- Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309410272
感想・レビュー・書評
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SF
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SF初心者の自分のSF力を高めるべく、SF強化月間中です。
あまり長くて難解なのは挫折するので、短編集から取り組むことにしました。
一番最初に選んだのは大森望・編集の「NOVA」シリーズ。
バリバリのハードSF作家から、ライトノベル、人気大衆作家など、超豪華な幕の内弁当の風情です。
色んな本を食い漁っている私ですが、偏屈の食わず嫌いというか、すんごい人気作家を一冊も読んでない、はては映像化された作品(映画やドラマ)すら見ていないといったことがままあります。
宮部みゆきもそのひとりでした。
で、NOVA2に掲載されていた彼女の中編「聖痕」が初となりました。
<以下、ネタバレがあるので気を付けてください!>
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作品は、こどもの身辺調査をする女性調査員とそこを尋ねてくる初老の男が発端となります。
その男には昔、別れた妻との間に男の子がいました。
離婚の原因は、女にはパチンコ依存などがあり、身持ちが悪かったせいでした。しかし、男の子は女に引き取られていきます。
その子がどうなったか、気にしながらも、自身は再婚し、新たな生活を営みはじめる男。
だがそこに、かつての妻とその内縁の夫が自分の子どもに殺されたことがニュースとなって入ってきました。
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と、かなりハードな状況設定なのですが…
家庭の中で行われる子どもが絡んだ犯罪…DV、ネグレクト、家庭内暴力、性的虐待って難しい。白黒はっきりつけにくい犯罪のなかでも、さらにこぐらがっている。
なにが難しいと言っても、被害者である「子ども」はあまり声を上げない。
どんなにロクデナシでも親は親で、情愛としての問題ではなく、生殺与奪の権を握った絶対者として彼らの上に君臨している。
どんな形であれ彼らに反抗することは、自分の死刑執行所にサインをするに等しく、結果、彼らを救おうと外部から介入するものの助力(この場合、女調査員)を拒否する。
家庭というのは閉じられた密閉空間で、それが、血縁に保障された健全な揺籃ではなく、かえって牢獄として機能したときの惨状といったら、もぉ・・・
ヘタなホラー映画より100万倍怖い、といったら、わりにハードな家庭状況で育ってきたダンナいわく、ホラー映画とはそういう状況に置かれたこどものサバイバル劇としてみたらいいよ、とのアドバイスがかえってきました。
あ、そっか。私の大嫌いなホラー映画には、そういう生きづらさを抱えた人たちのカタルシスの受け止め皿になってるんだね、と妙に納得したことがあります。
幸いにして、私は安定した家庭環境に育ってきたのですが、不安定で身体的・言語的に暴力がある緊張した家庭環境にずっといると、おかしくなるだろうな、とは思います。
そんななかで、「アナタのためを思ってなのよ!」とか価値観を押し付けられて日には、もぉ・・・
たとえ、自分の本意でなくても呑みこまざるを得ず、そういうことを繰り返している間に自分の本音を見失うこともままあるだろうな、と…。
そこには正義などなかった。あるのは事なかれ主義だけだった。血の絆や親子の情愛を妄信する性善説だけだった。
邪悪が地上を闊歩していた。正義の価値は塵より軽かった。
どうにも自分が醒めすぎているのか、あるいは自分が子を持たないせいなのか、「親子神話」って絶対的で崩れにくく、あちこちに蔓延している気がします。
声高に言うと変人扱いされるからあんま言わないけど。
あ、もう遅いか。
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*「チヨ子」に収録 -
83:神林氏の新作が読めるというだけで買う価値があると思うのですが如何でしょう。今回も、たくさんの作品を少しずつ味見するといった具合で、読んでいて飽きないし、作者さんへの興味も生まれ……と、アンソロジーのおいしさがぎゅっと詰まっています。神林作品はもちろん、曽根圭介「衝突」、津原泰水「五色の舟」がとても面白かったです。
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東京の日記はまさに今の日本の状況の延長線上にあるような感じですごく恐ろしかった。
五色の船は、中でも別格で賞をとるだけはある内容。 -
神林長平 『かくも無数の悲鳴』
小路幸也 『レンズマンの子供』
法月倫太郎 『バベルの牢獄』
倉田タカシ 『夕暮にゆうくりなき声満ちて風』
恩田陸 『東京の日記』
田辺青蛙 『てのひら宇宙譚』
曽根圭介 『衝突』
東浩紀 『クリュセの魚』
新城カズマ 『マトリカレント』
津原泰水 『五色の舟』
宮部みゆき 『聖痕』
西崎憲 『行列』 -
新城カズマさんの「マトリカレント」と津原泰水さんの「五色の舟」がインパクトあった。
マトリカレントはSFと王朝ファンタジーの中間、よりもややSF寄りな海洋もの。単語の選びがすごく雰囲気あって浸って読めた。世界史に詳しい人が読むともっと面白いのかも。
五色の舟は、異形というか奇形のために見世物にされながら生きる家族を主人公に据えた、「くだん」の話。不幸と幸福について考えたくなる、なんともいえない後味が残る話。 -
2010年7月20日、初版、並、カバスレ、帯無し。
2014年7月1日、白子BF。 -
数人の作家さんたちの短編集。東浩紀と宮部みゆきの短編が印象的。
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神林長平『かくも無数の悲鳴
小路幸也『レンズマンの子供』
法月綸太郎『バベルの牢獄』
倉田タカシ『夕暮にゆうくりなき声満ちて風』
恩田陸『東京の日記』
田辺青蛙『てのひら宇宙譚』
曽根圭介『衝突』
東浩紀『クリュセの魚』
新城カズマ『マトリカレント』
津原泰水『五色の舟』
宮部みゆき『聖痕』
西崎憲『行列』
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