汽車旅12カ月 (河出文庫 み 4-2)

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309409993

作品紹介・あらすじ

車窓の風景は四季折々に装いを変えていく。春先や紅葉シーズンだけではなく、いつ旅に出ても、その時々にしか出会えない景色が車窓から広がる。雪景色を掻き分けていく冬もよし、旅行者が忌み嫌う梅雨だって悪くない。一月〜十二月まで、その月ごとの旅の楽しみ方を記した、『時刻表2万キロ』『最長片道切符の旅』に続けて刊行された、鉄道旅のバイブル。

感想・レビュー・書評

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  • 汽車旅といふ言葉も死語に近いですね。
    今の人たちは、鉄道車両のことを何でも「電車」と呼称します。大井川鐡道の蒸気機関車牽引列車に乗つた時、乗客の一人が「SL電車」と言ふのにはさすがに驚いた。一々訂正しても「ケッ、五月蝿いをやぢだぜ」などと煙たがれるのが関の山でせうから黙つてゐましたが。

    しかし宮脇俊三さんの場合、まぎれもなく汽車旅なのであります。
    「汽車旅12ヵ月」のタイトル通り、1月から12月まで、各月汽車旅をするにあたりどのやうな魅力があるのかを弁じた書物です。
    例へば2月。厳寒の季節で観光客が減るのですが、その分指定券や寝台券はすぐに取れる。山陰へ行けばカニが美味い。といふわけで宮脇さんは毎年のやうに2月は山陰旅行を愉しんでゐました。
    あるいは5月。黄金週間を過ぎれば絶好の旅行シーズンで、皆が敬遠する6月も旅館などが空いてゐるからサービスも良い、また昼が長いので観光に時間を多くさける。
    なんだかんだ言つて汽車旅に出かける口実のやうにも思へて、微笑ましくなります。

    もつとも本書の初版は1979(昭和54)年。旅行事情も今とは大いに違ひますので、ガイド本としては期待しない方がいいでせう。老婆心ながら。あくまでも宮脇俊三といふ紀行作家の鉄道エッセイとして堪能すれば良い。
    今年になつて河出文庫として再刊されたのも、版元がさういふ価値を認めたからでせう。
    ではご無礼します。さやうなら。

    http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-111.html

  • 旅情を感じる。

  • 各月の鉄道旅行の特徴と実際の鉄道乗車話。
    8月の只見線の全通したときの始発に乗った話がよかった。
    電車の中で読んでたら思わず涙ぐんでしまったのであわてて閉じた。

  • 本書が国鉄完乗、最長片道切符の旅の次に上梓されたものだったのを、読了後に知った(遅っ)。「鉄道旅行のたのしみ」とは違う切り口で、著者の汽車旅を各月に分割・編集すると、こんな面白い紀行文になるんだなぁ。昭和時代には週末の夜に寝台列車で旅に出て、週明けの朝に寝台列車で帰って出社という羨ましくも大変な旅ができた。今は便利な平成の時代となったが、次々と廃止される夜行・寝台列車、そしてローカル線、特に台風などの災害で鉄路が復旧できずにそのまま休止→廃線となる路線に悲しみを感じる。

  • 月ごとの鉄道旅行の楽しみ方がメインテーマ。これだけ鉄道に乗れたら楽しいだろうなぁ…

  • 友人が宮脇さんの本が新しく出てるよ~と言うので探して購入。でもどうやらこの本では無かったみたいなのですが。
    面白かったです。

    いつもこの方の本を読むとどこか電車に乗って出かけたいな~と思うのですが思うだけでなかなか動かない…
    でも旅の計画を立てている時が一番楽しいのかもしれません。

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著者プロフィール

宮脇俊三
一九二六年埼玉県生まれ。四五年、東京帝国大学理学部地質学科に入学。五一年、東京大学文学部西洋史学科卒業、中央公論社入社。『中央公論』『婦人公論』編集長などを歴任。七八年、中央公論社を退職、『時刻表2万キロ』で作家デビュー。八五年、『殺意の風景』で第十三回泉鏡花文学賞受賞。九九年、第四十七回菊池寛賞受賞。二〇〇三年、死去。戒名は「鉄道院周遊俊妙居士」。

「2023年 『時刻表昭和史 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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