また会う日まで (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
3.42
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本棚登録 : 245
レビュー : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309410418

感想・レビュー・書評

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  • 初めて読む作家さんです。

    登場人物の心理は、ちょっと理解できない部分が多かったですが、小説全体の雰囲気は好きでした。

    しかし私には、鳴海&有麻のお互いに思っていた感情がわからない…。
    読むにつれ、鳴海くんてあまりいい人じゃないね、とばかり思えてきました。

    しょうちゃんがもっと活躍すると思ってたら、途中で消えてしまったのが残念。

  • 結局感じた何か特別な思いは本人達にしかわからないし、本人達も曖昧にしかわからないってことか。何かあるだろうと思って最後まで読んでは見たけど、他人のオチのない日記をずるずる読ませられた感じ。描写が細かすぎて想像の余地がない。

  • 小説というのは最初の一行が肝心だ。冒頭の情報が少なく、一体主人公が誰で、人物相関はどうで、今誰が何をしようとしているのかがさっぱり分からない。作者の今後の成長に期待。

  • 女の子は、「恋」が好きだ。
    「それは恋だよ!!」って決めつけるのが好きだ。

    でも、そう決めつけてしまえない相手に出会ったとき。
    その相手に、自分は何を望んだらいいのだろう?

    これは恋じゃないかもしれない。
    でも私はこの男性にどうしようもなく惹かれている。
    時には持て余しそうになる、そんな不安定な感情を抱えながら、その真相を確かめるべく行動を起こす主人公から、不思議と目を離せない。

  • 高校生の頃に同級生と「セ」(ックス)の一文字すら喋れなかった私とは、そもそもクラスタが異なる。
    というやっかみはさておき。
    不思議な読後感。
    何が起きたわけでもない、ただカメラアイとして存在するだけの「私」が、なぜか引っ張りだこ。
    具体的にはみんな彼女に「自分の部屋へおいで」と声をかけてくるのだ。
    最終的にはいわゆる「ゆきずり」へと。
    (宿泊場所を変えられない自分とはまた、クラスタ違い。)
    この図式的な感じは『春の庭』でも気づいたが、それがいったい何を示すのかは、やはりわからない。

    「セックスフレンド」云々のエピソードはなぜか心に残っており、それを確かめるように動く。
    つまり《過去の記憶に触ろうと》している。
    この感覚を描くために、この中編はできたのではないだろうか。

  •  2006年度三島由紀夫賞候補作。
     生まれ育った大阪に住み続け会社員をしている二十代後半の仁藤有麻(読みはユマ)が主人公。今は東京に上京しているが、かつて大阪の高校で同級生だった友人達と会うために一週間の休暇をわざわざとって遊びに行く。その七日間を繊細なタッチで描写していく。
     この東京旅行の最大の目的は、友達以上恋人未満のような妙な親しみがある存在だった鳴海くんに、高校の修学旅行の夜、言葉では言い表しがたい阿吽の呼吸のような、何というか心が通いあったような奇妙な感覚が一瞬間あって、その時に鳴海くんは本当は何を考え、どう感じていたかを確かめることだ。一応はこのことを明らかにしようという動機を軸にして小説が展開していく。
       
     柴崎友香といったら日常小説、と読まれるのだが本作の場合は厳密に言えば日常小説とは言えない。巻末解説の青山七恵もめざとく触れているように、大阪に拠点を置いて生活している有麻は東京に来てみればストレンジャーだ。有麻にとって東京という街は非日常空間であり、加えて大阪を離れて東京で暮らす友人達の暮らしぶりも有麻にとっては非日常的だ。あくまで有麻は旅の人であることを忘れてはならない。
     また柴崎友香はカメラアイの作家だともよく言われるのように、東京の風景、例えば都心の高層ビル街も、浅草寺や東京タワーといった定番の観光スポットも、何の変哲もない都内の住宅街も、全て旅の人の視線と感覚を通してしつこいくらい丁寧に描かれている。思えば東京一極集中のこの時代にあって、あえて遠くの土地の力を信じてサーガを紡いでいく中上健次や阿部和重のような作風や、あるいは東京に住む若者を直球で描いていた吉田修一とも違った、意外に珍しい外部の人間の目が見て感じた東京が描写されている点も、本作の得難い成果であり魅力だ。
     
     東京という場所はもちろんのこと、過去とは違う今という時間を生きるかつての同級生達も、場所だけでなくて時間までも旅したような有麻の目には今まで知らなかったこととして映っている。
     もう高校時代のあの頃と同じではないという、至極当然だがその目で直接確かめなければわからないことを実感していく過程を書いたものだと言えなくはないか。
     実際、作中では過去を思い出すシーンが頻繁に出てくるように、本作のテーマは後ろ髪を引かれている過去にケリをつけることだろう。

     鳴海くんの家に泊まったりまでしたのに、修学旅行の夜の奇妙な一瞬のことについて尋ねることができたのは東京旅行の最終日となった。待たしただけあって有麻と鳴海くんの会話は長めに書かれているが、はっきりとした答えは語られていない。けれど二人の間でこの問題は解決したということはわかるのだ。
     というか二人の修学旅行の夜の感覚はどう頭をひねっても言語化できない微妙なものだし、読み終えた私もどうしてもうまく言えないのだけど、二人が何を納得しあったかは理解することができたし、それですっきりした読後感を得られたのだから不思議だ。
     また会う日がもしあるならば、今度は過去ではなく今を生きる者同士としての関係が始まるのだろう、そういう予感を覚えることができた。
     文章技法で言う所の故意の言い落とし、あえて核心を言わずに周囲を細かに書いて肝心なことを悟らせる、修辞学で言えば黙説法となるのだが、それが抜群にうまい気持ちの良い小説だった。

  • 柴崎さんが描く何も起こらない日常って感じが好き。登場人物もちょうどいい距離感で羨ましくなる。

  • 【自分の日常と近いところにある物語】

    柴崎さんの本は、今まで数冊読んだことがありますがちょっとにがてでした。文末が「〜た」で終わることが多く、単調に感じてしまったのかもしれません。

    でも今作は今までで一番よかったなと思いました。大阪で働いている主人公が、東京に来た一週間を描いた物語。

    主人公は写真を撮りたいと思っていて、友達の李花ちゃんは女優になることを目指している。男友達のしょうちゃんもカメラマンのアシスタントをしながら腕を磨いている。

    やりたい仕事ができるよう頑張ったり、気心しれた友達と飲んだり、恋愛に失敗したり、友達と一緒に深夜に銭湯に出かけてみたり。なんでもない日常だけど、10年たったときに楽しかったなぁと思い出せる日々なんだろうな。

    どこにでもいそうな人たちが、私たちと変わらない日常を過ごしていて、すごく普段の自分に近いところにある物語だなあと思いました。

  • これ好きや。
    なにもないのにほかのひととの関係より親密な感じのする関係、わかる。

  • 柴崎友香の女の子が主人公の話はだいたい友だちの話をきく感覚で読むけど、これはわたしだと思って読んでる。単行本でも数えてですけど、何度目かの再読。毎回そうそうって思う。

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著者プロフィール

柴崎友香(しばさき ともか)
1973年、大阪府生まれ。大阪府立大学総合科学部国際文化コース人文地理学専攻卒業。大学卒業後4年OLとして勤務。1998年、「トーキング・アバウト・ミー」で第35回文藝賞最終候補に残る。1999年、「レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー」が『文藝別冊 J文学ブック・チャート BEST200』に掲載され、同作が収録された『きょうのできごと』が2000年刊行、単行本デビュー。その後同作は2003年に行定勲監督により映画化された。2007年『その街の今は』で芸術選奨文部科学大臣新人賞・織田作之助賞大賞、2010年『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞、2014年『春の庭』で芥川賞を受賞。
主な著作に『次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?』『わたしがいなかった街で』『週末カミング』『パノララ』『かわうそ堀怪談見習い』『千の扉』『公園へ行かないか? 火曜日に』など。『寝ても覚めても』が東出昌大主演、濱口竜介監督で映画化されカンヌフェスティバルに出品された。2018年9月1日公開。書籍の増補新版も刊行されている。

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