NOVA 1---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫 お 20-1 書き下ろし日本SFコレクション)

  • 河出書房新社
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感想 : 91
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  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309409948

作品紹介・あらすじ

本格、奇想、幻想、純文学、ミステリ、恋愛…SFというジャンルが持つ幅の広さと可能性を詰め込んだオリジナル・アンソロジー。完全新作10編+伊藤計劃の絶筆を特別収録。

感想・レビュー・書評

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  • 北野勇作「社員たち」
    小林泰三「忘却の侵略」
    藤田雅矢「エンゼルフレンチ」
    山本弘「七歩跳んだ男」
    田中啓文「ガラスの地球を救え!」
    田中哲弥「隣人」
    斉藤直子「ゴルコンダ」
    牧野修「黎明コンビニ血祭り実話SP」
    円城塔「Beaver Weaver」
    飛浩隆「自生の夢」
    伊藤計劃「屍者の帝国」

  • 田中啓文氏、「ガラスの地球を救え!」の超絶エキセントリック友愛ファンタジアにやられてしまった。偉大な出落ち感。

  • 1作品のみ既読。
    後半4作品はワケワカメ系の大手だからね…
    あまり無理して作品の真意を追おうとすると
    ものすごく疲れるだけなんだよね。
    哲学が絡む仕業もあると思うよ?

    イチオシは長い時を超えた恋が実を結ぶ
    「エンゼルフレンチ」ね。
    これは何かと殺伐とした救えない作品が多い中で
    本当に救われる作品です。

    ほかの作品は…スカが絡む(本当)が
    あったりとえげつないですので…

  • 責任編集:大森望
    社員たち(北野勇作)◆忘却の侵略(小林泰三)◆エンゼルフレンチ(藤田雅矢)◆七歩跳んだ男(山本弘)◆ガラスの地球を救え!(田中啓文)◆隣人(田中哲弥)◆ゴルコンダ(斉藤直子)◆黎明コンビニ血祭り実話SP(牧野修)◆Beaver weaver(円城塔)◆自生の夢(飛浩隆)◆屍者の帝國(伊藤計劃)

  • SF

  • やっぱりSFは短篇だなあ、としみじみ思った。
    こういうアンソロジィだと、さらにそう思う。

    大森望責任編集ということで、収録作品の質の高さは折紙付き。
    どの作品も素晴らしく面白かった。
    その中でも、やはり円城塔の存在感は格別。いやあすごいすごい。
    あと、伊藤計劃も未完であるとはいえ、やはり文章力の高さには舌を巻いた。
    異質だったのは田中哲弥だけど、まあ笑った笑った。

    大森氏が近年行っている、SFを復権させようという活発な動きには、ほんと敬服するしかない。
    SF好きな一読者として、出来る事は買って読んで、こうして感想を書くことくらいしかできないけど。

    あとがきには、早くも次巻についての情報が記載されている。
    期待すべきは、神林長平を筆頭にした豪華すぎる執筆陣!
    今からワクワクが止まらないなあ。

  • P335の「この春が、初めて迎える春のような気がしたことは。この夏が、初めて迎える夏のような気がしたことは。この秋が、初めて迎える秋のような気がしたことは。この冬が、初めて迎える冬のような気がしたことは。この季節がそのどれでもないと思えたことは。かつてない暑さで、かつてない寒さで、これまでに経験したことのない、その度ごとに新しい、かつて経験したことのない、冬1、冬2、冬3だと感じたことは」というセリフに心臓をわしづかみにされた。電車の中で目にして、頭の中がかきまわされて興奮して、自転車置き場に行っても自転車がみつからなくて、スーパーに寄っても満足に買い物ができなくて、1時間ぐらいぼーっとしてた。""

  • 地元の書店では発見出来ず、結局amazonに注文です。

  • 57:書き下ろしのSFアンソロジー。今回が初めてという作者さんが多く、作風もホラー風味からリリカルぽいのまで様々で楽しめました。「エンゼルフレンチ」と「ガラスの地球を救え!」がお気に入り。執筆交渉中として名前を挙げられた作家さんを見ると、続刊への期待ももりもりと高まります。

  • すでに読んだことがある作品がちらほらあったけどどれも好みで面白かった。「ゴルコンダ」は読みやすいこともあってもっと読みたい感じ。「自生の夢」はやっぱり良いなぁ。「自生の夢」をまた読みたくなったよ。

  •  果してここに収録されている短編はSFなのだろうか。
     SFというにはS(科学)の占める割合が極端に少ない(あるいはまったくない)ようにも思える。
     ファンタジーというか、超現実的というか。
     筒井康隆氏のスラップスティック的作品と同傾向の作品が目立つ気もする。
     まぁ、そんな筒井康隆氏も日本SFの元祖の一人として認知されているので、ここに収められた作品群もSFというカテゴリーに含まれてもいいのかも知れない。
     SFということに拘らなければ結構面白い作品が多く収録されていた。
     特にメタフィクション的な作品が面白く、その中でも飛浩隆氏の「自生の夢」が心に残った。
     一番ダメだったのは円城塔氏の「Beaver Weaver」。
     どうしても衒学的な印象が強く、乱暴な言い方をすれば、難しい単語を羅列して屁理屈をこねくり回せるだけこねくり回してみました、って感じがしてしまう。
     その円城塔氏が完成させた故伊藤計劃氏の「屍者の帝国」は既読。
     未完でありながら、群を抜いて面白くなりそうな予感を孕んでいる。
     孕んでいるのだが、後を引き継いだのが円城塔氏なので、読むのが怖いんだよなぁ。

    • arrayさん
      SFはSense of wonder Fictionなので、作者がSFと言えばSFなのです。ScienceのSではなくなっています。

      ...
      SFはSense of wonder Fictionなので、作者がSFと言えばSFなのです。ScienceのSではなくなっています。

      でも宗教論争になるので考え方は色々です。
      2018/01/04
    • yamada3desuさん
       なるほど、そういうことなのですか。
       僕の認識が古いんですね。
       勉強になりました。
       ありがとうございます。
       なるほど、そういうことなのですか。
       僕の認識が古いんですね。
       勉強になりました。
       ありがとうございます。
      2018/01/05
  • 好き嫌いが判れるなー。
    飛浩隆は苦手だ。(/_;)

  • テーマがSFのアンソロジーなので
    読める読めないがはっきり、でした。

    七歩跳んだ男、ゴルコンダ、は読めたのですが
    それ以外は…隣人、は途中までついていけましたが。
    たくさんあるのに、理解できたのが3本だけ、でした。

    しかしゴルゴンダの、奥さん増殖ですが
    まさかの身近な犯人w に笑えました。

  •  気が向いたときだけ買っている『NOVA』である。

     1970年代、「SF」といったら「SM」に間違えられて、という自虐ネタがよくあった。
     では、SFとは何か、というのも昔から問われてきた難問である。村上春樹からしてSF的設定で小説を書き、それがベストセラーとなっている昨今、かつての筒井康隆会長の日本SF大会のテーマ「SFの浸透と拡散」はすでに現実のものとなった。ところが逆にコアなSF短編の発表舞台が乏しくなったと考えた大森望が、アメリカでは昔からあるが、日本にはさっぱりないオリジナルSFアンソロジーを編んだのが本書『NOVA1』。10まで続くらしい。

     北野勇作「社員たち」、田中哲弥「隣人」は不条理ものと括れそうだが、これがコアなSFといっていいのか? 藤田雅矢「エンゼルフレンチ」は宇宙を舞台にしたラヴ・ストーリー、田中啓文「ガラスの地球を救え!」は馬鹿馬鹿しいパロディ、斎藤直子「ゴルコンダ」はほのぼのとしたアイディア・ストーリー、面白いけれどSFとしては傍流だなあ。

     月は遠くて近いSFの古典的舞台。しかし、月面で起きた初の殺人事件を扱う本格推理小説というのはありそうでなかったかも。山本弘「七歩跳んだ男」。しっかり、「と学会」ネタが使われている。
     SFはセンス・オヴ・ワンダーだといったのは誰だっけ? その意味では小林泰三には唸らされた。「忘却の侵略」は遭遇しても記憶に決して残らない宇宙生物(か何か)と戦う、量子論的SF。

     すでに発表された傑作を集めたアンソロジーではなく、編集者の求めで書いてもらったアンソロジーだから、まあ、レベルはこんなものかと思っていたら、後半ぐっと密度が高まり、一般誌には載せがたいだろうという、しかも今日的なSFが並ぶ。小説をメタ・レベルにもっていくというアイディアは昔からあるけれど、次の3作はいずれも記述すること、語ることが世界を作るという、いわば言語中心主義的SFであり、しかも三様に違っている。
     既知外生命体にテキスト改編という攻撃方法で挑む戦隊ものというとんでもないのが、牧野修「黎明コンビニ血祭り実話SP」。しかもテクストで相手を攻撃するというのはすなわちスプラッター描写。円城塔「Beaver Weaver」は数学的フレーヴァーを振りかけた、スペース・オペラの語り/騙り。飛浩隆「自生の夢」はGoogle時代のサイバーパンクの如きもの。語ることと読むことが問題となる。
     最後に伊藤計劃の未完の長編『屍者の帝国』の残された冒頭部分で、このアンソロジーはいまだ語られていない世界に開かれる。もっともその後、円城塔によって語られてしまったが。

     とりわけ語り口の個性と洗練、そしてある種の強さを感じさせたのは円城塔と伊藤計劃であった。

  • どれも特色のあるSFで期待してた数倍、楽しめた。

  • オリジナル日本SFアンソロジー・シリーズ開幕。完全新作十篇(円城塔、北野勇作、小林泰三、斉藤直子、田中哲弥、田中啓文、飛浩隆、藤田雅矢、牧野修、山本弘)+伊藤計劃の『屍者の帝国』を特別収録。
    (2009年)
    — 目次 —
    北野勇作『社員たち』
    小林泰三『忘却の侵略』
    藤田雅矢『エンゼルフレンチ』
    山本弘『七歩挑んだ男』
    田中啓文『ガラスの地球を救え!』
    田中哲弥『隣人』
    斉藤直子『ゴルコンダ』
    牧野修『黎明コンビニ血祭り実話SP』
    円城塔『Beaver Weaver』
    飛浩隆『自生の夢』
    伊藤計劃『屠者の帝国』

  • 1~4巻まで借りてぱらぱら読んでみたけどひとつも頭に入ってこなかった。

  • 子供の頃から、いろんな本を読んできた。多くの日本人は、桃太郎や舌切り雀を読み、ロビンソンクルーソー、走れメロスを読み、それぞれ好きなジャンルに枝分かれして読書歴を築いていく。しかし、一体、どんな読書歴を重ねれば、こんな汚ならしい本が好きになれるのか? いや、高校時代にこんな本が好きだったことが一瞬でもあったことが許せない。

  • 飛さんがお目当て。アンソロはおもしろくても読むのに時間がかかってしまうね。
    さて。良くも悪くも引っ掛かりがあったものの感想。
    <忘却の侵略(小林泰三)>これはイライラ。嫌味か皮肉にしちゃ甘いし苛!!好きじゃない。
    <エンゼルフレンチ(藤田雅矢)>ロマンチックか!!甘いよー。好きじゃない。お口直しに「みずは無間」を読みたくなった。
    <七歩跳んだ男(山本弘)>密室殺人in月面!!密室って聞くとファンタジーきましたぞ!ってわくわくする。にやにやした。
    <隣人(田中哲弥)>これはホラーでしょ!ぞわ。でもこういうの嫌いじゃないからつらい。
    ↓ここから後のメタ系三作のためにこの1冊を読んだといって過言じゃない。
    <黎明コンビニ血祭り実話SP(牧野修)>これはすごい。読み終わって題名を見たら“実話”が入っているのがとっても気が利いてて良いわー!と盛り上がった。でも基本的にものすごく血祭りなのであまり読みたくない…。
    <Beaver Weaver(円城塔)>大好き。「ここはそういう宇宙です」論理階層を齧るビーバー。「その前は、その任意のω秒前から来たよ」わかったと思ったらすり抜けていく、わからないと思ったら突然わかったりする、円城さんの文章に翻弄されてるのが好きなの。
    <自生の夢(飛浩隆)>本当に好き!正直ラストの場面はまだ理解できてないけれど、理解できなくても美しくて読みたくなる文章と登場人物たち。良かった!
    ↑メタ系三作は、この順番でセットで並んでいたから相乗効果で楽しめたなー!!と思う。

  • 読んでて先が読めない話が多く、楽しめた。

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著者プロフィール

1974年東京都生れ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。『ハーモニー』発表直後の09年、34歳の若さで死去。没後、同作で日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。

「2014年 『屍者の帝国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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