ヴォイセズ/ヴァニーユ/太陽の涙 (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 18
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309412146

作品紹介・あらすじ

美樹は航空機の安全な運行をになう航空管制官。聴覚異常に苦しめられる彼女は、街で出会った盲目の男と恋に落ち、かつてない世界へと開かれてゆく(「ヴォイセズ」)。/原発事故前に書かれた予言的衝撃作「太陽の涙」、欠落の意味を問う「ヴァニーユ」、著者の代表作を一冊に。

感想・レビュー・書評

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  • 「ヴォイセズ」「ヴァニーユ」よかった。
    読者わたしのいる今ここ以外の世界に触れているひとはとても満たされてみえるけれど、その彼/彼女も「みんな一人だ。」202ページ「わたしは幸せだ。/違和感を持つことは幸せだ。そこに世界を集めて感じることができる。/居場所のなかったことは幸せだ。どこへでも行くことができる。」と、再発見されること、感じ方の問題だったなんて!

  • 「ヴォイセズ」、航空管制塔に勤める女と盲目の男の恋愛の話。女は突如耳の聞こえが悪くなり、仕事に支障を来すようになる。それも単純に聞こえにくいとかではなく、すべての音が同じようにダイレクトに感じられ、ようは脳がうまく必要な音を選別してくれないようなとてもやっかいな症状。そんななか山彦と出会い、すぐに恋愛が始まる。恋愛にまつわる一般的な云々を極力排した状態で、お互いの身体性に焦点を置いた描写が特異に感じられるけれど、自分が人を好きになる感覚に近い気がした。山彦が語った養護学校での経験で、目の見えない山彦は白い大きな犬がわからない。右脳が欠如した彼はわかってもらおうと精一杯説明するけれどついに言葉は伝わらない。画用紙か何かに書いたその犬をその級友は切り取って山彦の身体に巻きつけてわかってもらおうとする。山彦が涙を流す、という部分がすごく印象深い。
    赤坂真理さんの言葉と身体をつなぐ緻密な描写は中毒しますね。よくいう、言葉にならない感情を言葉にならないのなら体で、という感じ。

  • 感覚的、というよりも官能的、という表現のほうがこの著者にはふさわしい気がする。
    声、指先、傷口、つまり聴覚と触覚と痛覚を突き詰めて、突き詰めて、突き詰めて、
    感覚を一つ一つの構成要素に分解して、今度は「言葉」をもってそれを組み直していくみたいな作業だ。
    肉感的なのにメカニカルさを感じるのは、人間の感覚、もしくは肉体そのものを、そうやって捉えているからなのだろうか。

    官能のゲシュタルト崩壊。

    ブラックボックスとしての肉体。

  • ヴォイセズがよかった。
    太陽の涙は神話のよう。

  • 『ヴォイセズ』と『ヴァニーユ』が印象的だった。共通点は身体的欠落。性的描写が多い。作品を理解するには赤坂さんの作品をもっと読んだほうが良さそうだ。感覚的なものを大切にされる作家さんなのかなと感じた。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。作家。95年に「起爆者」でデビュー。著書に『ヴァイブレータ』(講談社文庫)、『ヴォイセズ/ヴァニーユ/太陽の涙』『ミューズ/コーリング』(共に河出文庫)、『モテたい理由』『愛と暴力の戦後とその後』(講談社現代新書)など。2012年に刊行した『東京プリズン』(河出書房新社)で毎日出版文化賞・司馬遼太郎賞・紫式部文学賞を受賞。

「2015年 『日本の反知性主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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