鬼の詩/生きいそぎの記 ---藤本義一傑作選 (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
3.50
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本棚登録 : 50
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309412160

作品紹介・あらすじ

二〇一二年に惜しまれて亡くなった稀才の代表的傑作集。鬼気迫る落語家の魂を描いて直木賞受賞の「鬼の詩」、師に"追随"する漫才師を描く「贋芸人抄」、三味線の天才娘の悲劇「下座地獄」、運命の師、映画監督川島雄三との決定的な体験を描いた「生きいそぎの記」と講演。その後の作家の姿がここにある。

感想・レビュー・書評

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  • 市原悦子さん主演でドラマ化された「女橋」(再放送)が壮絶すぎて、あの藤本義一さんがどんなお話を書かれるのか気になり…

    「鬼の詩」は直木賞受賞作品なのだが、まぁ凄絶。桂馬喬という落語家の生涯を描いたもので、「なんの面白みもない陰気な常識人」であったが、異常なまでの愛と執着をもって芸風を改める。が、最愛の妻に早逝され、孤独の中その狂気は膨れ上がり、それがまた芸に…この狂気の笑い、ぞっとする。(二代目米喬という実在したモデルがいるようです)

    映画監督 川島雄三を描いた「生きいそぎの記」、師匠の代わりとして演じるうちに精神的に追い込まれていく芸人とその妻を描く「贋芸人抄」、下座の三味線弾きが惚れた男の誘いで万歳をする「下座地獄」。どれも激しく悲壮な人生で、読んでいるだけで体力使った…

  • ★3.5。
    あんまり作家としてのこのお方を知りませんでしたが、結構濃厚な文章を書くお人ですなぁ。関西弁も良い意味でも悪い意味でもそのしつこさが書き言葉として表現されているかと。
    ただ、題材が全部キワモノとも言えなくもなく、これでは長く持たないなとは思いましたわ。解説でテレビ云々で不当な評価を受けているとの指摘がありますが、そうではなくこの濃度を世は受け入れらなくなっていった、作家自身も維持できなくなった、両方に因があったのかと思われ。

  • テレビでの司会者で、様々な知識、エロな話題も生真面目にさらっとやれる粋なおっさんだったが、小説を読んだのはこの本がはじめてだった。実に、面白い。よく人間を見ている。ちょっと、優し過ぎるのが、作家としては凄みがもう一つ出なかったのかもしれない。でも、素晴らしい短編集。

  • 久しぶりに心がヒリヒリする本を読んだ。また読み返す予定。

  • 芸のために身を滅ぼす人間たちの鬼気迫る物語の数々。

    11PMの司会のおじさん、藤本義一に私は子供の頃に、ひっそりとその年齢では知らなくてもよいことを数多く学んだが、氏の本業は作家である。彼の描いた、この短編集の中の一作「鬼の詩」で直木賞まで受賞しているんですね。この作品に限らず、どの作品も読み応えがあった。すべての作品に共通しているのが、ユーモアの中に忽然と現れる、切れ味鋭い刃のような狂気だ。上方落語の世界であったり、浅草の女芸人であったり、映画監督の川島雄三だったり。昭和の娯楽を作り上げた人間たちに対する観察力が途轍もないのだ。

    見かけが優しい人間ほど、隠し持つ刃の殺傷力が高いことに身震いする思いだ。

  • 「生きいそぎの記」ではううう、とふたりの男の生き様に唸り、「鬼の詩」ではウグッと吐きそうになった…壮絶。芸人たるもの。

  • 映画、落語、漫才、下座三味線‥‥。大阪を舞台に大阪弁で小説を書くと、何でこんなに濃厚な文章になるのかなぁ。好き嫌いは別れると思いますが、わたしはとても面白く読みました。文章に力があって、ほとばしる才能を感じます。他の小説も読んでみたい。

  • 藤本義一 さんの作品集。
    やはり、川島雄三との出会い、共同仕事、そして最後が
    壮絶でもありユーモラスだ。

    他の収録作の桂馬喬についての一作。
    憐みを誘う芸がエキサイトして、客から馬糞をもらってそれを
    喰ってしまうところ。
    さらには電球をなめる、最後は自分の痘痕にきせるを36本
    突っ込んでそのまま走り去って死んでいく、なんて話。
    これは完全にホラーの世界だ。と、思っていたらこの「鬼の詩」が
    直木賞受賞作だとは!
    全く今とは異なる基準、つくづく今の直木賞はお祭りだなと感じました。

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