サマーレスキュー ~天空の診療所~ (河出文庫 は 13-5)

著者 :
  • 河出書房新社
3.36
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本棚登録 : 291
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309411583

作品紹介・あらすじ

北アルプスに夏の間だけ開設される診療所がある。40年前、「山で亡くなる人を見たくない」とその開設に奔走した山荘の男と、その思いに応えようと山に入った医師の物語をはじめ、過酷な環境の中で「医療とは」「命とは」という問いを突きつけられて悩み、成長してゆく人々の姿を描く。

感想・レビュー・書評

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  • 北アルプスの標高2500メートルの高地に夏季だけ開設される診療所の物語。モデルとなった医師の後書きあり。テレビドラマの書き下ろし作品。感動的なのだが、200ページ足らずで、厚みが無い。

  • ただ単に山を舞台にした小説を読みたくて、行き当たった作品だったが、2012年に放送されたドラマのノベライズだった。
    全然知らずに読み始めたが、実際にボランティアで作っている「診療班」をベースに描かれていると言うことで、作品自体すごく良かった。今まで山岳救助隊の話などがほとんどだったので、高地での医療の難しさなど、初めて知ることもたくさんあったし、医療ものなのだけど、描いているのが脚本家でもある作者なのもあって、文章も読みやすい。
    ドラマは全く観ていないので、よく分からないが、ドラマで描かれるより前の昭和47年、「山で亡くなる人の命を一人でも救いたい」と言う強い思いを抱いた山荘のスタッフが診療所を作るところから始まり、1992年、2012年と時代を遷しながら描かれているのも、実際の「診療班」の歴史を感じることが出来て良かったと思う。
    今更ながら、ドラマを観てみたいと思った。

  • TVドラマの脚本を小説にしたものです。
    実在する人物を元に登山者に対する救命医療を題材にしています。以下抜粋
    「山を嫌いにならないで欲しい」
    山をナメてもらっては困る(怒
    危険があると分かっていながら登る奴が悪い?
    誰にでも登山する権利はあるはず!

  • 実話とドラマ脚本をもとにした独自の物語。一九七二年、山で亡くなる人を見たくないと夏の間だけの山中の診療所の開設に奔走した山荘の男性と、その後二〇一二年まで、落ち着いたマイペース医師や大病院のエリート医師等が各担当時に不十分な環境でする必死の奮闘。怪我の描写がシンプルなのに臨場感があってひりひりした。

  • 描写で、そのシーンが思い浮かぶような
    文章の綴り方が実に巧みである。

    なぜ山に登るのか?それは、山があるからだ。
    山で遭難する人が増えている。
    山であるからこそ、病気になれば、死に近くなる。
    山に 診療所を作ることを 考えた 山小屋の人。
    そして、医者が それに応える。

    なんの設備もない診療所で、
    医師は 決断を迫られ、そして 医療の原点に立ち戻る。
    患者の手を握って、励まし続ける。
    それが、医師の最初にすべきことだという。
    最新の医療設備を持っていても、患者を死なせてしまう。
    山の診療所によって、医師が医師であることを自覚する。

  • 雪平シリーズと同じ本棚にあったので借りた本。

    こちらも、ドラマ化されていた。
    観てないけど。

    大学病院という、医療を行うのに恵まれた環境から、ほとんどなんの設備もない山小屋での診療へ入る。
    それは、かなりの勇気が必要で、かなりの経験ができる場だと思う。
    そして、山小屋での医療は、大学病院での医療よりも、死に近く、生にも近い。

    山を嫌いになるな。
    その言葉は、とてつもなく重い。

    ドラマ、見てみたかったなー。

  • ドラマは見ていなかったけど、興味があって購入。山には登ったことはないけれど、事故や遭難のニュースはシーズンになるとよく聞きます。そんなニュースの中で「明日の朝から捜索」とか聞くとそんなんで間に合うのかといつも思っていましたが...間に合わない時もあるんでしょうね。もし山小屋にそうした診療所があれば、安心する人はいっぱいいるでしょう。山の診療所だからこそできること、できないこと、医師のジレンマが伝わるお話だと思いました。
    h29.6.11

  • もっと長いストーリーを読みたかった。
    大変なお仕事を通して人間として成長していく医者たちの物語。
    ーーー
    北アルプスに夏の間だけ開設される診療所がある。四十年前、「山で亡くなる人を見たくない」とその解説に奔走した山荘の男と、その思いに応えようと山に入った医師の物語をはじめ、過酷な環境の中で「医療とは」「命とは」という問いを突きつけられて悩み、成長してゆく人々の姿を描く。

  • テレビドラマの脚本から書下ろしたオリジナルストーリー。北アルプスの山小屋の主人・小山が山で亡くなる登山者を見たくないと診療所を開設するところからストーリーは始まる。なかなか山の診療所に入ろうとする医師は見付からないのだが、ひょんなことから花村という医師が山に入ることに…

    山の診療所という舞台のアイディアは非常に面白く、描かれる人間ドラマも面白いのだが、山の医師が入れ替わり描かれるので、誰が主人公なのかハッキリしないのが残念。

    でも、最後には感動した。

  • ちゃんと備えて山行きたくなった

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著者プロフィール

1968年生まれ。小説家・脚本家・演出家・映画監督。2004年『推理小説』で小説家デビュー。同作はドラマ&映画化。著書に『And so this is Xmas』『女子大小路の名探偵』他多数。

「2023年 『Change the World』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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