カツラ美容室別室 (河出文庫)

  • 河出書房新社
3.26
  • (16)
  • (61)
  • (93)
  • (24)
  • (8)
本棚登録 : 662
レビュー : 83
  • Amazon.co.jp ・本 (163ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309410449

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 「友情というのは、親密感とやきもちとエロと依存心をミキサーにかけて作るものだ。ドロリとしていて当然だ。」

    なんだってこんな文章が書けるんだろう。
    なんでこんな小説が書けるんだろう。

    学生の頃、お弁当を一緒に食べる子は「友達」だった。
    同世代の間にはどうやら「友達」と「親友」と「幼なじみ」がいて、それぞれ違うものと認識されていたように記憶している。

    では会社帰りに一緒に呑む人がいつまで経っても「友達」にならないのは何故なんだろう?
    そう思っているのは私だけで、相手は私を「友達」だと思っていたりするのだろうか。
    ‥いや、それはないな。

    この物語の中でフワフワと形成される友情のようなものが不思議でならない。
    カツラさんとエリちゃんが「友だち」と言語化したことで失敗したのは、2人が本当は「友だち」じゃなかったからなのか。それともお互いの「友だち」のイメージに齟齬があったからなのか分からない。

    だけど、ひとつだけぼんやりと想像出来ることがある。
    私はこれから先、誰かに対して「友だちになろう」とか、「友だちだと思っている」とか、そういう言葉を口にしないだろうということ。
    淳之介と梅田さんのような、はたまた淳之介とエリちゃんのような、輪郭の定まらないフワフワした関係をたくさん作るだろうということ。

    そしてたぶん、それが自然なことのはず。
    「友だち」や「友情」などと言語化してしまうと、フワフワ揺れ動く気持ちや膨らんだり萎んだりする自意識が言葉の囲いにぶつかって痛いんじゃないか。
    いつでも同じ態度を求められることは厳しくて不自由なのではないか。
    人の気持ちってそんなに一定じゃないし安定していない。
    この小説を読んでそんなことを思った。

  • 引っ越し当日、主人公は友人の梅田さんに誘われて商店街にある「カツラ美容室別室」で髪を切ることになった。
    そこでカツラを被った店長に、同い年のエリ、年下の桃井さんと出会う。
    エリと友達以上、恋人未満になりながら、主人公は気儘で孤独な生活を続けていく。


    言葉にできないもやもやとして感覚的なことを、上手に文章にするなーと思った。

    特に
    「しかし、会社を辞めて、上司や同僚と飯食うのを止め、友人とべたべた会うのを止めたら、どうなるか。オレは他人によってなんとか自分の形を保てている。他人と会わないでいたら、オレはゲル状になるだろう。」っていう部分が好き。

    主人公は自分のことが好きなくせに他人の軸で行動しようとしてうまくいかなくて、結局傍観者にしかならない。
    人に必要とされたいけども、自分は人を必要とはしない。
    結局、わがままな寂しがりやのまま。
    だから、逆に人が大好きで自分の軸で行動している梅田さんがまぶしく見えて、自分が大好きで自分の軸で行動しているエリが時々めんどくさく見えてしまうんじゃないかなー。

    世の中は得てしてどろどろとねっとりしてるもの。
    それを書くのがとても上手でおもしろかった。

  • 仲良しのお気に入りさんに貸してもらって初めてナオコーラさん読みました!何かすごいドラマがある訳ではなく日常のいろんな出来事が淡々と描かれています。ナオコーラさんの文章や空気感がとても良かったです♪登場人物達のやり取りがゆるくて心地よかったです(´▽`*)淳之介が「一回ぐらいセックスしてみたかったな」ってところがリアルに感じましたし「男女間の友情は湧く。湧かないと思っている人は友情をきれいなものだと思い過ぎている。」のくだり(まだ続きがありますが)も印象に残りました!他の作品も読みたいと思っています★

  • 何か起こりそうで何も起こらない。
    もどかしいような気もするけれどそれがやけにリアルで面白かった。
    話がというより状況が面白い。

  • 男の人のこういう心理分からない。だから素直に話せないのかも?んー分からないってことが分かった。
    男女の友情はこの世の永遠の問いですけど、答えはきっと一生かかっても見つからない。
    男の人は、セックスしたいと思うことと、感情の穴を埋めたいことが イコールで繋がってないのかな?私はどうなんだろう?分からない。
    山崎ナオコーラ。男性なのか女性なのかも分からない。解説で、「彼女」と呼称されていたから 女性なのかもしれない。女性だとして、こんなに男性の感覚を描くのが上手いことに驚いた。私には分からないから
    ドキドキする瞬間を作っておいて野放しにされると寂しいもん 怒るよ
    一生友達なんて言われたらズキズキしそう
    でも、この本の中では、友達って美しいと思った。
    彼女よりも友達の方が泥臭くって美しいのかも。

  • 高円寺いってみようかな

  • 表現の仕方がおもしろいなと思った

  • テンポが良くて読みやすかった。

  • 特に面白いと思わなかった。
    毒にはならない

  • 曖昧な関係とか駆け引きとか、すごく丁寧に表現されていて、大切にしたいと思った。

全83件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1978年福岡県生まれ。2004年『人のセックスを笑うな』で文藝賞を受賞し、デビュー。小説に『ニキの屈辱』『美しい距離』『趣味で腹いっぱい』、エッセイに『母ではなくて、親になる』など。

「2019年 『リボンの男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

カツラ美容室別室 (河出文庫)のその他の作品

カツラ美容室別室 (河出文庫) Kindle版 カツラ美容室別室 (河出文庫) 山崎ナオコーラ

山崎ナオコーラの作品

カツラ美容室別室 (河出文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする