南海ホークスがあったころ---野球ファンとパ・リーグの文化史 (河出文庫 な 26-1)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309410180

作品紹介・あらすじ

球団創設、大阪球場誕生、打倒・読売の日々、歓喜の御堂筋パレード、苦悩と低迷、そして福岡へ…南海ホークスの栄光と挫折の軌跡を追いつつ、スタジアムという空間のあり様や応援という行動の変遷を活写する、ファンの視点からの画期的な野球史。近年の動向を追加取材。貴重な写真多数。

感想・レビュー・書評

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  • 往来堂書店「D坂文庫2014冬」から。南海ホークスを通じて見たプロ野球文化史論の一級品。
    南海ホークスの球団史ではなく、主題はサブタイトルの「野球ファンとパ・リーグの文化史」の方にある。軽い気持ちで読み始めたが、これは紛れもなく学術書だ。
    阪神タイガースをしのぐ人気を誇っていた南海ホークスが凋落していった理由を、社会学的に分析しているのだが、その手法はお見事というほかない。当時、子供ながらにセ・リーグは新聞社の球団が多く、パ・リーグは関西の鉄道会社の球団が多いなとは思っていたが、それにはしっかりとした理由があり、そして、その理由がその後の凋落を引き起こした一因ともなっていたのだ。
    そして、球団の元に集まるファンと、その集まる場所であるスタジアムに割かれたページも秀逸だ。特に、スタジアムを見ると興奮を抑えきれないタチのワタシにとって、ホークス移転後の大阪球場の話には胸が裂けた。
    著者がホークス・ファンであるせいか、ホークスへのエレジーと読める箇所もあり、野球ファン、特にパ・リーグ・ファンの琴線に触れまくる一冊だ。
    また、見開きの左側ページの最左欄に注釈欄を設けて読みやすくしているスタイルも出色だが、さらにその注釈の内容も良い。野球ファンの心をくすぐるネタも散りばめられてあり、一文字たりとも読みとばせない。

  • 今思えば父も「野球難民」やったんやと。ひたすら巨人戦の中継ばかり見ていた父が。巨人ファンではない、巨人が負けるところを見たいのだと。阪神ファンの幼い私には理解不能だった。
    後に母から父は南海ホークスファンだったと聞かされた。ならば巨人の中継じゃなくて、ダイエーホークスを応援すればええやないかと思っていた。ダイエーホークスにはそないに興味があるようには見えなかった。もちろんソフトバンクも。

    この本を読んでようやく解けた。身近な人が感じてであろう喪失感に。野球は好きだがひいきの球団はもう無いという。もはや父は巨人戦だって見ていないのだ。
    自分には物心ついたときには阪神しかなかったが、南海がまだ在阪球団だったら南海を応援していたような気がする。応援の甲斐のある球団が好きだから。

  •  平成生まれの私にとって、"ホークス"といえば「ダイエー」もしくは「ソフトバンク」である。南海ホークスなんてパワプロで培った記憶では野村克也さんぐらい。あとは「南海ホークスの歌」でお馴染みの灰田勝彦さんぐらいの知識しかない。本書では南海ホークスとその当時のプロ野球文化を紹介している。
    単なる球団史ではなく、昭和パ・リーグ事情も解説しており、如何に南海ホークスが人気ある球団であったかが分かる。

  • 「難波の南海どこにも行かん」と掲げられ たプラカードの下を去ったホークスの南海 時代を綴る一冊。

    大阪球場および狂鷹会をはじめとする大阪 のファンとの蜜月。「ナンカイやっても勝 てない南海」と揶揄された時代から優勝 後、球団としては初となる御堂筋パレード まで、ときどきノムさんを挟みながら。

    そして知ってしまった「ホークスは、いつ か大阪に帰ってくる」と待ち続けるファン の想い。理屈抜きで泣ける。

  • [ 内容 ]
    球団創設、大阪球場誕生、打倒・読売の日々、歓喜の御堂筋パレード、苦悩と低迷、そして福岡へ…南海ホークスの栄光と挫折の軌跡を追いつつ、スタジアムという空間のあり様や応援という行動の変遷を活写する、ファンの視点からの画期的な野球史。
    近年の動向を追加取材。
    貴重な写真多数。

    [ 目次 ]
    第1章 戦前期のプロ野球と都市開発
    第2章 都心の故郷―大阪スタヂアム
    第3章 栄光の日々―御堂筋パレード
    第4章 応援という行動 ファンという生き方
    第5章 パ・リーグ哀歌
    第6章 閑古鳥の巣
    第7章 二都物語―その後のホークス
    補章 そしてソフトバンクへ―さらにその後のホークス

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 巨人一辺倒であったころ、パ・リーグにどうも気になる球団がありました。それが南海ホークスです。弱小球団、お荷物球団と化してましたが、何故か気になる。ダサいグリーンのユニフォーム、でもカッコイイ、球団ロゴ。ホームはボロ臭い大阪球場。思わずファンになろうかという頃に、福岡に旅立つことになってしまいました。杉浦監督の別れの言葉が忘れられません。そんなホークスの歴史を丹念にまとめた一冊。あの当時のホークスファンはどうしてるのでしょうね。しかし、野村克也という偉大な選手を無かったことにしてる姿勢には首を傾げざるを得ません。

  • 野球場とはなんなのか。いや、野球場の観客席とはなんなのか。

    僕らは野球場を楽しみたいんだ。見るだけでなく、騒ぐだけでなく、応援するだけでなく。野球場の全てを、楽しみたいんだ。

    もしもベイスターズが新潟に移転して、横浜スタジアムがロッテかヤクルトあたりのサブホームになって、ベイスターズがビジターチームとしてやってきたら?
    僕らはレフトスタンドで涙するのであろうか。

  • 852夜

  • 前から探していた待望の本です。2003年に書かれたものなのですね。あれから、世の中も変わりました。

  • 単行本で既読。

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著者プロフィール

永井良和(ながい・よしかず)1960年、兵庫県生まれ。京都大学助手、大阪教育大学助教授などを経て、関西大学社会学部教授。都市社会学・大衆文化論専攻。おもな著作に『南海ホークスがあったころ』(河出文庫)、『ホークスの70年』(ソフトバンククリエイティブ)、『南沙織がいたころ』(朝日新書)、『社交ダンスと日本人』(晶文社)など。

「2023年 『南海ホークス 1938年〜1988年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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