があって好きですけどね。

    好きなことを仕事に出来れば、それはすばらしいことだけど、それが叶ってる人って、実際そんなに多くないと思うし。

    本当に新入社員の人に、読んでもらいたいと思いました。

  • せっかく思いついた質問が一言で終わってしまったと思ってがっかりしていると、しばらく何かを考えているような顔をしていた正吉くんが言った。
    「テレビ、ついてる」
    すごくうれしかった。それで、笑えてしかたなかった。(203)

  • 繰り返す日々を生きている無個性な人間のはなし。筆者がリスペクトを込めて書いているから、「大したことない」出来事がきれいに見えた。よかった。

  • 大阪で機械メーカーに新入OLとして入社した喜多川春子を主人公に職場の人間模様が非常にリアルに描かれており、私自身の新人時代を彷彿と思い出させてくれた。50年前と大きく変わらない。メールという言葉が新たに登場するぐらいか。同じく営業に回ってくる新人との出会いの場面が微笑ましく爽やかだった!

  • 割と古い会社の話。というか、会社に勤めるということのお話。
    こういう社会のシステムに怒るというのもアリなんだけれど、そうじゃなくてその中で自然体に生きていくというのもまた生き方のひとつ。
    ほどほどに、けど潰れない程度に全力で。
    超幸せなエンディングだった。スキップしちゃいそう。

  • 社会人になって、初めて暮らす町の古本屋でタイトルを見て偶然手にした作品。
    作者も聞いたことなかったけど、フルタイムライフを読んでから柴崎友香にハマった。

    社会人一年目で不安に押しつぶされそうな時期に読んだので、非常に心に響いたし読みやすい作品だった。

    主人公は完璧な人間でもないし、やりたい仕事をして充実感を得ているわけでもない。けれど、日々何気なく過ごして、それなりに楽しんでいるように感じる。
    人との距離感とか会話の仕方とか、リアルで面白い。


    新入社員の頃が懐かしくなる、私にとって思い出の一冊です。

  • あらすじを真に受けてしまっては、だから何、といってしまっておしまい、な筋。
    いつもの柴崎友香的人物が、今回はたまたま、やや昭和気風を残す職場に位置していた。
    すると彼女は場所の雰囲気を浴びたり、過去を仄かに想像したり、する。
    だからといって何を発見するわけでもない。
    この仕事はまあまあ向いていないわけではない、という感触を持つが、それが明日覆されないとは思わない、という地点で廻ったりもする。
    示唆に富んだ感想がネット上にいろいろあり、非公開メモに残すので、数年数か月後の自分に、考えることを託そう。

  • わたしもOLさんなりたい。

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著者プロフィール

柴崎 友香(しばさき・ともか):1973年大阪生まれ。2000年に第一作『きょうのできごと』を上梓(2004年に映画化)。2007年に『その街の今は』で藝術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞、咲くやこの花賞、2010年に『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞(2018年に映画化)、2014年『春の庭』で芥川賞を受賞。他の小説作品に『続きと始まり』『待ち遠しい』『千の扉』『パノララ』『わたしがいなかった街で』『ビリジアン』『虹色と幸運』、エッセイに『大阪』(岸政彦との共著)『よう知らんけど日記』など著書多数。

「2024年 『百年と一日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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