NOVA 6---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)
- 河出書房新社 (2011年11月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (454ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309411132
感想・レビュー・書評
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宮部さんの作品に限定するなら星5つでした。
最近のSFは「サイエンス・フィクション」からは離れているのでしょうか。こういうのがSF?と思いながら読みました。たぶん私にはついていけない。
ということで宮部作品。
リーダビリティからいっても群を抜くものがあります。SFならではの特殊な用語や設定の説明が非常にスムーズで無理がない。そしてその設定が突出するのではなく、きちんと物語の基盤になっているのです。その上で「保安官の苦悩と悲しみ」が描かれている。人のもつ普遍的な哀しさ、愚かさまで想像させる筆致はさすがだと思いました。
最近時代物が多くなっている宮部さんですが、「ドリーム・バスター」などのSF作品もまた読みたいものです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
斉藤直子「白い恋人たち」
七佳弁京「十五年の孤独」
蘇部健一「硝子の向こうの恋人」
松崎有理「超現実な彼女 代書屋ミクラの初仕事」
高山羽根子「母のいる島」
船戸一人「リビング・オブ・ザ・デッド」
樺山三英「庭、庭師、徒弟」
北野勇作「とんがりとその周辺」
牧野修「僕がもう死んでいるってことは内緒だよ」
宮部みゆき「保安官の明日」
宮部みゆきってディックが好きなのかな? -
宮部みゆき「保安官の明日」
保安官の任務は、毎日街を見回ることだ。
街にはいろんな人間がいる。いい奴、悪い奴、困った奴…
そしてある日、街で凶悪な殺人事件が起きる。
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街はじつは人造人間に溢れた実験場で、そこでは「ある人格」が凶悪犯になる過程を観察されている。
いつ何があったから、彼は殺人犯となったのか?そのポイントはどこなのか?といった実験が繰り返される、妄執の箱庭「ザ・タウン」。
そこで、「巡回」と報告をを任された保安官。
だが、彼も生身を半分以上機械に置き換えた半人造人間。
のどかな日常に徐々に染み込んでいく、違和感がやっぱりうまい。
さすが御大。 -
NOVA 6---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)
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他の作品も読んでみたいと思わせる新しい出会いは無かった。
既にマストバイリストに入っている宮部みゆきの「保安官の明日」がお気に入り。 -
完全新作オール読切アンソロジー・シリーズ。ベテラン勢+新人特集。全十篇(宮部みゆき、牧野修、北野勇作、斉藤直子、蘇部健一、樺山三英、松崎有理、高山羽根子、船戸一人、七佳弁京)。
(2011年)
— 目次 —
斉藤直子『白い恋人たち』
七佳弁京『十五年の孤独』
蘇部健一『硝子の向こうの恋人』
松崎有理『超現実な彼女』
高山羽根子『母のいる島』
船戸一人『リビング・オブ・ザ・デッド』
横山三英『庭、庭師、徒弟』
北野勇作『とんがりとその周辺』
牧野修『僕がもう死んでいるってことは内緒だよ』
宮部みゆき『保安官の明日』 -
七佳弁京さんの「十五年の孤独」が面白かった。軌道エレベータを、十五年かけて人力で(手こぎで)登攀することになった男の話。あらすじだけ見て「……ギャグ?」とか思ったりしてすみません。いい話でした。
宮部みゆきさん「保安官の明日」もよかった。悪人は何度人生をやりなおしても悪人なのか。人の悪は環境で作られるのか、遺伝子によって決定されているのか。 -
『白い恋人たち』:SFラブコメというかギャグの領域か。だが旧き佳きドタバタっぷりとでも言おうか、ほのぼの青春してて終始笑みがおさまらなかった。
『十五年の孤独』:マクロでミクロな雰囲気。なにげにコンタクトSF。ただ十五年もあるならもっとドラマティックなシーンだって描けるだろうに、と欲目で見てしまう。そのくらいよかった。
蘇部さん:この人は頑張って展開詰め込み過ぎてるのか、細かい部分を膨らませて描けないだけなのか。相変わらずの素人っぽさ(誉め言葉)。