新編 SF翻訳講座 (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 133
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309411712

作品紹介・あらすじ

翻訳家になる方法、訳文の磨き方、悪文を見抜くコツなど実践的な翻訳指南から、翻訳書が出版されるまでの実態、翻訳家の日常生活、SF業界の裏話までを軽妙に披露する名エッセイ集。SFマガジン誌上を飾った伝説の連載、新編集版。

感想・レビュー・書評

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  • 単行本でも読んでいたのだけれど、また読んで、やっぱりおもしろかった。90年代に書かれたものが多くて、多少なつかしい感じはするけれども。
    内容は、翻訳指南書としてもうすべてが網羅されている。翻訳学校へ通ったわたしがそこで習ったことはすべて入っているし、いろんな翻訳家の人がつねづね言っていることばかり。でも、それを大森さんの軽妙な語り口で読むと本当におもしろくて、わかりやすくて、すばらしい。大森さんの文章が大好きだ! エッセイ、業界裏話としておもしろいので、翻訳やSFに興味がなくてもおもしろく読める。
    それにしても、またしても深く思ったのは、SFのヒトたちってなんでこんなに楽しそうなんだろう~~ということ。いいなあ。幸せそう。SF者に生まれたかったとしみじみ思ったくらい。

    • vilureefさん
      はじめまして。

      翻訳なぞというとおこがましいですが、私も仕事で翻訳やってます!
      とはいっても工業英語オンリーなので文芸は畑違いですが...
      はじめまして。

      翻訳なぞというとおこがましいですが、私も仕事で翻訳やってます!
      とはいっても工業英語オンリーなので文芸は畑違いですが・・・。
      工業英語は単純なので新語を理解さえすればそう難しくはないです。小説を翻訳のって難しそうだな~と常々思います。
      最近原書なんて全く読んでないし(^_^;)

      でもたまにはこういう本を読んで勉強するのも大切ですね。
      レビュー、参考になりました。
      2013/03/01
    • niwatokoさん
      >vilureefさん
      はじめまして。コメントありがとうございます。
      この本は、大森さんの語り口が楽しくて、ただ読むだけでもおもしろいで...
      >vilureefさん
      はじめまして。コメントありがとうございます。
      この本は、大森さんの語り口が楽しくて、ただ読むだけでもおもしろいですし、勉強って意識せずにためになっている感じですのでぜひ。
      2013/03/01
  • 翻訳家のかたが書かれたエッセイを読むのが好きである。翻訳の基本的なスキルについては、どの本を読んでも、書かれているツボがほぼ同じであることはなんとなくわかっている。でも、主に翻訳される分野と、そこで接することばにまつわる小ネタあれこれ、それにみなさんのプロフェッショナルとしてのお仕事ぶりを読むのが楽しい。というわけで、先日買ってしまったのが、SF翻訳家・大森望さんのこの本。

    外国の本を好きな子どもが、外国語の本を日本語に直しているのが「翻訳家さん」という仕事の人であることを知り、「わたしも翻訳家さんになって、おもしろい本を日本語にしたい!」と思うことはあると思う。学生時代に海外文学方面に進み、「英語(あるいはほかの外国語)が好きだから」翻訳家を目指すというのも、今となってはいささか漠然とした動機だとは思うけれど、まあ、アリな選択だと思う。でも、誤解を恐れずにいえば、ほとんどの場合、SF翻訳家ほどの強いモチベーションを持って翻訳家になろうと考えていたとは思えない。誰も知らない作品を読みたい、あるいは読んで自慢したいがため、青春を海外SFの「発掘」から私訳、同人誌作成に捧げるって…もう、本質的にほかのジャンルの翻訳者さんと異質(笑)。SFに対する愛の深さ濃さとともに、猫まっしぐらにSF翻訳者の道へ。こんなにすっきりと早く人生が決まるのか、楽しいながらも茨の道が!

    SFの名作と名訳者をサンプルとして随所にちりばめながら(というよりも、それしか出てこない)、翻訳に関する基礎から応用の手法まで、流暢に語って聞かせる筆致がワンダフル!翻訳のテクニックをまじえたエッセイで、私が今まで読んだものの中では、トップクラスに面白いと思う。翻訳に対する大森さんの考え方がすごくプラクティカルで魅力的なこともあるけれど、その大半は、大森さんのSFマニア魂のなせるわざだと思う。以前、英語を習っていたとき、先生に、「映画の字幕翻訳の多くが、○○さん(実名)に依頼されるのは、その人が『英語が上手い』ということじゃなくて、『映画というものをよく知っている』からだ」と聞いたことを思い出した。英日翻訳を英文解釈のみというなら、高校英語の成績がまあまあだったら誰でもできる。そこに肉付けできるのは、バックグラウンドを訳文に的確に反映させられるだけの蓄積がないといけない。シェイクスピアやオーデンからの引用を知るレベルで、スタージョンやクラークからの引用に気づかないといけないからなあー。でも、そこを半笑いで七転八倒しながら克服されている翻訳者さんのおかげで、私たちは海外SFを読めるわけなので、そこはいくら感謝してもし足りないと思う。

    翻訳者の数は増えている(というよりも、クローズアップされているというべきかも)とはいうものの、この本はある意味、若手の発掘に難儀しているという、SF界の翻訳者リクルート本でもあると思う。一発当てるのは難しいかもしれませんが、腕に覚えのある方は、この本を真に受けて挑んでみてもいいのかもしれませんよ。

    • niwatokoさん
      ああまだわたし積んでるんですけれども。
      >SF翻訳家ほどの強いモチベーションを持って
      って、すごくわかります。なんかもう動機が違いますよ...
      ああまだわたし積んでるんですけれども。
      >SF翻訳家ほどの強いモチベーションを持って
      って、すごくわかります。なんかもう動機が違いますよね。仕事にしたいとかではなく、自分が読みたいっていう。ほかのジャンルの翻訳家で自分で本さがしてきて勝手に訳して同人誌とかつくる人なんて(ほとんど)いないと思います。SFって自分で訳さないと読みつくしちゃうくらい、ほかの分野より量的には少ないんですかね。なぜSFだけそんなに強いモチベーションが。っていうのがいつも疑問です。訳しちゃうほど好きになれる、っていうところがすごくうらやましいです。
      2012/10/22
    • Pipo@ひねもす縁側さん
      niwatokoさん:

      単行本でお読みとのことでしたら、積読もよろしいかと(*´ー`)ノ。

      なんというか、好奇心と熱意のボリュームがすご...
      niwatokoさん:

      単行本でお読みとのことでしたら、積読もよろしいかと(*´ー`)ノ。

      なんというか、好奇心と熱意のボリュームがすごいですよねー。日本未公開のうちに観ちゃう、洋画ファンや海外ドラマファンに似ているように思いますが、自分で字幕つけて観ている人って、聞いたことがないし…。好きだと、作品のほうから寄ってくるのかも?と思ったりします。
      2012/10/22
  • 翻訳の話としても面白いし、SFの話としても面白い。
    翻訳に限らず、いかに読者に楽しんで貰える文章にするか?が大事だと、まさにその通りだと再認識しました。

    いずれ機械で完璧な通訳は出来るようになるだろうけど、翻訳の方は到底プロの技には及ばないでしょう。
    人とAIの区別が付かなくなるその日までは、大丈夫そうです。

  • エッセイって好きではないけど楽しい

     SFだからかな。翻訳の苦労などがイキイキと伝わるようで楽しい。ても、やはり私はエッセイ好きではないな。

  • TOEICを受けなければいけないけれど、テストのための勉強なんて全くやる気がおきないので、モチベーションを高めるために読んでみる。(どんなモチベーションだ!)

    これを読めば、Google先生でも通訳はできるけど、翻訳はまだまだできない世界だなと実感できます。

    読み返すたびに発見がある楽しい・悲惨なエピソード満載。

    原書が読みたくなってきた。

  • 「SF」翻訳講座と銘打ってはいますが、SFに限らず「人の心を掴む」翻訳のコツについて軽妙かつ端的な語り口で解説しています。「読ませる」文章を書くためのTipsが満載で、翻訳に限らずエッセイやブログの執筆の際にも役立ちそうな感じ。SF者以外でも十分楽しく読めるし、勉強になると思います。

    といいつつ、やっぱりSF関係の小ネタが一番面白かったりするんですが(笑)

  • 翻訳関連の書籍は大量にあるみたいだけど、読んでいて楽しいと思えるのが本書の特徴。

    気楽な語り口で、翻訳で参考にした書籍や、実際に翻訳したときの話、自身がSF翻訳者になるまでの道のり、執筆当時のSF・翻訳業界のこと、翻訳権のあれこれ、など翻訳に関して幅広い話題を語っている。

    個人的に、翻訳するときのキャラをどう描くかという話題で、現実だけじゃなく既存の小説作品のキャラをイメージしたりするというのが、なるほどと思った(『犬は勘定に入れません』のテレンスのイメージが、偉そうじゃない榎木津礼二郎とか)。

    気楽に読めて、参考にもなる一冊。

  • 2013/1/5購入
    2013/2/27読了

  • SF小説ではないですが、大好きな作品、作者、訳者とその周辺のお話がぞろぞろでてきてご機嫌。

  • 単純に、面白かった。SF<翻訳だし、出てくる作家は半分近く知らなかったが、じゅうぶんに楽しませてもらった。
    翻訳論としてはSFにかぎらず一般論として通じると思うし、なによりもしっかり読み物になっているところが立派。最近、いくつかお堅いものを読まざるをえない状況だったせいか、余計にのめり込んだ気がする。
    業界の話しかり、いずれ本の一冊でもと思っている人間には、丁寧かつエンターテインメントなガイドブックであったといえる。もっと小説を読まないと。

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著者プロフィール

1961年、高知県生まれ。翻訳家。書評家。責任編集を務めた『NOVA』全10巻で第34回日本SF大賞特別賞を受賞。訳書にウィリス『航路』、劉慈欣『三体』(共訳)他。編著に『ベストSF』シリーズ他。

「2023年 『NOVA 2023年夏号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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