空に唄う (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
3.20
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本棚登録 : 92
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309411576

作品紹介・あらすじ

海生は、23歳の新米の坊主。初めてお勤めをすることになった通夜の最中、棺の上に突然、裸足の女性が現れる。遺影と同じ顔をした彼女は、なんと死んだはずの女子大生だった。自分以外、誰の目にも見えない彼女を放っておけず、海生は寺での同居を提案する。だが次第に、彼女に心惹かれて…若い僧侶の成長を描く感動作。

感想・レビュー・書評

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  • 特にすごい展開もなく遅々として進まず。
    もう残り数ページという所で
    「ああ、これはこういうお話でいいんだ」と思いなおす。
    日常の中で若者は悶々と沸々とを繰り返し、
    子供は大人の事情を察しながらも飛び回り、どんよりとした世界を換気する。
    浮世だね・・・ま、幽霊が見えちゃうのは日常にはないかもしれないが(笑)
    映像にするとおもしろいかも。やはり野ブタをプロデュースの人だけある。

  • 新米坊主の海生。
    初めて担当したお通夜で、死んだはずの女性が話しかけてくる。最初は吃驚した海生だが、だんだん心を許していき、奇妙な同居生活を送る。でもそんな日々にも終わりがあって…。

    この作者、かわいくってでもちょっと毒のある女の子を書くのが上手いですね。優しい言葉をかけたら右ストレートを食らわせに来るような、ちくりと棘を刺す早紀ちゃんが可愛かった。彼女の将来が楽しみ。

    幽霊の碕沢さんが、何故成仏できずに海生のもとに現れたのか、そして何故海生にだけ見えて、触れて、何故何も言わずに消えてしまったのか、全く説明はありません。

    ただ、碕沢さんがいなくなっても日常は続く。
    海生はどうすれば良かったのか、何が正解だったのか悩むけれど、答えは出ないんだろうな。

  • 2009.6.1

  • 『野ブタ。をプロデュース』の作者が描く恋愛小説。
    海生と、海生にしか見ることができない幽霊の碕沢さんとの交流。

    二人だけの時間はゆったりしていていい。
    しかし、碕沢さんの内面があまり見えてこない。
    海生も、彼女との出会いによる内面の変化が見られない。

    碕沢さんは一度死んでいるから、彼女との別れは二度目の死ともいえる。
    死というのは突然訪れるものだから、ラストにも納得はできる。
    でもできれば、もう一度だけ海生と会って別れを告げることはできなかったかなあと思わずにはいられない。

  • 野ブタをプロデュースの著者。ドラマ化とかされて話題になって、その後ふっつり聞かないなあと思っていたけど、うーん。

  • 幽霊の娘が、主人公のもとを離れ、1人でどこでどう過ごしていたのか全く示されない。
    また、最後まで彼女がなぜ消えたのか、何を思って主人公と最後の晩過ごしていたのかも、記述はない。
    そのため、この本を読み終わった後、彼女の近辺について、あれこれと思索を巡らせることになるが、そこが、映画やドラマには出来ない、小説特有の良さだと感じた。

  • 結果、なんだったんだろう?って内容だけど、嫌いではない。一人一人に重要な意味なんてないけど、みんな生きてんだなぁ。そんな感想

  • 野ブタをプロデュースの作者だそうですが、この小説もすっきりドラマ仕立てで、すごく読みやすかったです。新米住職が女子大生の霊に恋よりもほのかな、でも確かな恋愛感情を芽生えさせつつ、いずれ来るであろう別れにも怯えつつ、みたいな、ほんの少し切ない青春ストーリー。(たぶんw)でも、亡き父の話とか、連絡がとれなくなった二日間とか、ちょっと消化不良な部分が、のどに刺さった小骨のような感じで気になります。

  • 死んだはずの女子大生と、駆け出しの坊主の心の交流を描いた本作。
    終始、話は静かで、そして切ない。

    幽霊と生きている人の交流という、話のネタとしては良くあるものだが、この物語はそれらとはどこか一線を引くものがある。
    話のちょっと悲しいけど、どこか優しいラストは秀逸。

  • 盛り上がりに欠ける内容だった。ドキドキする展開もなかった。解説では「本書は水のごとく~」とかなんとか言ってたけど、作者が何を伝えたいのかいまいちわからなかった。幽霊が見えて、一緒に生活するなんて話は他にもたくさんあるだろうから、もう一工夫ないとなんのおもしろみもない。野ブタ以来の作品で楽しみにしていただけに、この作品は僕が設定したハードルの下を楽々と通り抜けてしまった。

    ただ、彼氏がいるんだけど自分も好意を抱いている女性に対して、どのような距離感を保てばいいのか悩む姿勢は共感できる。このお話では、その女性がもう死んでしまって幽霊な訳なんだけれども、見えるのも話せるのも自分一人しかいないわけで、なんか彼女もそうゆう人がいてくれて喜んでるらしいし、これはいけるんじゃないか!?と僕は読みながら思ってたんだけど、まあそんなに上手くいかないですよ。主人公の海生が彼女に惚れてるのは読みとれるけど、彼女の気持ちが微妙。本人に言わせれば、「いや、あたし彼氏いるし。てか死んでるしwww」ってことなんだろうけど、でも読んでる方としては、ましてや、さっき書いたような彼氏持ちの女性を好きになってしまった経験のある方としては、なんか二人の距離感が焦れったい。そして、海生の高校時代の友達である凛ちゃんがかわいそう。。

    奥手の海生を応援してくれる方に読んでほしいです。ただ、肉食系の方が読むと、「このヘタレがっ!」と思う可能性大です。

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著者プロフィール

1983年、京都市生まれ。2004年『野ブタ。をプロデュース』で文藝賞を受賞し、デビュー。同作はテレビドラマ化され、70万部のベストセラーになった。著書に『空に唄う』『愛について』『未婚30』など。

「2019年 『ヒーロー!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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